この度、自由学園「南沢キャンパスのシンボル」4種が新たに決定しました。決定したシンボルは次のとおりです。南沢キャンパスの木:モミジ、南沢キャンパスの花:キンモクセイ、南沢キャンパスの鳥:サギ、南沢キャンパスの魚:ホトケドジョウです。
2024年11月23日は、自由学園の新しいスクールシンボル「自由学園の木・花・鳥」6種が2022年11月23日に公表されてからちょうど2周年となります。また2024年は南沢キャンパスが1925年に開設されてから100年目の年でもあります。今回はこれを記念し、2年前の自由学園のスクールシンボル選定時に今後の課題としていた南沢キャンパスのシンボルについて、環境文化創造センターで検討を行いました。シンボル4種の位置付けについては下記をご覧ください。
これらのシンボルを通じ、キャンパスの歴史、文化、自然、環境、景観等について、在校生をはじめ、多くの方に関心を寄せていただくきっかけになればと思います。今後、他のキャンパス・フィールドについても調査・研究の上、シンボルを選定していく計画です。
南沢キャンパスの木:モミジ
イロハモミジは日本原産の樹木で山地から平地まで広く自生する。若葉や紅葉が美しく、多くの園芸品種がある。創立者、羽仁吉一も『雑司ヶ谷短信』の中で、学園の庭を描写する際に「楓」「紅葉」の美しさを繰り返し記している。正門を入って右手辺り(現在の中等部付近)を吉一は「かえでの林」にしたいと願い年々植えられたことから、この坂を「もみじ坂」と呼ぶようになった。当時から「校内に最も多いのは梅とモミジ」であったとされるが、直近の校内樹木調査(2016)においてもイロハモミジの本数は大小合わせて200本を超え、南沢の風景を構成する樹種であるといえる。
関連文献 羽仁吉一:樹を植える話,雑司ヶ谷短信,1949.
南沢キャンパスの花:キンモクセイ
キンモクセイは中国原産の雌雄異株の花木で、秋に香り高い花を咲かせる。主に雄株が栽培されるため通常結実は見られない。全校行事である体操会の頃に花期を迎えることから、キンモクセイの香りが体操会の記憶を想起させる。学園創立の以前より、目白の婦人之友社の周りには沈丁花や木犀がたくさん植栽されており、その中の大きなキンモクセイを南沢に土地を求めた後、南沢に建てた羽仁夫妻の自庭に移植したと、羽仁吉一の著作に記されている。直近の校内樹木調査(2016)によると校内にはキンモクセイが20本近く生育しており、秋にオレンジ色の花を咲かせてくれている。
関連文献 羽仁吉一:昔ばなし,雑司ヶ谷短信(上巻),1932.
南沢キャンパスの鳥:サギ
東久留米市内には校内を流れる立野川をはじめ、複数の河川が流れており、サギ類(コサギ、チュウサギ、ダイサギ、アオサギ、ゴイサギ等)が水辺で獲物を狙う様子がよく見られ、人々に親しまれている。また校内の複数の人工池には水生植物や小魚が導入されており、これを狙って校内でもその姿が頻繁に見られるようになった。かつて旧男子部(現中等部)が行っていたバードセンサスの結果からも、1980年以降コサギが毎年確認されている。都市の中でも比較的豊かな水辺環境が保たれている市内並びに校内の多様な環境を象徴する野鳥と位置付けられる。
関連文献 吉良幸世:東久留米市の野鳥,東久留米市教育委員会,1994.
南沢キャンパスの魚:ホトケドジョウ
ホトケドジョウは体長6cm程の小型のドジョウである。流れが緩やかで水質が良好な湧水池や小流、谷津田等に生息する希少種である。『東京都レッドデータブック2020』では、北多摩地域で絶滅危惧IB類に指定されている。東久留米市内の湧水をはじめ、校内を流れる湧水起源の立野川でも僅かに確認されている。特に立野川の校内区間の一部は自然河岸・河床が残されており、冬季でも水の枯れない溜まりが河道中に存在することから、貴重な生息地となっている。日常的にその姿を見ることはできないが、ひっそりと生きるこうした種が生き続けられるよう生息場の保全に努めなければならない。
関連文献 東京都レッドデータブック2020.
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(2022/11/23)新しいスクールシンボル「自由学園の木・花・鳥」が決定しました
自由学園 環境文化創造センター