6月16日(土)「みんなの日」の講座は理事長先生のピアノとお話しでした/近況 - 自由学園 リビングアカデミー(45歳以上の方々の学校)

6月16日(土)「みんなの日」の講座は理事長先生のピアノとお話しでした/近況 - 45歳以上の方々の学校【自由学園 リビングアカデミー】

近況

6月16日(土)「みんなの日」の講座は理事長先生のピアノとお話しでした

2018年6月21日

今日の教養講座は、自由学園の理事長、村山順吉先生によるピアノを弾きながらのお話です。先生は、自由学園在学中に音楽の道へ志し、国立音大を卒業されてからプロのピアニストとして交響楽団との協演や、東京文化会館やサントリーホール等でリサイタルを開くなどの活躍をされました。その一方で、東京学芸大学大学院で教育学を学び、未就園児から大学院の学生まで幅広い年齢層を対象とした教育に力を注いでおられます。昨年、自由学園の理事長に就任されてから、毎朝のように幼児生活団幼稚園の門の前で園児を迎えたり、近所の人と話をされたりしているので、姿を見かけた人もいるでしょう。その子ども大好きの先生が選んだテーマは、「ドビュッシー作曲『子供の領分』をめぐって」です。

講演の内容は、単なる子どもに関する音楽談義ではなく、もっと深いものでした。音楽とはあまり縁がない家庭に育ったドビュッシーが、その天分を認められ、10歳で入学を許されたパリ高等音楽院において味わったであろうプレッシャーと孤独感。前衛的な音楽に目覚めた若き天才が、伝統志向の教師たちの間で感じたであろう反発心。自分の性格も加わって破綻した過去の家庭生活と、その挫折感や罪悪感。そうした重層的な要素が『子供の領分』という曲の中に、またその献辞=「私の愛する小さなシュウシュウ(愛嬢)に、これらの作品への父の優しい言い訳とともに」という言葉の中に反映しているというのです。6つの組曲一つ一つを奏でながら、その背景をお話しされました。

さらに、講演の中では、耳の障害を持ちながら音楽に魅せられてしまった若き日の村山先生ご自身の絶望感や、それを優しく包んでくれた恩師やご家族の愛情について触れられました。少子高齢化の中で日本社会のマイノリティーとなってしまった子どもたちに対して、優しい居場所=学校を作らなければならないことについても話されました。先生の教育者としての原点だと思います。

こうしたお話を踏まえて聴いたドビュッシーの『子供の領分』には、格別の感動がありました。今まであっさりと聴いていたその中の小曲「雪は踊っている」にも、これだけの思いが詰まっているとは! 新たな発見に満ちた一日でした。

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