1月26日(土)みんなの日の教養講座は「染織技術史」のお話でした/近況 - 自由学園 リビングアカデミー(45歳以上の方々の学校)

1月26日(土)みんなの日の教養講座は「染織技術史」のお話でした/近況 - 45歳以上の方々の学校【自由学園 リビングアカデミー】

近況

1月26日(土)みんなの日の教養講座は「染織技術史」のお話でした

2019年1月26日

今回の教養講座は、ニューヨークのメトロポリタン美術館で37年を過ごされ、初代の染織品保全部長をされた方のお話でした。講師は梶谷宣子先生、演題は「染織技術史に学ぶ天然の導き」です。

言われてみれば確かにそうなのですが、染織品というのは、本当に色々な人の手を借りて作られているのですね。しかも材料は、その時代その時代に、その土地その土地から与えられたもの。したがって、美術館で古い染織品を保全・修復する時は、それらが作られた現場の環境や作り手の“技”を知っておかなければならないそうです。

これを先生は、「染織品が宿している作られた時代と風土の天然の業(ゆず)りを永らうには、今も当時の天然の業りに近い技で援ける」ことが必要だと表現されました。また、「古来、人間は自分の七里四方にあるもので生きて来た」とも、「それが大地に借りを作らない生き方に繋がる」とも話されました。

先生は、1947年に自由学園の女子部へ入学された大先輩。自分の手を労して生活の品も美術品も作り上げていくという教育を受けながら、南沢考古学のグループにも属していたとのことです。こうして様々なことを自分の手で学んだことが、その後の一生の基礎になったとうかがいました。自由学園には、ドイツ・バウハウスの影響も受けて工芸研究所を設立し、1937年のパリ万博に「山と波」というタピスリーを出展して高く評価されたという伝統があります。こうしたプロジェクトを自分の手で実現してきた諸先輩から学べたことも、先生の力になったようです。

卒業後は、しばらく日本で手織物や花筵などの物作りを学ばれ、その後、ワシントンの染織博物館を経てメトロポリタン美術館に就職されました。美術館では、時代別・地域別の美術分野ごとに管理され保全に不安があった染織品を一元的に取り扱う「染織品保全部」を立ち上げたり、作られた時代に近い技術や材料を使って修復するやり方を定着させたりと、本当に染織のことを知った先生でないとできないことを色々と実現されたそうです。

講演の最後のスライドは、自由学園創立者の一人である羽仁吉一氏の書、「志アル者、事ツイニ成ルナリ」という言葉でした。本当にそのとおりの一生だと思いました。

先生の講演には、糸を紡ぐ、糸を繰る、糸を績(う)むなど、美しい日本語がたくさん織り込まれていました。その後の質問タイムで、「海外生活が長いのに、その美しい日本語はどこで学んだのですか」という問いに対し、きっぱりと「自由学園の女子部です」との答え。そういえば、TextileもTextも似た言葉。両方とも自由学園で学ばれたのですね。

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