今週の一冊『本を読めなくなった人たち』/図書館 お知らせ・近況 - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】
図書館 お知らせ・近況
2026年6月29日
2026年6月29日『本を読めなくなった人たち』(稲田豊史著 中公新書ラクレ 2026年)
朝日新聞の書評欄で知って読んだ一冊です。まずはこのタイトルですが、目にしたとき「読めなくなった」ということは、当初読めたのに読めなくなったということ?と思いました。それで内容を追っていくとまさにその通りでした。
この本は、ライターである著者が、主に大学生のグループインタビューや、関係者のXでのポストなどを丁寧に追いながら、今日本で「本を読む」ということがどのようなフェーズにきているのかを解き明かします。新聞の販売部数が激減、書籍の発行部数が激減、書店が激減、と、活字に関わるトピックはだいたいいつも悲壮的ですが、その理由は主に、わざわざ活字で読まなくても、動画や音声で事足りるから、ということのようです。小中学生くらいまでは本を読んでいたのに、スマホを持つようになってからは一切読まなくなり、大学に入って久しぶりに小説を読もうと思ったら、長い文が読めなくなっていた、という学生の発言はリアルです。
動画視聴が一般化し、誰でも無料でアクセスできるようになった今、自分が欲しいと思った情報をわざわざ文字を追って「読む」行為で取ろうと思う人は少ない。実際、大学生たちは、本を読むということはタイパが悪い、と言います。なぜなら本を読むときは「本を読む」という行為しかできないから。また需要が減ったことや原材料の高騰などから、本の値段が上がり、コスパも悪い(というか本にお金をかけられない)という事情もあるようです。
こうした状況の行き着く先は? 最終章の著者の予言(?)はなかなかリアルです。なお、著者は自身がライターであることから、この本の執筆にはひじょうに苦労したと、「あとがき」に書いています。なぜなら自分の将来にもかかわるから。身を削るようにして書いた本、各章につけられた大量の「注」からは著者の本気が垣間見られます。
図書館・資料室のご利用 についてはこちら