10月19日(土)は、緑ヶ丘校舎2階ホールで10月の「みんなの日」が行われ、LA生104名(うちZoom参加2名)が参加した。
はじめに、石川リーダーの司会で礼拝が行われ、讃美歌380番「たてよ、いざたて 主のつわもの」を賛美した。
<「忘れられない人々」4期生・鈴木裕子さん>
「みんなの日」恒例の「忘れられない人々」は、4期生の鈴木裕子さんがふるさとにゆかりのある多くの人との出会いについてお話しされた。
私は福島県の小さな町で育ち、大学でふるさとを離れて上京した。ふるさとを離れてから、不思議なことにふるさとにゆかりのある多くの人と出会うことになった。女子短大在学中には、部活の友達が私の方言交じりの話し方で両親を思い出し、その両親がふるさとの出身、そしていとこが小学校の同級生だったことがわかった。短大卒業後鎌倉で過ごしている時に、近くに小学校から高校までの同級生が働いていた。また高校時代の友人が大学時代に結婚した夫と同じサークルで活動していたこもわかった。結婚後に公務員であった夫の宿舎のママ友が、ふるさとの後輩だった。その後所沢に引っ越すと、近所に高校の同級生が住んでいて、ある日旧姓で声をかけられ昔の話に花が咲いた。またパートで働いていた時、学生時代の後輩に出会い、そのお母さんが同郷であることが判明。そしてLAに入ってからは4期生のある方のお父さんが同郷であることを知った。ふるさとを離れてから行く先々で出会い、今でも親しくしていただいているこれらのふるさとにゆかりのある方々が、私の忘れられない人たちです。
<教養講座『先住民の知恵に学ぶ~自然との共生をめざして』岡田 淳氏>要約
今年度5回目の教養講座は、岡田淳氏(認定NPO法人アースマンシップ代表理事/自由学園最高学部卒業)に『先住民の知恵に学ぶ~自然との共生をめざして』と題して、お話を伺った。
はじめに
今日は私がアメリカの先住民(ネイティブ・アメリカン)の地を訪ねて経験したことや学んだことをお話したい。街を出て、荒野の奥地まで訪ねていくと、今も荒野の中で暮らしている先住民の集落があり、更に奥地へ入ると、昔先住民が住んでいた住居や遺跡と出会える。今日そしてこれから先、私たちがこの地球上で安全に豊かに暮らしていくために、先住民の知恵や技術から学べるものが多いと思う。
北米の先住民について
例えばアメリカ南西部のナバホ族の聖地モニュメントバレーは赤色砂岩の荒野が続いている。今日の私たちの日常は、便利なものに囲まれているが、荒野の中では水を見つけることも難しく、暑さや寒さを凌がなければならない。このような厳しい環境で生きぬくためのサバイバルの知恵や技術から、そもそも私たちが生きていくとはどういうことなのか、また人と自然との調和について考えることが出来ると思う。
北米には昔から多くの先住民の部族が存在していたが、それぞれの部族は特有の言語や習慣を持っていた。自然の中で生活していた彼らは精神的なところ・スピリチュアルなことを大切にし、祈りや感謝からすべてのものごとを始めていた。
トム・ブラウン・ジュニア著『グランドファーザー』
私が先住民についての関心を持つきっかけとなったのが、トム・ブラウン・ジュニア著『グランドファーザー』(1998年・徳間書房 絶版)=「グランドファーザーの生き方(2013年・ヒカルランド 現行本)」である。
「グランドファーザー」という本は、その部族の間で精神面でも古来の技術面でも優れていたために若いころからグランドファーザーと呼ばれていたストーキング・ウルフという一人の先住民の生涯を描いている。
著者のトム・ブラウン・ジュニアは8歳の時にストーキング・ウルフに出会い、彼から先住民に伝わる古来の技術とその精神を学んだ。本書では、ストーキング・ウルフが放浪の旅と探求の中でどのようにして古来の技術を獲得していったのか、どのような環境や指導の下で悟りを得たのかを伝えている。
古来の技術の背景には必ず精神性を含むストーリーがあり、それがすべてつながったときにその技術が本当に完成する。そして本来の技術が完成したときには、人と自然との関係は戦いではなく、調和の関係となる。
ネイティブアメリカンの代表的な技術:
