今週の1冊『岡倉天心と思想』/図書館 お知らせ・近況 - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

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図書館 お知らせ・近況

今週の1冊『岡倉天心と思想』

2024年10月28日

2024年10月28
『岡倉天心と思想』  大久保 喬樹 著   玉川大学出版部
「日本の伝記 知のパイオニア」シリーズの中の1冊。岡倉天心の生涯をたどったものです。作者によって、自伝的な物語として編まれています。岡倉天心(本名;岡倉覚三)は、日本が近代化を目指し始める明治期に生まれ、50歳まで生きました。文化、芸術に深い造詣があり、東京美術学校を設立しますが、私生活の問題により校長の座を追われます。その後日本美術院を創設しました。生涯を通じて、アジア、日本の文化について、その独自性や伝統を尊重し、多くの人へ紹介しています。日本の茶道をもとに書いた『茶の本』は代表作です。その生涯を追ったこの本の中には現代を生きる私たちにも、立ち止まって考えさせる力を持った言葉がいくつも出てきます。まだ身近に江戸時代を生きてきた人たちがいる中で暮らした天心はこういいます。「ただ便利だから、進歩しているからといって西洋の文化をまねすることばかりに夢中になり、長い時間をかけて日本の自然や歴史のなかから生みだしてきた文化をすててしまうなら、日本人は自分たちがどういう民族であるのかわからない迷子のようになってしまうではないか。」(p31)。しかし一方で、では伝統をそのままの形でひたすら継承すればよいのかというとそうではない、とも説いています。破天荒な人生だったとはいえ、アジア、欧米を広く見てまわり、各地で活躍した天心の生き方からは、現代に生きる私たちにも役立つメッセージを受け取れます。

写真は図書館閲覧室の「今週の1冊」展示コーナーです。

 

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