「2巡目の2歳。感謝と「決心」」/前学園長ブログ - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

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前学園長ブログ

「2巡目の2歳。感謝と「決心」」

2023年10月6日

多くの皆さんから誕生日の温かいメッセージをいただきました。本当にありがとうございました。62歳になりました。

生徒・学生たちからは学校の圃場で育てた見事な花を、保護者会の皆さんからもきれいなお花をいただきました。ありがとうございました。

学校の花は学園長宅に、保護者会の皆さんからのものは自宅に持ち帰り、家族も一緒に楽しませていただいています。

菊は「ゆうげ」。咲いたものを少しずつ摘んで用意したと、菊の係の生徒たちが説明してくれました。

また菊に添えられた2種類の花は千日紅と百日草。種から代々学園で育ててきているものです、と学部農芸グループのMさんが教えてくれました。長く続く繋がりを思わせる名前と共にありがたさがアップしました。

今週末の体操会ではこの花が月桂樹と共にメイポールダンスのポールの上にも飾られるそうです。ダンスと共にご注目ください。

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2巡目の2歳となり、これからの未知の人生にワクワクしています。初等部のお誕生日会では誕生日の子どもが「決心」を語りますが、ありたい心持ちを考えるときに思い浮かぶのはコンサマトリー:consummatoryという単語です。

社会学者の見田宗介さんが、新しい世界をつくるために大切にしたい姿勢として、positive 、diverseと共にconsummatoryの3つをあげており、この単語を知りました。それぞれ「肯定的であること、多様であること、現在を楽しむ、ということ」と訳されていました。

この3つは、過去の人類の失敗である、とりあえず打倒!という「否定主義」 、権力集中と思想統制を行う「全体主義」、人々の生を手段化する「手段主義」の反省から生まれたものです。

〈わたしの心は虹を見ると躍る〉という時、この虹は何かに役に立つ手段でも目的でもない。 それはただ現在において「心が躍る」もの。新しい社会をつくることも、生きることそれ自体も、このように心が躍るものでありたいと言います。とても共感しました。しかしこの言葉、ふさわしい日本語訳がないそうです。

見田さんは続けて次のように記しています。
「このような三つの公準、 positive diverse consummatory ということを統合し、具体化 したイメージの一つを提起するならば、〈胚芽をつくる〉ということである。新しい世界の 胚芽となるすてきな集団、すてきな関係のネットワークを、さまざまな場所で、さまざまな仕方で、いたるところに発芽させ、増殖し、ゆるやかに連合する、ということである。」
(見田宗介『現代社会はどこに向かうか』P155 岩波新書2018)

慌ただしさに流されがちな日々ですが、感謝の心、そしてconsummatoryと胚芽をつくる美しいイメージを忘れずに歩みたいと思います。

高橋和也Facebook 2023年10月3日

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