メディアに記事掲載 男子部国語科WEB授業「醜悪な世界/醜悪な言葉~ある一人の女子プロレスラーの死から考える~」/メディア:WEB - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

メディアに記事掲載 男子部国語科WEB授業「醜悪な世界/醜悪な言葉~ある一人の女子プロレスラーの死から考える~」/メディア:WEB - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

メディア:WEB

メディアに記事掲載 男子部国語科WEB授業「醜悪な世界/醜悪な言葉~ある一人の女子プロレスラーの死から考える~」

2020年5月29日

現在新型コロナウィルスの影響で休校中の自由学園男子部(中等科・高等科)では、WEBを通じた授業を行なっています。 

国語科教諭の高野慎太郎が、今社会で大きな問題となっている匿名でなされるネット上の誹謗中傷に関して授業で取り上げて、生徒と考え話し合っていることが、下記の通り「プロレスTODAY」に記事となって掲載され、同記事が複数のネットニュースで紹介されました。

■記事タイトル:
「木村花選手の逝去を無駄にしない!
教育現場でも未来を担う子供たちにネットやSNSとの向き合い方を
プロレスファンの教師が指南」

掲載日:2020年5月28日(木)
掲載サイト:プロレスTODAY
https://proresu-today.com/archives/111843

 

■同記事は下記ニュースサイトでも掲載されています。
・ガジェット通信
 
https://getnews.jp/archives/2560320/gate

・BIGLOBEニュース https://news.biglobe.ne.jp/sports/0528/ptd_200528_7302891567.html

・gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/proresu_today/sports/proresu_today-20200528220046507.html

 

■授業は、高野教諭から生徒への下記メッセージから始められました。
・みなさん、23日の「オフ・スクリーン・デイ」は有意義に過ごせましたか。

(注記:自由学園では、5月23日はネット授業を一旦休止して休暇を取る「オフ・スクリーン・デイ」でした)

・ブルーライトから目を守ったり、ネットの世界から距離を置くような工夫を「デジタル・デトックス」と言うようですね。上手い言葉だと思いました。

・デトックス(detox)というのは「解毒」のこと。

・tox(毒素)をde(取り除く)からdetox.

・toxの原語はtoxin(毒素・トキシン)で、たとえば、フグに入っている毒は「テトロドトキシン」(tetrodotoxin)。「名探偵コナン」で、新一くんが飲まされてしまった毒は「アポトキシン4869」でした。

・「デジタル・デトックス」という言葉には、「デジタル」の世界には「毒素」が含まれているのだという無言の前提が置かれているわけです。

・実をいうと、これから述べるように、僕はつい数日間、この前提は絶対に正しいと確信せざるを得ない状況に身を置いていました。

・ある女子プロレスラーが非業の死を遂げたからです。今回は、彼女への哀悼の意を込めて、みんなでネットにおける誹謗中傷の問題を考えてみたいと思います。

 

■高野慎太郎教諭のコメント
匿名でなされた誹謗中傷に起因すると思われる一人の女性の死が、社会で大きな問題となっています。
言葉によって差し向けられた暴力が一人の若い女性の命を奪ってしまったという端的な事実に、ただただ言葉を失うばかりです 。
私は、中学3年生から高校3年生の国語の授業を担当しています。
担当クラスでは今回の事件を受けて、「醜悪な世界/醜悪な言葉~ある一人の女子プロレスラーの死から考える~」と題した特別授業を開始しました。
授業では、メディア研究や言語行為論を始めとする、あらゆる分野の知見を参照しながら今回の事件を捉え、これから私たちが構築すべき言語実践の在り方を模索しています。

各回の授業のテーマは以下です。
第1回:自分が誹謗中傷をしそうになったらどうするか
第2回:より醜悪でない言語実践を始めるために何が必要だろうか
第3回:言葉の機能とは何だろうか~コンスタティブとパフォーマティブ~

いまも授業は継続中で、今後は、表現の自由と表現規制の問題などを扱う予定です。

子どもたちの反応は多様です。
「こんな事件が起こるこの世界の醜悪さが、ただただ悲しい」(中3)

「匿名でなされる暴力は、暴徒の様なもの。醜悪でない形で、どのようにカウンターを当てていけるのか、考えたい」(高1)

「言葉には感染力があると思った。この授業の言葉にも、感染しています」(高2)

「繰り返される悲劇に、嘆いてばかりではいけない。これから、どのような言葉の実践をしていけるか、問われていると思った」(高3)

「国語」の授業の眼目は、「表象能力」を自他に育むことにあると考えています。
例えば、「崇高な理想を正しく語る」というだけでなく、実際的な言語実践によってその実を示し、社会に幾ばくかの良い影響を与えることを可能とするような、言語によって為される社会に対する操作性のことを、この授業では「表象能力」と読んでいます。

醜悪な言葉が連鎖するこの社会状況に対して、少しでも、醜悪でない形の言語実践が展開できればと自他に願っています。

高野慎太郎    学校法人自由学園  男子部(中等科・高等科)

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