1)サバイバル:生き抜くため生活をするための知恵と技。 2)アウェアネス:いろいろなものに触れて観察し、気付き、見抜く知恵と技。 3)トラッキング:動物の足跡を見つけ、その動物の種類や状況(急いでいたのか安心していたのか、お腹がすいていたのかなど様々なこと)を読み解く技。事件の犯人を探し出す等、物事を観察し何が起きているのかを知る技。 4)ストーキング:静かに忍び寄り、相手に察知されずに動く技。 5)ケアテイカー:自然に適切な手を入れることでより調和のとれた健全な自然を育てる技。 6)フィロソフィー:技術と精神を総合して捉える哲学。
こうした技術と精神は一体のものであり、何のための技術であるかというストーリーが伴っている。そして、この技術は人と自然の間の戦いの道ではなく、均衡と調和の世界に導くものであり、洗練されたサバイバル技術は自然と人間との間の無意味な戦いに終止符を打つものである。
聖なる順序(SACRED ORDER)
生きるために必要な優先順位というものがある。まず空気がなければならないがそれに続いて以下のものが必要である。
1)シェルター:安全で快適な体温を確保できる休息場所。自然の中では木の葉や枝などの身近にあるものを集めて作る。2)水:安全な水を手にいれる。荒野の中ではどのようなところに水があるかを感じとり見出す。3)火:安全・風向き・湿気などを考慮して場所を選び、サイズ・乾き方・樹種・分量・燃えやすさ・持続力を考えて薪を集め、弓切り式・錐もみ式などの火起こし術で火をおこす。4)食べ物:野草・木の実、穀物などまたは足跡を追って狩りで捕った動物を焼いた石の上や直火で調理する。
上記の知恵と技術は今日の3の法則というものにも表されている。それがない中でどれくらい生存できるかを表す時間が、大まかに空気なしが3分間、シェルターなしが3時間、水なしが3日間、食べ物なしが3週間と言われている。
人間そのものを理解する
人間とは、物質的・肉体的な世界の外に精神的・霊的な世界があり、全部で4層に広がっている存在である。物質的・肉体的世界を球体の小さな部分1として、それを囲む2~4の大きな世界が存在する。
1)物質と肉体だけの死せる人生・棺桶の中の人生。2)すべてのものに生ける精霊・気の世界。3)精霊の世界。4)シャーマンの世界。
ワイド・アングル・ヴィジョン
私たちは普段の目の使い方として1点ずつものを見ていく見方をしているが、一度に自分のまわりのすべてを同時に見る野生の視野・先住民の視野を持って全体を見ることで、身の回りに起きている危険を瞬時に察知することができる。(これについては、午前の最後に外でワークショップを行う)
全体を見る見方が出来ると1)心身の感覚が広がりリラックスする、2)210度以上の広い視野を持てる、3)素早い動きに楽に対応できる、4)危険をかわしやすい、5)場に溶け込み浮いた気配がなくなる、6)暗闇の中でも全体が捉えやすい、7)直観力が向上する、8)視力が向上する。
その場と一体になり、リラックスしたクリアーな感覚をもち、安心・安全を得ることが出来るようになる。彼らは自分は地球の一部であると同時に、地球は自分の一部であるという。
今地球で起きていることを自分自身が感じとること、専門家やメディアという他者の情報だけに頼るのではなく、自分自身が地球の声を聞くことが大事である。これこそが本当に地球人が安全に豊かに生きていけるサバイバルの道ではないだろうか。
教養講座終了後、LA賛歌を皆で歌った。
<諸報告>
- 12月3日(火)コンサート「若者たちの未来に心を寄せて ウィーン・フーゴ・ヴォルフ三重奏団」のご案内
- 能登の支援活動について最高学部学生からの報告
- 婦人之友社より新サービス「自費出版のサポート」事業のご紹介
午前の部終了後、緑ヶ丘校舎前庭で岡田淳氏によるワークショップを行う。
<昼食・自己紹介>
昼食は、初等部の食堂で手作りの昼食をいただく。メニューは、ご飯、生産ふりかけ、
筑前煮、野菜の甘酢づけ、ベイクドさつまいも。
LAの畑で収穫した大根の間引菜を甘酢漬けに、さつまいもをベイクドさつまいもに使った。
昼食をいただきながら、4月に入学した8期生3名の方の自己紹介を伺う。
その後、自主活動の報告、LA祭のリーダーからの報告などがあった。
<午後の集い:家族ミーティング>
午後1時45分から、LA祭の学生リーダーの指示の下で、LA祭の用意を行う。午後2時半頃には終了。
その後、家族長の集まりを約1時間行い、それぞれの家族の活動状況を共有した。