3月16日(土)「みんなの日」 教養講座と修業式/「みんなの日」の様子 - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

3月16日(土)「みんなの日」 教養講座と修業式/「みんなの日」の様子 - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

「みんなの日」の様子

3月16日(土)「みんなの日」 教養講座と修業式

2024年4月12日

3月16日(土)の午前中は3月の教養講座を最高学部食堂で、また午後には2023年度修業式を記念講堂で行った。LA生133名(うちzoom参加4名)が出席した。

はじめに、石川リーダーの司会で礼拝が行われ、讃美歌405番「神と共にいまして」を賛美した。  

<「忘れられない人々」3期生・知久淳子さん>

「忘れられない人々」は、3期生の知久淳子さんが、60年程前の旅の思い出についてお話しされた。

今から60年ほど前の東京オリンピックの翌年1965年、当時学生だった私は、海外渡航研究会(サークル)に所属。当時返還前の米の統治下の、最も近い外国の沖縄への旅行を計画した。時間はあるが、お金のない私たちは、鹿児島まで列車で、その先は船で沖縄を目指した。那覇では国際通り沿いのユースホステルに宿泊。当時の国際通りにはお店はまだ少ししかなく、首里城跡は焼け野原で、いちはやく再建された守礼門だけが立っていた。現在平和祈念公園になっている魔文仁の丘には、大きなガマがあり、ヘルメットややかんが転がっていて、地上戦最激戦地の名残があった。ひめゆりの塔も当時は1本の塔婆だけで女性の方が泣きながら花を手向けていた。当時はベトナム戦争の真只中で、嘉手納基地は戦車に埋め尽くされていた。そんな時代にきれいな海もアメリカ人のプライベート・ビーチとして占領されていたのであった。これが60年ほど前に私が見た忘れえぬ旅である。

<教養講座『帰りたくなる家~家の整理は心の整理~』山崎美津江氏>要約

今年度最後の教養講座は、山﨑美津江氏(相模友の会会員)に『帰りたくなる家~家の整理は心の整理~』と題して、お話をしていただいた。

  • はじめに

羽仁もと子著作集第九巻『家事家計篇』の「置き場所のきまった家」という文章の中に「適正な置き場所を備えること。そこから天から与えられた使命を果たす働きが無駄なく合理的にすることができる」と書かれている。この言葉に基づいて、友の会の一員として今日のお話しをさせていただく。

2)全国友の会について

全国友の会は、全国そして海外も含め全部で180の友の会があって、現在会員数は約14,000人。私は南関東部の相模友の会に属している。学校法人自由学園、婦人之友社、そして全国友の会(公益財団法人全国友の会振興財団)が、創立者を同じくする3団体として連携をして活動を行っている。全国友の会は1930年11月に誕生し、翌1931年には「人間生活の基礎工事、その最もよい仕事場とは社会の最小単位の家庭である」との思いによって家庭生活を合理化することでどんなに社会がよくなるかとの希望をもって『家庭生活合理化展覧会』が開催され、55万人の来場者があった。

3)人生100年時代を迎えて

生活合理化展覧会が開かれた時からおよそ100年が経過した今、ワークシェアリングということが盛んに言われるようになった。若い世代は、夫婦共働きと子育て、シニア世代も生活の中で脳を鍛えることが大切と言われて、既に「男子厨房に入らず」という言葉がタブーとなっている。私たちの暮らしは、衣・食・住共に、外注化・機械化などのサービスが発達して、すべて自分でする必要はなくなってきた。しかし、外出先から帰宅した時に、ゆっくりできて身も心も回復できる復元できる家でありたい。そのような家にするには、まず外注するものと自分たちで手作りするものを相談することで、その家の暮らしの見取り図ができると思う。

年齢を重ねるに従って、生活の中で自分のしたことの記憶が徐々に薄らいでいくので、それらを記録に残すことが大切で、友の会では家計簿をつけたり、時間しらべをすることを推奨している。そして「家庭は簡素に、社会は豊富に」ということを大切にしている。豊富を表すabundanceの中に含まれているラテン語のundoには溢れ出す、周囲に流れていくという意味があり、羽仁もと子は家庭から社会に良い流れが広まっていくという意味を込めているのではないかと思う。

4)居心地のよい家にするために

脳の中にあるグリア細胞の研究をされた脳科学者の澤田誠氏は、「本来人間はその持てる力を100%発揮できる可能性を持っているが、それを阻んでいるものは睡眠が不足しているからだ」と述べている。私たちの快適な睡眠を可能にする居心地のよい家にするためには、暮らしの変化を柔軟に受けいれて、我が家では今何をしなければならないかを考えることが大切である。そして快適な居場所をつくるための決め手が、「置き場所を決める」ということになる。小学生のおられるご家庭のアンケートによると、特に人の出入りの多いキッチン、玄関、洗面所を整理しきれいにキープしたいと思っていることがわかった。また今一番困っていることのアンケートをしたら、①食器棚の合理的な活用法&収納方法、②リビングがすぐ散らかる……、③どんどんたまる新聞、DMの山、④家族の協力はどうすれば、⑤テーブルの上が片付かないが挙げられた。

