7月12日(土)は緑が丘校舎2階ホールで7月の「みんなの日」が行われ、LA生119名(うちZoom参加1名)が参加した。
はじめに、石川リーダーの司会で礼拝が行われ、讃美歌461番「主われをあいす」を賛美した。
<「忘れられない人々」6期生・花澤 永さん>
「みんなの日」恒例の「忘れられない人々」は、6期生の花澤永さんが小学校時代にロサンゼルスの学校で出会った現地の友人とお世話になった産婦人科のドクターについてお話された。
小学校の1年から4年まで、私は父の仕事の関係で、ロサンゼルスの現地校に通った。そこで同じクラスになったキャシー・マレノさんは、先生から頼まれて極東からやってきた私の担当をしてくれた。英語、学校生活、アメリカの文化を丁寧に教えてくれて、半年も経たないうちに私は不自由なく生活ができるようになった。深い感謝と共に忘れられない人である。
もう一人は私のお産について下さった産婦人科のドクター斉藤幹先生。母から私を取り上げてくださった方でもあり、母の代からお世話になっている。娘の誕生の折に「花澤さん、この子は花澤さんの元に来た神さまからの大事な預かりものだから、大事に育んで下さい」とおっしゃった。この秋に母親になる娘にもこの同じ言葉を贈ろうと思っている。

<教養講座『美しく山を歩きましょう~登山のための基礎知識~』夏井正明氏>要約
今年度3回目の教養講座は、自由学園最高学部特任教授の夏井正明氏が『楽しく山を歩きましょう~登山のための基礎知識~』と題して、お話をされた。
日本の登山の歴史と特色
日本の登山は、世界で最も古い歴史を持つとされている。18世紀にヨーロッパで「近代登山」が誕生する以前から、日本では山岳信仰の一環として山に登る文化が根付いていた。四季折々の風景を楽しめる山々が日本全国に存在し、日本人にとって「山」は非常に身近な存在である。火山帯に位置する日本列島は南北に伸びる地形と多様な気候条件を備えており、どの地域においても個性的で魅力的な山々に出会うことができる。
登山の魅力とスポーツとしての側面
登山は観戦するものではなく、実際に参加して楽しむスポーツであり、推定600〜800万人の人々が日常的に関わっている。年齢や性別を問わず、誰でも自分のペースで楽しむことが可能であり、基本的には「競わない」ことが特徴である。そのため、自己責任で計画を立て、自分と自然、自分の身体との対話をしながら活動するスポーツである。
登山は身体にいい運動
登山は荷物を背負って坂道を歩くため、ゆっくり歩いても平地でのジョギングに匹敵する運動強度が得られる。単調なウォーキングと異なり、景観の変化があるため飽きずに続けられ、有酸素運動として脂肪燃焼にも優れている。
運動強度の目安は「220-年齢」で最大心拍数を割り出し、そこから安静時の心拍数を引いて目標運動強度を算出する。健康維持のためには、心拍数120以上の運動を1日30分程度、1日200〜300kcalの消費が望ましいとされている。登山では6時間の歩行で3000kcalを消費することもあり、日常生活では得られない高い運動効果がある。
みんなで登山
登山は性別・年齢を問わず楽しめるが、中高年層に特に人気がある一方で、事故のリスクも増加している。安全のためには、体力や健康状態を正確に把握することが重要である。加齢とともに以下のような体力の変化が生じる:①行動体力の低下:敏捷性・持久力・柔軟性などが50歳で約70〜80%、70歳で50〜60%に減少する。②筋肉の減少:30歳以降、10年ごとに4%、60歳以降は10%ずつ減少する。③防衛体力の低下:骨密度の低下により、転倒による骨折が起こりやすくなる。④体力差の拡大:40代以降は体力差が顕著になり、個人差への配慮が必要となる。⑤女性への配慮:筋力・骨密度が男性より劣るため、歩行速度・荷重・距離は男性の7割を目安とする。
登山と疲労
登山では登りがきつく感じられるが、ベテランはペース配分に長けており、無駄な疲労を避けている。初心者がバテる主因は歩くスピードが速すぎることである。登山時の歩行スピードは、平地の半分以下が理想とされる。登山中の事故は下りで発生することが多く、登りの8倍の頻度ともいわれている。下りは心肺には楽に感じられても筋肉には負担が大きく、筋力の低下で転倒リスクが高まる。対策として、歩幅を小さく、ゆっくり下る。ストックの使用、荷物と体重を減らす、緩やかなコースを選ぶことが望ましい。
登山では「炭水化物」と「脂質」が主なエネルギー源となる。朝食:でんぷんを中心にしっかり摂取する。昼食:定期的に少量ずつ、糖分とでんぷんを組み合わせて補給する。夕食:炭水化物を中心に、たんぱく質と脂質も摂取する。
運動によって発生する熱を冷やすために発汗が必要であり、それに伴い水分補給が不可欠である。目安は「体重×登山時間×5㎖」。60kgの人が5時間登山する場合は約1.5ℓが必要である。30分ごとに少量ずつ(100㎖程度)摂取するのが理想とされる。特に中高年は発汗機能が低下するため、熱中症対策は必須である。
登山における心構えと安全のために
登山に際しては、以下の点に注意することで安全性が高まる。①無理をしない:ガイドブックのコースタイムは健康な若者を基準としており、1.5倍を目安とする。②面倒がらない:天候に関わらず雨具は必携である。③意地を張らない:互いに健脚を競わない。④過信しない:過去の経験に頼らず、現状を正確に把握する。⑤リーダーを決める:判断力と知識を持った人に従う。
2024年の山岳遭難統計によれば、全国で2,946件、3,357人が遭難した。そのうち中高年(40歳以上)は2,678人(約80%)、死者・行方不明者300人のうち275人が40歳以上であった。主な原因は道迷い(30.4%)、転倒(20.0%)、滑落(17.2%)。
スマートフォンによる救助要請は全体の約73%にのぼるが、電波の届かない場所やバッテリー切れもあるため、過信は禁物である。現在は通信各社によって山頂直下への太陽光発電基地局の設置が進められており、今後は通信環境の改善が見込まれる。

教養講座終了後、LA賛歌を皆で歌った。
<諸報告>
①10期生の自己紹介1名
②最高学部4年生より卒業研究「ペットについて」のアンケート協力のお願い
報告後、体操選択クラスの渡邉恭子先生のご指導で、その場で出来る生活体操で体をほぐした。
<昼食>
昼食は、初等部食堂で家族ごとにいただく。
メニューは、ビピラフ、ベイクドポテト、グリーンサラダ(大葉・みょうが)、ミニトマト。ベイクドポテトに使用したジャガイモは土の会の生産。
<午後の集い:ニッケルハルパ演奏会>
午後1時30分から、緑が丘校舎2階ホールで、スウェーデンの伝統楽器であるニッケルハルパ(鍵盤ハープ)の第一人者・小柏奈々さんの演奏と映像を交えたお話があった。
前半のニッケルハルパの演奏は、初めて聴く音色に皆、聴きいっていた。
後半は、6,7月の短い夏を楽しみ、白夜の夜にステンマに集まって合奏、また一日中陽が沈まない夏至のお祭りでは、きれいな民族衣装を着てカップルダンスを踊る映像を見ながらのお話を楽しんだ。
最後に、スウェーデンの歌曲「ブリンカ リッラ ファルナ ダァル ~きらきら星」、「イェンタ・オ・ヤ~トットコ」をニッケルハルパの伴奏で合唱した。

演奏会後の15時より、方面別の顔合わせを行った。15時半に終了した。