今週の1冊『イヌイットの壁掛け』/図書館 お知らせ・近況 - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】
図書館 お知らせ・近況
2024年11月11日
2024年11月11日『愛蔵版 イヌイットの壁掛け 氷原のくらしと布絵』岩崎昌子 誠文堂新光社イヌイットの女の人たちの手作りの壁掛けを集めた写真集。掲載されたたくさんの壁掛けには素朴な表現で、生き生きとイヌイットをとりまく自然や生活が刺繍されている。イヌイットとはカナダ最北端の氷原に住む先住民族のこと。「イヌイットの壁掛け」というフレーズで、初めに思い浮かんだのは「寒い冬を乗り切るために使われた壁掛け」だったが、説明を読んで、イヌイットが定住化政策によって町に住むようになったのち、先進国向けに作られるダッフルコートなどのハギレや糸を活用して作られたもの、と知った。新しい生活の中でイヌイットの人々が民族の誇りを持ち続けながら、独自の生活文化を後世に伝えていくために作りはじめた新しい伝統だそうだ。イヌイットの女性たちが狩りに出かける家族のために手作りする防寒着の裁縫技術が応用されたとのこと。著者は最後に『この「イヌイットの壁掛け」は民族の誇りと郷愁を縫い取った記録であると同時に、新しい時代を迎え、遠く6500キロも離れた、私たち「南」に住む者たちのもとによせる、楽しく、生命力あふれる友好のメッセージではないかと思います。」と書いている。アザラシの狩り、赤ちゃんをおんぶして魚釣り、犬ぞり、イグルー、カヤック、たくさんの動物。変わってしまう暮らし方の様々な姿と、受け継がれてきている思いに触れているようで、温かい気持ちになれる。愛蔵版の最後にはクリスマスの壁掛けが紹介されている。クリスマスの準備を手作りでしてみたくなった。手に取ってみてください。
図書館・資料室のご利用 についてはこちら