友の会国際交流の会が主催してくださった映画会に足を運び、『手に魂を込め、歩いてみれば』を観ました。会場は自由学園明日館でした。深く考えさせられる内容でした。

この作品は、ガザの24歳のフォトジャーナリスト、ファトマ・ハッスーナさんと、イラン人映画監督セピデ・ファルシさんの約1年間の交流を描いたドキュメンタリーです。
ガザへ入れない監督と、「監獄」の外へ出られないファトマさんは、通信状況の悪い中、ビデオ通話を続けます。その会話に、ファトマさんが撮影した写真や映像が重ねられています。
爆撃、飢餓、破壊された街、人々の暮らし、そして終始頭上に響くドローンの音。ファトマさんは、いつ空爆に遭うかわからない危険な状況の中、カメラを持つ手に魂を込めて、ガザを歩き、撮影を続けていました。困難な現実に真っ直ぐに眼を向けて、笑顔で語るファトマさんの強い意志が伝わってきました。

交流を始めて約1年後の2025年4月15日、映画がカンヌ映画祭に正式出品されることを知らされたファトマさんは喜びます。しかし翌16日、ガザ市東部の自宅がイスラエル軍の空爆を受け、ファトマさんは家族とともに命を奪われました。25歳になったばかりでした。
その年、2025年の9月16日、国連の独立国際調査委員会は、イスラエルによるガザでの行為について、ジェノサイド(集団虐殺)に当たると結論づける報告書を公表しました。

彼女が残した写真には、破壊された街だけでなく、その中で暮らす色鮮やかな人々の姿も残されていました。ファトマさんは、破壊と悲嘆に襲われた状況の中でも、人々の営みや希望に眼を向け、写真に収め続けていました。
私たちは、ガザで起きていることを「遠い国の戦争」として見るわけにはいきません。
これまでも市民団体が声を上げてきましたが、この映画の時間軸である2024年春から2025年春にかけて、日本政府は防衛装備の海外移転や防衛産業をめぐる政策を進め、イスラエルとの防衛分野の関係を続けています。
遡れば日本とイスラエルは2019年9月、安倍政権下で「防衛装備・技術に関する秘密情報保護の覚書」を締結しています。そして2024年8月以降、日本政府がイスラエル製の武器・装備品を計約241億円分購入していたという事実も明らかになっています。
もちろん、日本政府が購入した装備の利益が、そのままガザへの攻撃に使われたと直接結びつけることはできません。しかし、日本政府が公費でイスラエル製の武器・装備品を調達していたということは、ガザの悲劇が私たちと無関係ではないことを示しています。そこに私たちの税金も使われていることを思えば、なおさらです。
ファトマさんが空爆で命を奪われた約5週間後の5月末、幕張メッセで防衛・安全保障分野の国際展示会が開催されました。この展示会にはイスラエル企業20社が参加し、無人航空機など、さまざまな防衛技術が展示されていました。
さらに2026年4月21日、高市政権のもとで、「防衛装備移転三原則」とその運用指針が再び改正されました。政府は、日本の防衛装備を海外に販売・輸出・提供する取り組みをさらに進め、同盟国や友好国との防衛協力を強める方針です。
映画の約1年間は、一人の若い写真家の人生最後の1年を記録したものであると同時に、ガザで戦争と破壊が続く中、日本では防衛装備の海外への提供や輸出・販売が進められ、防衛産業の強化を目指す政策が進められた1年間でした。イスラエルからの調達額は、米国からの1兆76億円(2025年度)という巨額の調達額に比べれば、大きくありません。しかし、金額の多寡だけで、この問題を捉えることはできません。
『手に魂を込め、歩いてみれば』を観た私は、ファトマさんの眼を通してガザで何が起きているのかを目の当たりにすると同時に、なぜこの戦争と虐殺が続き、それを支える関係が生まれているのか、そして私は今何を選択すべきなのかという深い問いを投げかけられています。















