「日本中に性といのちの学びを。ピッコラーレの取り組みが支えるもの。」/前学園長ブログ - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

「日本中に性といのちの学びを。ピッコラーレの取り組みが支えるもの。」/前学園長ブログ - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

前学園長ブログ

「日本中に性といのちの学びを。ピッコラーレの取り組みが支えるもの。」

2023年12月2日

自由学園が、助産師でNPOピッコラーレの土屋麻由美さんの応援により幼少中高大を通じた包括的な性といのちの学びを開始したのは2018年。最初の初等部4年生での授業は忘れられません。

男の子、女の子の体の絵を示しながら土屋さんが「女の人にはお尻の穴とおしっこをするところのあいだにもう一つ、赤ちゃんのときから男の子にはない穴があるんだよ。それはね、子どもが生まれてくるところだよ」と説明しました。

すると目の前で聞いていた男の子K君が間髪挟まず心底驚いた様子で、「えー!女子すげー」と感嘆の声を上げたのです。

本心からのリスペクトといった様子でした。

また「体は男の子でも、心は女の子と思ってるという人もいるんだよ」という説明には、「それじゃあ学校でのトイレが困るね。どうしてるの」という声が上がりました。

この率直で素晴らしい反応に、私は性を正しく伝えることがどれほど大切で必要なことであるかを教えられました。

今年の3年生の授業でも、「気になっていた赤ちゃんの生まれ方がわかってよかった」「自分が生まれてきたこともきせきだと知った」「自分もいつか赤ちゃんをうむと思うとドキドキする」といった素敵な感想がありました。

このような性に関する学びの重要性は世界的に認知され、2009年にはユネスコが主導し『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』として指針が示され、世界各国で推進されてきました。

日本語版の翻訳はちょうど自由学園でこれに取り組み始めた2017年です。しかし日本での性教育への正しい理解と実践はいまだ非常に遅れています。

一方で、厚生労働省による子どもの「虐待死」調査が始まってから18年。その死亡件数が一番多いのは常に0歳児であり、誕生したその日の「0日死亡」がその約半数を占めている現状が続いています。

そして「虐待」とされるこの0日死亡の「加害者」のほとんどは子どもを産んだ実の母親。誰にも相談できず、たった一人で自宅のトイレや風呂場などで出産してしまうケースが多いとのことです。

背景にはさまざまな要因が絡み合っており、その多くは社会的システムの不備が影響して生じていることですが、性と命を守る教育が十分に行われていないこともその大きな要因と言えます。

ピッコラーレが0日死亡をなんとかしたいと妊娠葛藤相談窓口「にんしんSOS東京」を立ち上げたは2015年。以来これまで8年間、1日も休むことなく相談を受け、対応にあたってこられています。若い妊婦さんのための居場所作りにも4年前から取り組み、環境改善を訴える政策提言も行なっています。

このピッコラーレが目標額1000万円という大きな額のクラウドファンディング「『誰にも頼れない』妊娠をなくしたい。相談から途切れない支援を一緒に」を11月1日に開始しました。目標金額に達しない場合、全額返金となる「All or Nothing」方式でのチャレンジです。ぜひ多くの方に知っていただきたい取り組みです。

高橋和也Facebook 2023年11月16日

カテゴリー

月別アーカイブ