『教育新聞』に掲載 男子部・女子部(中・高等科)「高校生が考えるコロナと差別 自由学園の意志」/メディア:新聞 - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

『教育新聞』に掲載 男子部・女子部(中・高等科)「高校生が考えるコロナと差別 自由学園の意志」/メディア:新聞 - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

メディア:新聞

『教育新聞』に掲載 男子部・女子部(中・高等科)「高校生が考えるコロナと差別 自由学園の意志」

2020年9月15日

自由学園男子部・女子部(中等科・高等科)の生徒による「コロナ禍の私たちの社会を考える会」のメンバーと、サポートしている教師らをインタビューした記事が、『教育新聞』のデジタル版に掲載されました。

『教育新聞』(教育新聞社)2020年9月15日(火)掲載
「高校生が考えるコロナと差別 自由学園の意志」
https://www.kyobun.co.jp/close-up/cu20200915/

※記事は上記の購読会員のみが閲覧できます。

※同記事は、『教育新聞』(9月21日(月)発行)の紙面にも掲載されました。

■「コロナ禍の私たちの社会を考える会」の活動の概要
自由学園男子部・女子部(中等科・高等科)では、新型コロナウィルスの影響で2020年2月末から今年度1学期の間休校が続き、すべての授業は時間割通りにオンラインで行っていました。夏休みを経て8月24日(月)に2学期が始まり、いよいよ生徒がそろって学校や寮での生活が始まりました。

現状では感染予防に力を入れていたとしても、いつ誰がどのようなきっかけで感染するかわからない状況です。そのような中、学内で感染が確認された人に対して、偏見や差別が生まれるようなことは絶対にあってはならないと自由学園では考えてきました。

教師たちは登校が始まる機会にぜひ生徒たちに改めてこのことを考えてほしいと願って提案したところ、最初に声を掛けられた男子部委員長がそのことを大事に受け止め、女子部の委員長らにも声をかけて、生徒有志による「コロナ禍の私たちの社会を考える会」が発足しました。

メンバーは男子部女子部合同の7名(高等科3年生5名、高等科2年生2名)の生徒で発足しましたが、その後委員の交代等もあるので、メンバーの変更も想定しています。

教師はオブザーバーとして関わり、校医やスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーから話を聞く機会を設けました。
その上で、同会の生徒たちはプレゼンテーションの内容を自分たちで考えて全校生徒に呼びかけ、下記のような質問を設定して、生徒からの意見や感想を集めました。

(質問)
・差別と聞いてどう感じますか?
・自分が差別をしてしまったと思う場面を書いてください。(どんなに小さい事でも)
・もし、体温を測って37.3度以上あった時、みんなに伝えられますか?
・自分が感染してしまったら、何をしてもらいたいですか?
・友達が感染してしまったら、自分に何が出来ますか?
・コロナ禍で、生活する上で大切にしたい事

■生徒によるプレゼンテーションの内容 ZOOMの動画
以下アドレスからご覧ください。(約10分)
https://youtu.be/X3GtMU92Z8Q

プレゼンテーションの最後にメンバーの提案により、全校生徒が数人ずつでこのことについて話し合いをして、生徒一人ひとりがフォームに記入し、ネットを通じて意見や感想を寄せました。現在は、それらの意見を会の生徒がまとめて次の働きかけを考えているところです。

■『教育新聞』記事では、以下の段落に分かれて会の活動や、メンバーの思いが紹介されました。
・学校での感染、他⼈事ではない
・⾔える強さよりも、⾔い出しやすい環境
・良い社会をつくるためには遠慮はいらない

■生徒のインタビュー記事より、一部引用させていただきます。
話し合う中で⽣徒たちは、社会で起きているコロナによる差別や偏⾒をどう受け⽌めたのか。
もともとLGBTQや⿊⼈への差別問題に関⼼があり、会に参加した生徒は、「悲しいけど『やっぱりな』と思った。カミュの『ペスト』で描かれたことと似たようなことが現代でも起きていた。でも、それで諦めたら終わり。変えていかないといけない」と⼒を込める。少し前、⼣⾷を⼝にした⺟親が「ご飯の味がしないね」と⾔ったことに、「それってコロナなんじゃない︖」と冗談交じりで答えたことがあった。仲間との議論を通じてそのやり取りを思い出し、私たちの何気ない⼀⾔の中に差別の萌芽があることに気付いたという。

また、⾃ら情報収集のためにチェックしていたSNSのオープンチャット上で、コロナの感染者を批判する声がエスカレートしやすいことを感じていた生徒は、「⾃由学園では10年以上同じメンバーで学び、お互いに理解し合っているので、普段から差別的な発⾔はまず起こらない。でも、ニュースを⾒ていると、これまでの信頼関係が崩れるような報道のされ⽅が気になる。今の社会に必要なのは、この問題についてじっくり話し合いながら、信頼関係を築くことなのではないか」と指摘する。

全校⽣徒から寄せられた意⾒に⽬を通しての感想
「『もし、体温を測って37.3度以上あったら…』という質問では、周りに伝えられるという⼈もいれば、逆に知られたくないという⼈もいた。感染したことは悪くないし、本⼈の不安も当たり前だ。⾔える強さよりも、⾔い出しやすい環境が⼤切。社会でも、感染した⼈が完治したら、『お帰りなさい』と温かく迎えるような思いやりが必要だと思う」

「学校は⼩さな社会。まずはこの学園を思いやりのある社会にしたい。差別をしてしまう⼈の気持ちも考えないといけない。みんな⾃分の中に不安を抱えているから、その不安を話してもらって、少しでも楽になってくれたら」と、学園の中から変えていくことの重要性を強調する。

「まずは⾃由学園全体で考えてもらい、新型コロナウイルスによる差別が起こらないようにしたい。この問題を、⾃分の家族や友達に話していけば、 社会にも呼び掛けられると考えている」

「まずは男⼦部と⼥⼦部、そして先⽣を含め学園全体を巻き込んで、⼀つずつ考えてみんなでウイルスに⽴ち向かいたい。『みんなで』というのは本 当に難しいけれど、『皆が兄弟姉妹』ということを忘れずにしっかりとした軸を持っていれば、個⼈から家族、学園、社会へと、愛ある⾏動をつなげていけると思う」

■自由学園では、2月に感染拡大のために休校が決まった時点で、コロナ禍にある社会の中では、差別や偏見が生まれてしまう可能性のあることについて心配し、学内でそのことについて学生らに「今、本当のやさしさが問われる」という話がなされていました。
今回は、休校が終わり2学期が始まる時点でそのことを改めて考えていきたいと教師らが提案をしましたが、生徒がまっすぐに受け止めて会が発足し、その活動は生徒主体でなされています。教師は、生徒自身がよく考えられるようにと見守りながらサポートし、アドバイスをしています。
自由学園という社会の中で、全校生徒がより主体的にこのことを考えるようになり、コロナ感染に限らず差別のない、互いを思いやることのできる社会を実現することができれば、それは学校の外の社会にもつながる活動になると、教師は会の今後の活動に期待を寄せています。

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