2024年2月19日 『ひと粒のチョコレートに』佐藤清隆 文 junaida 絵 福音館 『チョコレートは「お菓子の王様」』。それがこの絵本の書き出しです。ジャケット(本のカバー)が包み紙になっていて、絵本の表紙がチョコレートのようになっています。写真ではわかりにくいのですが、ジャケットのふちがギザギザにカットしてあって、中身のチョコレートがのぞいています。そんな具合にかわいらしい絵本なのですが、読んでみるとチョコレートのことがよくわかります。著者は食品物理学が専門の工学博士。世界的なチョコレートの専門家で、その成分、製法、その歴史、とても分かりやすく書いてあるのです。 絵は「怪物園」「の」などを描いた造形作家のjunaidaさん。どのページにもその内容を反映した縁取りがされて、紙芝居をのぞくよう。積み木のようにデザインされたカカオマスと砂糖とカカオの油とミルク。思わず「なるほど」と納得します。読んでいるうちにチョコレートが食べたくなるような・・・。ひと粒のチョコレートに秘められた歴史の長さと科学と、人の情熱がうかがえます。『人類がカカオに出会い、その不思議な油を使ってチョコレートを作りあげるまでに、1万年近い時間がかかりました。これほどの長い時間をかけて食べかたが大きく変わっていったものは、ほかに見当たりません。これからチョコレートはどんなふうにその姿を変えていくのでしょうか?』 ぜひ本を手に取ってみてください。ジャケットのどこかに「NUMEROUS MIRACLES IN A PEACE OF CHOCOLATE」と書いてあります。探してみてくださいね。