12月21日(土)は、緑ヶ丘校舎2階ホールで12月の「みんなの日」が行われ、LA生111名(うちZoom参加2名)が参加した。
はじめに、石川リーダーの司会で礼拝が行われ、讃美歌103番「牧人ひつじを守れるその宵」を賛美した。
<「忘れられない人々」4期生・五月女恵子さん>
「みんなの日」恒例の「忘れられない人々」は、4期生の五月女恵子さんが夫のサンパウロ赴任中にポルトガル語を教えてくださった先生との交流についてお話しされた。
今から30年以上前、夫の赴任先のサンパウロで過ごすことになった。まず語学学校で週2回、家庭教師から週1回ポルトガル語を学び始めた。そこで出会ったのが忘れることのできない先生である。治安を心配して外出さえ控えていた私に、先生はまずブラジルの社会に溶け込むようにとアドバイスをくれた。服装も変えてTシャツ、ジーンズ、スニーカーに。現地の人たちとテニスなどで交流することからはじめ、ホームパーティ、サッカー観戦、旅行などブラジルの生活を楽しめるようになった。しかし1年半ほど経ったころ先生は膵臓癌が見つかり教えることをお辞めになった。子どもの入試のために一時帰国したあと、再度サンパウロに戻った時には、先生は既にこの世におられなかった。ブラジルのたくさんの楽しみに導いてくださった先生が私の忘れられない人である。

<教養講座『ミツバチと人と自然環境』藤原由美子氏>要約
今年度6回目の教養講座は、一般社団法人日本在来種みつばちの会事務局長の藤原由美子氏に『ミツバチと人と自然環境』と題して、お話を伺った。
はじめに
(一社)日本在来種みつばちの会は、1989年6月に設立した全国組織で現在会員は950名余り。①二ホンミツバチの生態研究と保護活動、②二ホンミツバチを接点とする会員同士の交流、③自然環境保全、④ミツバチ産業の健全育成の推進を主な目的として活動している。
二ホンミツバチの本来の住処は樹のウロなどであるが、現在では、人家の床下、納屋、お墓の中などに巣をつくることもある。いろいろなタイプの巣箱で趣味として飼育されることが多い。それに対して、明治時代後半に海外から導入された外来種のセイヨウミツバチは、商業用として規格の巣箱で飼育されている。現在販売されている蜂蜜のほとんどはセイヨウミツバチで採ったものである。
1. ミツバチと植物との共生関係・ミツバチや昆虫がもたらす恵み
働きバチは、巣から半径約2~3km圏内の多種多様な花から花蜜や花粉を集めて来る。幼虫の餌は花粉(タンパク質)が中心、成虫の餌は蜂蜜(炭水化物)、女王バチの餌(ローヤルゼリー)は花粉から作られる。また六角柱の組み合わせの巣は、働きバチが蜂蜜からつくる蜜蝋が材料である。つまり食べ物と住処すべてを花に頼っている。一方、植物の方はミツバチや各種昆虫、鳥などによる受粉を待っていて、お互いが共生関係にある。
ミツバチの生産物は蜂蜜だけではなく、蜜蝋、プロポリス、ローヤルゼリー、花粉粒、蜂の子、ミード(蜂蜜酒)、蜂毒(鉢針治療)等多様であり、健康食品や医療・美容に利用されている。実はこれらの生産物より経済的に貢献しているのは、他の昆虫と共に作物の花を受粉し、私たちに豊かな農作物をもたらしてくれることだ。さらに自然生態系においては、多様な植生の持続的な循環に計り知れない貢献をしている。
2. 興味深いミツバチの生態・スズメバチの役割
1) 社会性昆虫のミツバチ
ミツバチは社会を作って暮らしており、1つの群れに女王バチ(すべてのハチの母親)1匹、働きバチ(メス)2万匹以上、繁殖期だけに生まれる雄バチがそれぞれの役割を担っている。働きバチは、体の腺の発達に伴って仕事の内容が変化し、巣の掃除から始まり、幼虫や女王バチの世話、巣作り、門番役、野外で花の蜜や花粉を集める仕事等をしている。働きバチは女王物質によって卵巣の働きが抑制され、正常群では女王バチが独占して産卵する。最盛期には1日に1000個以上産卵する。雄バチの役目は女王バチと交尾をすること。交尾した雄は即死する。
2)巣別れ(分封)
越冬が終わると、女王バチの産卵が始まり蜂の数が増えてくる。盛岡周辺の場合、5,6月を中心に新女王バチが誕生し、その頃分封が起こる。たまにテレビで「蜂の大群がいます!」と放映されることがあるが、これが分封という現象で、本来ミツバチはこうやって増えていく。ダイナミックな現象であるが、人騒がせなうえ、手持ちの蜂を減らすことにもなるので、分封をコントロールするのも養蜂の重要な技術である。
3)8の字ダンス
働きバチは採餌から巣へ戻ると、巣板上で8の字を描くダンスの様な動きをして、自分が行ってきた花までの距離と方向を仲間の蜂に伝える。花の位置情報を伝達することで、より多くの働きバチが同じ花に行き、効率よく蜜と花粉を集めている。8の字ダンスの仕組みを発見したフーリッシュ博士は、1973年にノーベル賞を受賞した。
