【水文・気象観測室】西川橋復旧プロジェクト(1)受け継がれる高大連携の取り組み/研究・実習 - 自由学園 最高学部(大学部)/ 最先端の大学教育

【水文・気象観測室】西川橋復旧プロジェクト(1)受け継がれる高大連携の取り組み/研究・実習 - 最先端の大学教育【自由学園 最高学部(大学部)】

研究・実習

【水文・気象観測室】西川橋復旧プロジェクト(1)受け継がれる高大連携の取り組み

2025年11月14日

校内を流れる立野川には水路管理者との協議のもと古くから3本の橋が架けられています。最上流の「西川橋」は、2021年7月に当時の最高学部と学生と男子部の生徒により、自由学園名栗植林地のヒノキ材を使って掛け替えられました。水路管理者との協議により取り外しが容易な仮設構造としつつ、近年頻発する大雨による水位上昇への対応として、従前の橋よりも高い位置にし、加えて異常な水位上昇時には橋台から橋桁が分離し浮かび上がることで、流水の抵抗を受けにくくする「流れ橋(構造)」に変更しました。

 

西川橋の復旧を記念して

 

設置から4年余りの間、立野川の水位上昇は事前のシミュレーションの範囲内にありましたが、2025年9月11日、2020年1月からの観測史上最大となる1時間に84mmの非常に激しい雨を観測した際、立野川の水位が1.2m程度急速に上昇し、初めて「流れ橋(構造)」の機能が発揮される事態となりました。水位低下後、西川橋の橋桁は橋台から外れ、1m程度下流に移動しましたが、橋桁の崩壊や河岸の侵食は防がれ、「流れ橋(構造)」とした効果が発揮されました。西川橋に接続する通路については直ちに通行止めとし、復旧については橋の管理を継承した最高学部の水文・気象観測室と高等部の川管理グループで対応することにしました。

 

水位上昇により下流側に移動した橋桁

 

9月29日、橋桁の復旧に向けて水文・気象観測室で橋台部分の補修工事を行いました。橋桁を再び水平に設置できるよう、レーザーレベルを用いて、6本の杭の高さをゴム板で調整しました。

 

橋台の補修1

 

橋台の補修2

 

水準測量による確認を行い作業完了

 

10月8日、いよいよ橋桁を元の位置に戻すことになりました。3本のヒノキ材の梁を含めるとそれなりの重さがあり、数人ではびくともしません。水文・気象観測室の学生と川管理グループの生徒では手が足りず、中等部の真野啓之先生率いる「よろずや」グループに応援を依頼すると、高等部の生徒を中心に大勢駆けつけてくれました。手順を確認した後、「せーの」という掛け声とともに橋桁は一気に持ち上がり、そのまま上流側にスライドさせ、橋台の上に慎重に据え付けられました。

 

それぞれの持ち場と動きを確認する

 

力を合わせて持ち上げる

 

こうして、10月8日中に再び通行ができるようになりました。今回、プロジェクトを指揮した最高学部4年生は、2021年に男子部高等科3年生として、学部生とともに本プロジェクトに参加したメンバーです。設置から4年の時を経て、後輩へと受け継ぐ時間を持つことができました。一方で橋桁の一部に腐食がみられ、今後対策を行うことになりました。

 

10月8日、再び供用を開始した西川橋

  

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文・写真:吉川 慎平(最高学部教員・環境文化創造センター長)・写真:小田 幸子(最高学部教員・環境文化創造センター次長)

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