今週の一冊『南極の食卓』/図書館 お知らせ・近況 - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】
図書館 お知らせ・近況
2026年4月20日
2026年4月20日『南極の食卓』 渡貫淳子著 家の光協会 2023年
著者は第57次南極地域観測隊に調理隊員として参加、南極に約1年間滞在し、隊員30名の食事作りを担当しました。1人分1トン、合計で約30トンの食材を事前に調達し、観測船「しらせ」で運搬します。一度南極に着いたら引き返せない、補給もない、30トンを1年間もたせて、食事を提供するという、なかなかにスリリングな仕事です。
渡貫さんは調理学校を卒業後、母校で勤務。結婚、出産を経てからは、時間の融通のきく、仕出しの仕事をしていました。ある時、2つのきっかけから南極に興味をもち、隊員募集に応募します。2年間は希望がかなわず、3度目の正直で初めて合格しました。高校生のお子さんと夫を日本に残し、いざ、南極へ! 昭和基地での日々は「臨機応変」という言葉が毎日降りかかってくる状況で、頭も体もフル回転です。とはいえ、本書は実際に作っていた食事や、南極での暮らしのカラー写真も含まれる、楽しい内容となっています。
中でも印象的なのは、「なるべくゴミを出さない工夫」です。南極では、基本的にはそこで出たごみをすべて本国へ持ち帰ります。ですから、できるだけゴミにしたくない。どうしても出てしまった生ゴミは乾燥させて焼却し、その灰を持ち帰ります。その量をなるべく減らすために、盛り付けを工夫したり、鍋の底に残っただし汁はパッキングして冷凍し、次回のカレーに入れたり。その工夫の数々は、今の私たちの暮らしにも少なからず役立ちそうです。
加えてこの本の面白いのは、そうした方法論的なことだけでなく、一人の女性の生き方がさまざまな背景と共に浮かび上がってくる作りであることです。年齢や性別を超えて、自分が実現したいことに素直に向かっていく。「生きている」という実感を持つための行動力や勇気をくれる1冊です。
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