5)家の整理は、どんな家にもあるキッチンからスタートする

2011年東日本大震災の後、被災された東北地方に3団体で協力して支援活動を行った。その時に、本来であればキッチンにあるはずのものが屋外に散らかっているのを見て、キッチンがあって3食を食べられることがいかに幸せなことかを痛感した。1919年ドイツで女性の家事労働の解放を目指して展開したバウハウス運動では「家庭の文化はキッチンから」「キッチンは文化の証」と言われた。藤原辰史著『ナチスのキッチン「食べること」の環境史』には、第二次世界大戦の富国強兵の政策の下で、ドイツの民衆が1つの鍋に様々な食材を投げ込んだ料理アイントプフを強要されたことが書かれている。私たちの暮らしの中心にあるキッチンはどのようなことがあっても、時代に翻弄されることがあってはならない。平和な社会、世界を考えるために、今あるキッチンからものを考えて社会に働きかける使命があるのではないか。

いろいろなお宅を訪問する際に、まずキッチンの中にしまわれているものを、すべて並べることから始める。するといかにものに恵まれて生活しているかがわかる。並べられたものを、まずいるか、いらないかを見極める。そして、種類・用途・使用頻度によってものを整理すると、自然と置き場所が決まる。置き場所のコツは、取り出しやすく、使いやすく、しまいやすいこと、そして一目瞭然、小さなものには指定席を決めること、そして使ったら元に戻すことである。

6)我が家の様子

我が家での経験をもとにして、婦人之友社から『帰りたくなる家~家の整理は心の整理』(2019年)、『再出発整理~心地よい居場所とお金のつくり方』(2023年)を発行した。私は友の会に属して47年間時間調べと家計簿記帳を続けてきた。時間の使い方については、生理的必要時間、家事時間、社会的・文化的時間の3つの時間の割合の推移が、家計については、基本的支出、家庭変化への対応、周囲のとの関係の3つの支出項目の割合の推移をグラフにして表すことができる。私たちの生活は、時間とお金を使って行動する。その中でこのようなグラフを通して、様々なことに気づくことが生活の根の養分となって、今の暮らしよりもっとよいもの時間とお金を使うことを考えることが出来るようになる。

我が家では、ものの置き場所をはっきりするために、それぞれのものを入れた容器に、すべて何を入れる容器かがわかるようにラベリングをする。すると物の指定場所が決まって、

家事をするときのルートが決まり、家事動線が決まる。すると日々のルーティン―がスムースに進められるようになる。それぞれの物の使い方の本質を考えた置き場所が重要になる。『家事家計篇』の128頁には「われわれの家からガラクタをすっかり淘汰してしまっても、置き場所をきめることのできない家は、やはり散らかってしまいます」と書かれている。私たちは、このように学んだことを自分の身の回りに、そして次の世代に引き渡していく使命があるのではないだろうか。

<諸報告>

  • 最高学部ゼミの参加について
  • 高等科生徒より秋田農園での活動へのご協力のお礼
  • 来年度の委員会の在り方について
  • 最少開講人数に達しなかった選択クラスについて

午前の部終了後、最高学部棟の前で生活体操を行う。

<昼食> 

昼食は、手作りのお食事をいただく。メニューは、ご飯、ぎせい豆腐、さつまいもとリンゴの重ね煮、海苔酢和え(キャベツ、小松菜、もやし)。

 

<修業式>

13時30分より、2023年度修業式が行われた。

はじめに、石川リーダーから、新しい緑ヶ丘幼稚園跡への移転を行った1年であったが家族長会の方々を中心に各自の責任を果たして下さったお蔭で無事に1年間の活動が行えたことなどこの1年を振り返る話があった。

続いて、修業の印「ゆかり証」を代表の各家族長に高橋和也学園長から手渡され、その後、ウクライナ支援への感謝、共生学を通して異年齢の繋がりから感じる可能性、一生学び続けることの大切さなどの話があった。

家族長会リーダーの田中延枝さん、和田美恵子さんからLA生に支えていただいたことへの感謝が述べられ、最後にリビングアカデミー賛歌を歌い、修業式が終了。その後、集合写真を撮影した。

<感謝会>

14時45分から、最高学部食堂にて、LA家族長会主催の感謝会が開催された。

出席してくださった講師の方々、リビングアカデミースタッフに、1年の感謝をこめてアート&クラフトグループ作成の手作りカードが贈られた。続いて、講師の方々からこの1年を振り返り、また来年度を前にしての思いを話していただいた。またコーラスクラスによる合唱も披露された。

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