7月17日(土)   リビングアカデミー 「みんなの日」/「みんなの日」の様子 - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

7月17日(土)   リビングアカデミー 「みんなの日」/「みんなの日」の様子 - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

「みんなの日」の様子

7月17日(土)   リビングアカデミー 「みんなの日」

2021年9月13日

2021年7月17日 リビング・アカデミー「みんなの日」

7月の「みんなの日」は梅雨が明け、急に暑さが増した17日(土)午前9時半、リビング・アカデミー(LA)の学生が記念講堂に集まって始まった。緊急事態宣言が再発令されたこともあって、間隔をあけて座り、マスク着用で感染防止に気をつけながら行われた。95人の学生が出席、6人がリモートで参加した。

礼拝では、テープで流された讃美歌267番に続いて、学生による「忘れられない人々」のスピーチ。今回は1期生の渡部紀子さんが「ハワイでお世話になった老夫婦」について語られた。

 

50数年前にご主人がハワイ大学の研究室に赴任するため、当時3歳のお嬢さんと3人でホノルルに転居。アパートのオーナーは日本語の流ちょうな日系二世だった。
「スーパーで初めて見る南国の果実や野菜の食べごろや食べ方を丁寧に教えてくれ、毎週金曜の夕食後に知人の談話会に誘ってくださる、とても親切な方だった。自分たちのルーツをとても大切に思い、古き良き時代の日本の生活を踏襲しようとしておられた」。
帰国後も、旅行で来日されるたびに再会し、旧交を温めた。すでに亡くなられたが「生涯忘れられない人である」という。

教養講座は「エネルギー危機にどう対処すべきか」というテーマで、駿河台大学名誉教授の星川煕先生が講義した。先生は理学博士で、昨年まで自由学園最高学部の講師もつとめていた。この日の講義は、地球規模にとどまらず、太陽エネルギーをはじめとする宇宙規模の視点で語られた。

化石燃料の枯渇が懸念されているが、石油はどんどん使ってしまうと2050年、大事に使っても2100年には掘りつくしてしまう。オイルサンド、オイルシェールなどの非従来型石油燃料もほぼ同量の埋蔵量があるほか、天然ガスはあと61年、石炭はあと222年採掘可能。原発に使うウランはあと64年だが、高速増殖炉でプルトニウムに転換すれば60倍に延びる。重水素を使う核融合が完成したらどうか。海水中の重水素の濃度を1%減らす程度でも化石燃料の50万倍と想定できる。
究極のエネルギーは太陽エネルギーで、太陽の寿命はあと50億年、少なくみても30億年。太陽光発電は燃料が不要で、環境への負荷もかからないが、雨が降ったり、夜間に発電できず、広い面積も必要となる。そこで、太陽電池を載せた人工衛星を打ち上げて宇宙で発電し、マイクロ波という電波に乗せてエネルギーを地球に送る「太陽光発電衛星」も研究されている。

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科学技術は日進月歩。画期的な発明により、エネルギーはいくらでも使えるとなったら、人類はどうするか。
後半は視点を変え、地球上のエネルギーの流れに注目する。地球には太陽から大量のエネルギーが降り注いでいるが、どんどん溜まっていったら地球は溶けてしまう。直接反射する、地球を温める、赤外線の形で外に放出する、海の水を蒸発させ雨を降らせたり、風や波を起こす、光合成を通じて植物を育てるといった形でエネルギーは宇宙空間に返される。これによってバランスがとれている。
化石燃料の代替としてバイオエタノール燃料が開発されているが、これは光合成の分を一部横取りしているわけで、食糧が減り、飢餓につながる心配もある。
化石燃料をどんどん燃やし、太陽光発電も拡大する。核融合ができれば、人類はいまの60倍のエネルギーを使うかもしれない。そうなれば地球の温度は0.12℃上昇する。新たな発熱が生じれば、地球上から放出するエネルギーも増加させないとバランスが崩れる。
長期的な視点で持続可能な社会を実現させるには「地球上におけるエネルギーの流れを乱してはいけない」「地球を加熱させてはならない」という二つが重要だと警鐘を鳴らす。
質疑応答では「洋上発電や風力発電などの努力は役に立たないか」という質問も出たが、「長期に取り組むべきことと、喫緊にやらなくてはいけないことがある。喫緊の課題は温暖化防止であり、洋上、風力発電はそのための対策。子や孫が安心して住み続けられる地球にしないと」と結んだ。

緊急事態宣言の再発令やコロナ感染者の増加を考慮し、午後に予定されていた学生による協力委員会主催のプログラムは延期となり、用意された昼食用のパンを受け取って解散した。                               (鈴木健司)

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