「川は誰のものか?」市民科学の視点で川を守る/学部長ブログ - 自由学園 最高学部(大学部)/ 最先端の大学教育

「川は誰のものか?」市民科学の視点で川を守る/学部長ブログ - 最先端の大学教育【自由学園 最高学部(大学部)】

学部長ブログ

「川は誰のものか?」市民科学の視点で川を守る

2026年7月22日

驚くべきことに、川と河川敷は、国土のなかでも市民が自由に利用できる、最もひらかれた共有フィールドの一つです。休日に神田川でSUPをするも、道頓堀川でカヌーを浮かべるも、基本的には自由ということです。もちろん、どこでも自由にというわけではありませんが、川には「みんなの共有財産」という原則的な考え方があるため、道路のような道路交通法による細則規定があるわけではないのです。

また、川は古くから私たちの生活と深く結びついてきました。だからこそ、川につながる土地全体を単位として考える「流域思考」には、都道府県など行政区分を超えた深い意味があります。

ではこの川の環境は誰が守るべきなのか。

川は、森林や土地のように私有化されているものではなく、基本的には公共のものです。しかし、すべての川を行政だけで管理することには限界があります。そこで日本各地で、河川や流域を守る市民の活動が生まれています。

自由学園は今年も、全国水環境マップ実行委員会が主催する「身近な水環境の全国一斉調査」に参加しました。この調査は、市民が参加し、統一された方法で全国の河川や湖沼などの水質を調べる取り組みです。

生活排水などによる有機汚濁の指標となるCODの測定を基本に、水温や現地の様子などを記録します。自由学園ではそれに加えて、透視度、pH、電気伝導率、アンモニウム態窒素、亜硝酸態窒素などの測定も行っています。

一度の調査で何かが大きく変わるわけではありません。しかし、市民が継続的に川に関わり、同じ方法で調査を続け、データを積み重ねていくことで、これまで見えなかった川の変化が見えてきます。そして、川を知ることが、川を守る意識へとつながっていきます。

これは、市民が自分たちの環境を知り、考え、守っていくための科学=「市民科学」の一つのかたちです。

いま日本では、様々な先端技術をめぐり、大学・企業・国家の連携も進んでいます。産学連携による軍事研究も広がる中で、あらためて「科学は、誰のためのものなのか」という問いも浮かびます。

川は誰のものか。そして科学は誰のものか。

本日7月22日(水)19:30より、第2回オンライン・ミニレクチャー「川は誰のものか?」を開催します。本学の教授吉川慎平(博士・工学  専門:河川工学、水文学、環境工学)が、河川調査の経験から発題を行い、市民が科学に関わることの意味を考えます。参加無料。どなたでもご視聴いただけます。どうぞご参加ください。

https://peatix.com/event/5076090

「問いから始まる」

自由学園最高学部主催 オンライン・ミニレクチャー

第2回 7月22日(水)19:30~20:15

「川は誰のものか? 市民科学の視点で川を守る」

吉川 慎平 

最高学部教授 博士(工学) 専門:河川工学、水文学、環境工学

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