1月1日 新年礼拝に集う/近況 - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

1月1日 新年礼拝に集う/近況 - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

近況

1月1日 新年礼拝に集う

2012年1月1日

2012年1月1日、新しい年を迎え、午前10時より自由学園記念講堂にて新年礼拝が行われました。正面に創立者羽仁吉一先生の書「夕あり朝ありき」の額、その右側には西山英雄画伯による「桜島」の絵が飾られた清々しい会場に、学園在校生、父母、卒業生、教師ら、学園に連なる者が集いました。

男子部林教諭の司会により礼拝は進められ、矢野恭弘学園長が礼拝の中で、こうして皆で集えることへ感謝しつつ、新しい年を迎えての思いを語りました。その後仙台在住で、東日本大震災発生直後より支援活動に邁進されている男子部 42 回生松原正氏のお話を伺い、被災地を思い、今年なすべきことについても思いを深める時となりました。

讃美歌  411番  最後に329番
聖書   創世記1章 31節~ 2章1節
ルカによる福音書13章 31節~ 33節

矢野恭弘学園長は、羽仁吉一先生の「夕あり朝ありき」の書の上の方に、羽仁もと子先生が小さく「今日も明日も次の日も、我ら進み往くべし」と書き添えておられることから、今日の聖句を選びました。そして、「昨年は東日本大震災による大変な災害があり、創立90周年の年でもあり、忘れてはならない年となった。震災の他にも世界には 『神様はいない』と言いたくなるような戦争 、飢餓、貧困、 病気など沢山の問題がある。 でも私たちは『神様はいる』という生き方をして行きたい。」 と述べました。

また、昨年、クリスマス礼拝にお招きした渡辺和子先生(ノートルダム清心学園理事長)が話して下さったことを引いて、「自由学園は一人一人の 霊性 (たましい)を大切にする学園でありたい 。人は選択する自由を与えられているが、自由学園の自由は 『 よく生きる自由 』― 相手を思いやり、面倒なことでもしようとする 自由―である。マザー・テレサが、貧困にあえぐカルカッタに行き役に立ちたいと言った日本の学生に、まず「身近なカルカッタ」のために力を出すようにと話されたが、私たちも「身近なカルカッタ」を見つけ、東北のため、社会、学園、家族のために力を出すようにしたい。ミセス羽仁(羽仁もと子)は、文語体の聖書で 『 我は進み往べし 』 とあるところを、『我ら進み 往くべし 』 と書いている。私たちには共に歩むことのできる友がいる。自由学園は、 90周年記念教育報告会のテーマ『 生活即教育~社会につながる学び~ 』 を大切にし、私たちは必ず 『 よい社会を作ることができるのだ 』 という信念を持って、共に進んで行きたい。」と語りました。

松原正氏は、仙台市に単身赴任で在住。会社で震災に遭われました。大地震の翌日から、社員の安否確認をするために行った岡田地区、石巻、気仙沼などで、報道では伝えられないすさまじい実状を実際に目の当たりにしたこと。目の前で両親を津波にさらわれた 8歳と6歳の兄弟が、暖房もない中、数日後も津波に遭ったときの服のままでいたのを見て、仙台に戻って布団や毛布など、自分の持っているものを先ず届けに行ったことなど、実際に体験した人でなければ語れないことを話して下さいました。

また同僚とその家族 54 名のために会社の事務所の一部を避難所として受け入れ、水や食料の確保から始まる、避難生活で起こる実際的な問題に対処する際も、困難のある中でも被災されている方々の気持ちがまとまっていけるように「グループ分けにして仕事を分担する」「当番制にして皆が参加して役目をもつ」という工夫をされたとのこと。自由学園で寮生活や自治生活を通じて学んで身についたことが自然に発揮されていることの分かるお話で、ご自身も自由学園を出てよかったと実感されたとのこと。松原氏は震災直後から、個人の時間を差し出して支援活動を続けてきておられ、会社関係 の活動の他、震災後に女子部卒業生からの連絡がきっかけで仙台友の会とも ご一緒に活動をするようになり、そのネットワークのすばらしさや 働きが力強いこと、そして現在は同学会 ( 男子部卒業生 ) とも連絡を取り活動していることも話されました。 ( 松原氏には学園の生徒が支援活動に行ったときにもお世話になっています )

「皆さん、いつ地震が来るか 分かりません。十分に心の準備をして、とにかくまずは自分の身を護ってください。命があれば周りの人のために力を出すこともできます。今は、家族を亡くしたことを思い出し悲しむ方々の姿から、被災者の方々の心のケアが必要だと感じています。 10 月以降ボランティアが減ってきていますが、畑を元に戻そうとするには、埋まっている細かい瓦礫のくずを取り除く作業など、まだたくさんの力が必要です。」 と訴えられました。そして、「 旅行を考えるならばぜひ東北に来て 現地を見てほしい 」と話されました。
人と人とのつながりについて、改めて考えさせられる時を、新年礼拝で持つことができました。

 

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