4)ニホンミツバチに特有の生態
ニホンミツバチは、分封の時期に咲くキンリョウヘンというランの花の香りに誘引されて花の上に群れごと集合する。このランはニホンミツバチを利用して受粉してもらっているのだ。セイヨウミツバチはこのランに全く誘引されない。
秋季、オオスズメバチがミツバチを襲う。肉食の幼虫がタンパク質を必要としているからだ。二ホンミツバチはセイヨウミツバチと異なり、「巣門周辺の塗り付け行動」や「熱殺行動」などの対抗手段があり、全滅を免れることができる。
スズメバチは人にもミツバチにも被害を与えるが、里山の生態系の維持にとってはなくてはならない存在だ。ある種の花の受粉や種子の拡散に貢献し、作物につく害虫の駆除にも役立っている。もしスズメバチ類がいなければ虫だらけになってしまうだろう。スズメバチの巣は樹皮に唾液を混ぜて作られていて、漢方薬として使われる。また、幼虫が分泌するアミノ酸溶液を人工的に再現したアミノ酸混合物がスポーツ栄養飲料として販売されている。
3.ミツバチを取り巻く環境の悪化と啓発活動の推進
ミツバチを取り巻く環境は厳しくなる一方である。蜜源・花粉源植物の減少、農薬等の化学物質の被害、気候変動などによって群れの免疫力が下がり、病気やダニの出現が頻発し、多くのミツバチの群れが全滅してしまう。また、昆虫に対する意識が変化し昆虫を嫌う人が増えた。昆虫は受粉、種子の拡散や散布、動物の死骸や糞・落ち葉の分解、鳥や他の生き物の食糧になるなど、とても大切な役割を担っている。
この様な厳しい状況の中で、当会では会員の方々がニホンミツバチの保護活動や植樹を精力的に行っている。また、私も含め会員がミツバチや自然の大切さを一般の方々に伝える啓発活動を行っている。実際にミツバチに触れたり観察したりする体験見学を実施すると、その前後でミツバチに対する感覚が変わる人が多かった。個人でもできることの一つとして、庭がある方は化学物質を使用しないガーデニングをしていただけたらと思う。
環境省は、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として保全する目標を立てている。自然全体を保全することで、気候変動と生物多様性の喪失の両方を改善していこうとしているのだ。自然界には面白いこと、不思議なことがたくさんある。子供の頃から自然体験の中で、生き物や土に触れてワクワクする感性「センス・オブ・ワンダー」を育むことが、生物多様性や自然環境を守りたいという気持ちにつながっていくと確信している。

教養講座終了後、LA賛歌を皆で歌った。
<諸報告>
- 新スタッフの酒本絵梨子先生(最高学部所属)の紹介
- クリスマス献金について
- クリスマスカード、カレンダーについて
- バザーについて
園庭に出て、生活体操を行った後、昼食のために初等部食堂に移動。
<昼食・自己紹介>
手作りの昼食をいただく。メニューは、胚芽丸パン、ローストチキントマトソース、
大根ベーコンビーツのサラダ、ベイクドポテト、ブロッコリーの振り塩とクリスマスらしいメニュー。土の会の育てた長ネギはトマトソースに、大根葉はサラダに使われた。
昼食をいただきながら、4月に入学した9期生3名の方の自己紹介(第6回)を伺う。
その後、自主活動の報告があった。
<午後の集い:クリスマス・コンサート>
午後1時半から、最高学部学生と音楽の先生方による「クリスマス・コンサート」が行われた。プログラムは以下のとおり。名前に*印がついているのが最高学部生。
〈第Ⅰ部〉
~ミュージカル~
・美女と野獣より 『ポット夫人のおもてなしのうた』 武田若菜
・ウェストサイド物語より 『トゥナイト』 高橋大智*
~オペラアリア~
・プッチーニ作曲 オペラ「ドレッタ」より 『ドレッタの夢』 八谷早記*
・プッチーニ作曲 オペラ「トゥーランドット」より『誰も寝てはならぬ』 高橋大智*
・ドリープ 作曲 オペラ「ラクメ」より 『花の二重唱』 武田若菜 永野馨
・カタラーニ作曲 オペラ「ラ・ワリー」より 『さようなら故郷の家』 永野馨
・プッチーニ作曲 オペラ「トスカ」より 『歌に生き、愛に生き』 武田若菜
~ピアノ独奏~
・J・S バッハ作曲 『イタリアンコンツェルト1-3楽章』 佐々木順子
〈第Ⅱ部〉
~4人の作曲家によるアヴェマリア~
- バッハ=グノー作曲: 八谷早記* ②シューベル作曲:高橋大智*
- カッチーニ作曲: 永野馨 ④ルッツィ作曲: 武田若菜
~クリスマスの曲から
・『ホワイトクリスマス』(ピアノ演奏) 佐々木順子
・『O holy night』 武田若菜
~皆様とご一緒に~
・讃美歌『きよしこの夜』 永野馨(1番のみ独唱)
・讃美歌『あらののはてに』
15時前に終了。
