今週の一冊『水俣からあなたへ 9人の写真家が見つめた水俣病の70年』/図書館 お知らせ・近況 - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

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今週の一冊『水俣からあなたへ 9人の写真家が見つめた水俣病の70年』

2026年4月27日

2026年4月27
『水俣からあなたへ 9人の写真家が見つめた水俣病の70年』一般社団法人「水俣・写真家の眼」著、リトルモア、2026年4月刊行

 

決して大きくはない写真集です。芥川仁、石川武志、北岡秀郎、桑原史成、小柴一良、塩田武史、アイリーン・美緒子・スミス、田中史子、宮本成美—そこに身をおき、そこに生きる人を見つめてきた写真家の眼を通して、読者は「水俣」を「見る」のです。

表紙から、そして最初のページからゆっくり順番にめくっていきます。その緊密な構成に引き込まれつつも、これが一人によって撮影されたものでなく、様々な時代に水俣と出会った写真家たちがその目で何を見いだしたのかの記録の連なりなのだと気づきます。ページをめくりながら、「写真家たちはどうしてこれを見る(撮る)ことができたのだろう」「自分はここに何を見るのだろう」―何度もこうした思いにゆさぶられました。

写真集の後半に、藤原辰史さんが「なぜ、水俣を撮った写真家たちの作品に目を奪われるのか」という文章を寄せています。「『この方々はなんと可哀想な人たちだろう。わたしたちの文明社会の犠牲者だ』という水俣病という現象の決まり文句によるまとめかたを拒む力がどの写真にもみなぎっているのです。わたしたちが写真に映るおとなやこどもを解釈するのではなく、わたしたちが写真に映るおとなやこどもに解釈されている。」

私が写真を一方的に見ているのでなく、写真が私を見ている、のだとしたら?

この本をまとめた一人、小泉初恵さん(自由学園卒業生)が私たちの図書館にこの本を贈ってくれました。添えられた手紙にはこうありました―「水俣からあなたへ」とは、「みんなへ」でも「社会へ」でもなく、個としての一人ひとりに届いてほしい、そんな思いを込めたのです、と。

表紙の写真「1972年 熊本県水俣市坪谷 田中実子さんの自宅にて」(撮影:アイリーン M. スミス)をもう一度ながめてみました。窓から身を乗り出す実子さんと一瞬、目が合ったような気がしました。

※この写真集に収録されている桑原史成の写真展が、5月7日まで丸の内フォトギャラリーで開催されています。東京都写真美術館では「W. ユージン・スミスとニューヨーク ロフトの時代」が6月7日まで開催中。

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