今週の1冊『あきらめません!』/図書館 お知らせ・近況 - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】
図書館 お知らせ・近況
2024年11月18日
2024年11月18日『あきらめません!』 柿谷美雨 著 講談社文庫選挙小説です。そんな分野あるのか?!と思われた方。私もそう思いました。しかし、あったのです。『あきらめません!』は、とある地方自治体で巻き起こった選挙騒動をテーマにした小説です。 主人公の霧島郁子は60代。夫と自分の定年退職を機に、今まで住んでいた都市部のマンションを売り、夫の故郷、山陰地方の栗里市に引っ越しました。しかし、引っ越し早々、その家の前の住人の身勝手な行動に激怒し、その老齢の男性がなんと市議会議員であることも発覚。暮らし始めてみるとこの市に蔓延している女性蔑視、家(イエ)意識の強さなどが次々と露呈し、茫然とする主人公。ひょんなことから市議会を傍聴した郁子は、そこで繰り広げられた光景にも衝撃を受けるのですが、帰りに出会ったミサオという70代の女性市議会議員に頼まれ、引退するミサオを継ぐべく補欠選挙に立候補しますが・・・これが1回目の選挙。その後もこの小説には何度も選挙の場面が出てきます。市内の細かいこと、たとえば危険個所にミラーを設置してほしいと市役所に何度言っても実現されない、いらないハコモノばかりが建っていく、市議会議員が視察と称してヨーロッパで税金を水のように使っていた、など、どこかで聞いたことがあるような話題が満載です。民主主義とは?というと大きな論点になりますが、実は私たちの身近なところにその答えはたくさん転がっていることを実感できるお話です。読み始めると止まらない小説と、久しぶりに出合いました。
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