【研究】第18回身近な水環境の全国一斉調査に参加/環境文化創造センター - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

【研究】第18回身近な水環境の全国一斉調査に参加/環境文化創造センター - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

環境文化創造センター

【研究】第18回身近な水環境の全国一斉調査に参加

2021年8月18日

自由学園は今年も全国水環境マップ実行委員会主催の「身近な水環境の全国一斉調査」に参加しました.本調査は年に一度,6月の「世界環境デー」を基準日に,市民参加により統一的な方法で河川・湖沼等の水質調査等を実施するものです.学園は調査が全国規模になった2004年の第1回以降,18年連続での参加となりました.毎年の調査報告書では「継続調査参加団体(皆勤賞)」として,学校名を挙げていただいています.

2020年は5月7日〜9月11日までの期間に全国3,802地点で577団体(個人参加を含む)が調査を実施しています.コロナ渦での実施となり前年(2019年度は全国6,241地点で697団体)に比べて減少しました.その内学園は校内を流れる立野川と,東久留米市内の「落合川と南沢湧水群(平成の名水百選)」周辺の16地点を担当しています.

 

落合川での調査の様子

 

調査は例年,男子部高等科1年生の「自治区域」場所の一つである「川管理グループ」の現役メンバーをはじめ,川管理グループを経験した高等科2,3年生の生徒や,3回以上参加しているベテランの最高学部の学生,更には卒業生も駆けつけ,総勢15人程で実施しています.

2020年は調査期間が新型コロナウイルス感染症による休校期間に重なり,教員と近隣在住の卒業生の協力を得て実施しましたが,今年は感染予防対策を実施した上で,男子部と最高学部の在校生のみで実施することにしました.しかしながら,緊急事態宣言や雨天により再々度延期し,例年より1ヶ月遅れて7月10日(土)の実施となりました.

 

調査前のミーティング

 

調査項目は生活排水など有機汚濁系の指標である,COD(化学的酸素要求量)のパックテスト(試薬)による測定を基本に,水温や現地の様子などを記録します.これに加えて学園担当地点を含む「新河岸川水系」全体での取り組みとして,pH,電気伝導率,アンモニウム態窒素,亜硝酸態窒素等の測定も実施しています.

学園担当地点の結果については,図-1に代表値であるCODの値を示しました.一般的に0や2mg/Lなど値が小さい程,「清浄」であると言えます.なお地図には南沢キャンパスの範囲と,GPSにより取得した当日の調査ルートも重ねています.

 

図-1 2021/7/10の調査結果(COD)

 

近年,立野川を含む落合川水系については長年の行政・市民の方々の努力により有機汚濁系の汚染は減少し,既にCODでは16地点で測定を実施しても顕著な差が見えずらくなって来ています(以前は地点ごとの汚染の程度が明確でした).参加者からは測定値が「これもゼロ,これもゼロ・・・」という声が聞かれましたが,少なくとも有機汚濁系に関して,今後もこうした状態が維持されていることを確認し続けることには意義があります.一方で,当地においてはその他の汚染や,水温や電気伝導率など,湧水の起源を探るヒントになる指標に今後は注目していくことが有効と考えられます.

こうした落合川水系の水質改善の変遷は,20年目を迎える2023年に向けて生徒・学生と共に整理をしていきたいと考えています.

 

生徒・学生の様子はこちら
最高学部生が「第18回身近な水環境の全国一斉調査」に参加

昨年の様子はこちら
【研究】第17回身近な水環境の全国一斉調査に参加

立野川に関する記事
【研究】連日の降雨により5ヶ月ぶりに立野川の流水が回復

参考ページ(外部サイト)
身近な水環境の全国一斉調査(全国水環境マップ実行委員会)
平成の名水百選・落合川と南沢湧水群(東久留米市)

 

写真:小田 幸子(最高学部教員)
文・写真:吉川 慎平(最高学部教員・環境文化創造センター研究員)

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