2月8日(金)の午後、東京ウイメンズプラザホールでシンポジウム「SDGsを実現する電力選択-エシカルな再エネが企業価値を高める」が行なわれ、100名を超える方が参加されました。今回のシンポジウムのテーマは気候変動分野でのパリ協定を受けて重要になってきたパワーシフト(自然エネルギーが中心となった持続可能なエネルギー社会にむけて、電力(パワー)のあり方を、変えていくこと)についてでした。
冒頭、環境エネルギー政策研究所の松原弘直さんから「パリ協定後の世界の流れの中での日本の電力システム改革」の報告がありました。続いてパワーシフトをめざす供給側の電力会社4社からの報告、次にパワーシフトをしたユーザーの実践報告として企業からTBSラジオと教育機関から自由学園が報告を行ないました。
以下が、報告の概要です。
自由学園は昨年11月に、「再生可能エネルギーの電源比率が高く、しかも発電所に環境に関わる懸念がないことが確認できる電力会社」という基準に合う電力会社として、「供給元の発電所の顔が見える電力」を特徴とした電力会社に契約先を切り換えました。自由学園ではこれまでも何かを使う場合に、そのものの調達元が確かなものを選んで使ってきています。幼児生活団から最高学部までそれぞれ自分たちの畑を持ち、食材の一部ではありますが、「作り手の顔が見える野菜」を食べています。70年かけて育ててきた植林地のスギの木を使った「育てた人の顔が見える材木」を使って中等科高等科6年間教室で使う机・椅子を自作しています。同じように持続可能なエネルギー社会を考えた調達元を考えた結果として今回のパワーシフトを行なうことになりました。
自由学園では全校の代表者による「生活環境委員会」が毎月開かれて、月毎の電力使用量のデータに基づいて節電を励んでいます。高等科以上の生徒・学生も委員会のメンバーとなり、委員長の最高学部学生が会の進行をしています。さらに電力会社の基本料金の決定根拠になる最大需要電力を抑えることを目的としてデマンド監視装置を設置して、全校のリアルタイムの使用電力を見られるようにしています。
最高学部の1,2年生では「生活経営研究実習」というグループ活動があり、そのグループの1つに資源・エネルギーグループがあります。今回のパワーシフトについて男子部・女子部での報告と説明を資源・エネルギーグループの学生がすることになりました。今月末にはその学生たちと供給元の1つである群馬県川場村の間伐材を使ったバイオマス発電所の見学も計画されています。
今回のシンポジウムは電力事情を学ぶよい機会でもあることから、資源・エネルギーグループの最高学部1年生4名も参加しました。会場ではSDGsを視野に様々な取組みをしておられる企業の担当者をはじめ様々な方と交流することも出来ました。
文・写真:鈴木康平(環境文化創造センター次長)