今週の一冊『仮放免の子どもたち』/図書館 お知らせ・近況 - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】
図書館 お知らせ・近況
2026年7月6日
2026年7月6日『仮放免の子どもたち』池尾伸一 講談社2026年
「仮放免」とは、オーバーステイや不法滞在などで「退去強制令書の発付を受けて収容されている被収容者について、健康上、人道上その他これらに準ずる理由により収容を一時的に解除することが相当と認められるときに、収容を一時的に解除する制度」(法務省)です。簡単に言えば、不法滞在などで収容される人のうち、家族と過ごすため(人道上の理由)などで収監されず、日本国内で暮らす人たちのこと。ただここで、「不法滞在」とひと言で言っても、本国で命の危険にさらされて、日本へ逃げて来た人たちが多く含まれます。つまり日本へ難民認定の申請をしているのに、ほとんどが認定されないのです。
そうした中、彼らの子どもたちの人生もほんろうされていきます。小中学校などの義務教育や高校教育については、在留資格がなくても住んでいる場所で受けられるのですが、それ以降の教育はどれだけ本人が頑張っても受けられないケースがある。特に大学や専門学校はそれが顕著です。この本は、そうした子どもやその家族に丁寧に取材をして、彼らがおかれている状況を細かくレポートしています。
先日の高等部の礼拝で、人の「尊厳」についてのお話がありました。仮放免の子どもたちには尊厳がないのでしょうか。そんなはずはない。彼らも私達と同じ社会に生きる人なのにどうしてこんなに差別されなくてはいけないのか。問題は多々ありますが、一番残酷なのは、子どもが夢を持てないということです。美容師になりたいと思っても専門学校が門を閉ざす、サッカー選手になりたいと思っても、推薦で入れそうだった大学が、在留資格がないために門を閉ざす。私たちの身近に、こんなにも尊厳を傷つけられている人たちがたくさんいることに衝撃を受けます。
もし日本で何かが起こり、国内では命の危険にさらされるということで海外に逃げたとき、たどりついた国で自分がこの本に出てくる人たちのような扱いを受けたらどう思うか。そんな想像力を持ちながら読んでみてほしい一冊です。
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