講師は美術評論家の谷岡清氏。世田谷区生まれ。1960年東京大学を卒業後、日本経済新聞社に入社。1997年同社を退社し、「彩美社」を設立。2008年NPO美術教育支援協会・理事長に就任、現在に至る。
数多い世界の美術館の中から、特に優れた作品を持つ美術館を選び、詳細な解説とともにじっくり名品を鑑賞する。時間に追われる美術ツアーでは見過ごしがちな細部まで、最新の鮮明な画像で再現し、居ながらにして世界の美術館や歴史的遺跡探訪の楽しさを満喫する講義となっている。2019年度は全8回。
今年度巡った美術館は、「大英博物館」(5月)、スペインの「プラド美術館」(6月)、「エジプト考古学博物館」(7月)、今回9月は「ワシントン国立美術館」。
「ワシントン国立美術館」の所蔵品は12万点にも及び、展示をすべて鑑賞するのには3日はかかるそうだが、当「美術館巡り」では、2時間で鑑賞する。「鑑賞」は、講師の谷岡清先生撮影の写真をベースに作られた、パワーポイントのプレゼンテーションによる。ちなみに今回、谷岡先生が用意されたプレゼンテーションは、177ページもあった。 「楽園追放」、「受胎告知」、「聖母子」といった聖書からの題材を描いた絵が鑑賞の中心。絵の制作年は1300年代から1500年代に及び、画家もダ・ヴィンチを含め多彩。「ワシントン国立美術館の至宝」という観点で選ばれた優れた作品の紹介もあった。お話は、「ワシントン国立美術館」のほかにも広がり、それぞれの題材を扱った著名な絵画の比較鑑賞会にもなった。谷岡先生は、絵に描かれたものの内容だけではなく、他の絵画からの影響、描いた画家の思い、対象となった人々の、絵の中における会話や心情にも触れる。
まことにユニークで、学生たちの人気は高い。 森 義一(2期生)