今年度の前期課程修了研究旅行は,当初男子は九州,女子は伊勢・奈良・京都への旅行をする予定であったが、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、昨年度と同様に日帰りで実施することとなった。
東京都から日帰りで訪問することができ、かつ学びを得ることのできる旅行プランを長野県、東京都、栃木県、群馬県、茨城県のそれぞれについて作成し、クラスの投票により行き先を決定することとした。投票の結果、長野県上田市の戦没画学生慰霊美術館無言館、軽井沢町の旧軽井沢、絵本の森美術館の3か所を訪問するプランを実施することになった。
行き先が決定した後は、事前学習として無言館についての映像(NHK日曜美術館)を視聴し、感想を書いてもらう時間をとった。それと並行して、より詳細なプランの作成や、先生を通した旅行会社の方との調整、検討などを行った。
最も感染症対策を必要とする昼食については、旅行会社の方からの提案によりホテル鹿島ノ森にお願いし、バス内での飲食は最低限に留めることとした。
当日は道路混雑等を避けるため集合・解散場所を所沢駅とし、家が遠い学生は寮に前泊するなどの対応をとった。
感染対策に配慮して行動しなければならないという点で、本来行くはずであった場所に行けない、バス車内での着席時に間隔を空けなければならないなどの制約が感じられる場面はあった。しかし、クラスとして同じ場所に行き、共に学んだり楽しんだりする体験は非常に豊かなものであったと感じている。
無言館に展示されている絵からは、当時の状況や画学生たちの背景を事前学習によって学んでいたことで、戦争の重みが一層強く感じられた。静かな美術館の中でそれぞれの人がじっくり絵と向き合う時間となり、移動時間間際になっても「もっと時間がないと全てを見切れない」といった声が聞かれた。
ホテル鹿島ノ森での昼食では「思っていたよりフォーマル」という声があったほど、格式高いお食事をいただいた。多少緊張しながらも、おいしい料理の写真を撮影したり味わったりと楽しい時間を過ごしていた。
旧軽井沢では旧軽井沢銀座通り周辺を自由に散策する時間をとった。お土産を買う人もいれば雑貨屋さんを見る人、また教会や池などを見に行く人など、いろいろな形で散策を楽しんでいた。
絵本の森美術館では物語に出てくるような非日常的な雰囲気の庭園や建物の中で世界の絵本作品に触れることができた。幼い頃に読んだ絵本を再び手に取ったり、絵本やおもちゃ、ポストカードが売られているお店を覗いたりと思い思いに楽しんでおり、皆から満足する様子が見られた。
学生からは、「行けてよかった」「楽しかった」という声があった一方、「それぞれの場所での滞在時間が短すぎる」「もっと長く居たい」といった感想が聞かれた。確かにスケジュール的には厳しく、各1時間程度しか滞在できなかったのは残念であるが、興味や関心を抱いてくれたということだと考えれば、この時間を持てたことは皆にとっての学びにもつながっていくと言えるのではないだろうか。
この旅行の実現のためにご尽力くださった先生方や旅行会社の方、受け入れてくださった現地の方々、そして24回生の皆に心から感謝する。
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写真:学部2年生