【教育】女子部の木の学び・広葉樹の森林づくり活動報告/環境文化創造センター - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

【教育】女子部の木の学び・広葉樹の森林づくり活動報告/環境文化創造センター - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

環境文化創造センター

【教育】女子部の木の学び・広葉樹の森林づくり活動報告

2022年9月12日

女子部校舎で使用している新しい学習机と椅子は、2011年より生徒代々に渡って係が引き継がれ、デザインの考案や試作の検証を行って2017年より3年間に渡って100台ずつ新調されたものです。この300台の机の天板は、岐阜県郡上市にある広葉樹の森林(通称:もの森)から採れた14種類の樹種を使って製造されています。2016年から毎年、生徒たちとその森林へ足を運んで、伐採、製材、加工などの一連の工程と、伐採後の森林がどうなるのか調査してきました。現地での活動は、その森林を管理している任意団体「ものづくりで森づくりネットワーク・代表:山口博史氏」の全面的なサポートを受けて行っています。詳しくは、自由学園Webサイトの「木の学び」をご覧ください。

 

伐採地に集う

 

2018年に記念植樹とシカの食害による対策で9m2のネット柵を張りました。その後、2019年は台風の影響で伐採地を視察することができず、2020年からは新型コロナウイルス感染症の影響で校外学習が出来ませんでした。今回、4年ぶりに女子部生8名と学部生1名で8月6日から9日までもの森に行くことができました。伐採地に記念に植樹した数本の苗は残念ながら雪害で折れてしまっていましたが、シカ除け柵の中では実生のミズメが高さ150cm程に育っていて、他の先駆種たちと競争している様子が見られました。一方で、シカ除け柵の外は笹が覆っているところ以外は稚樹が育っている様子が全く見られないことから、確実にシカなどの動物が芽吹いた稚樹をほとんど食べている模様で、シカ除け柵設置の効果が一定程度現れた結果を確認できました。今回は約12m2のシカ除け柵を2張ほど生徒たちと設置して、次の実生が育つことを願ってきました。もの森での実習は他に、葉っぱと木材の繋がり調べ、アオダモ伐採見学、ブナ稚樹成長調査、伐採したアオダモでグリーンウッドワークの体験をしてきました。夜は郡上市白鳥町の伝統的な盆踊り「白鳥踊り」に参加して地域の文化にも触れられる貴重な時間でした。実地でリアリティのある体験が少ないコロナ渦ですが、自由学園のキャンパスの一つとしてもなりえるこの地域で再び活動ができたことは今後のバトンに確実に繋がるよい機会になったと考えています。

 

伐採地へ新たなシカ除けネット柵の設置作業

 

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特色ある教育実践 自然・環境とのつながりー自由学園の木の学び

 

文・写真:遠藤智史(女子部教員・環境文化創造センター研究員)

 

 

● 「もの森」の取り組みを見学させていただいて1

今回の企画に合わせて、環境文化創造センターの2名と獣害対策に関心のある最高学部2年生1名も「もの森」での活動の一部に参加させていただきました。自由学園の植林地は生産性の高いスギ・ヒノキを中心とした針葉樹の森であるため、広葉樹の森での活動は、植物相の多様さなど非常に興味深いものがありました。新鮮な水と空気の中、生徒達も活き活きと活動している様子でした。またTA(ティーチングアシスト)を兼ねて参加した3年生1名は、女子部生徒の時にこの活動に関わった学生です。木々がゆっくりと育っていく時間的経過を体感できるのも一環教育ならではと実感しました。ご指導いただいている山口博史先生、横井秀一先生に改めて感謝申し上げます。

 

広葉樹の森の拡がり

 

文・写真:吉川慎平(最高学部教員・環境文化創造センター長)

 

● 「もの森」の取り組みを見学させていただいて2

女子部教室の机を広葉樹の材を使って制作したいという企画に生徒が関わって活動していると伺い、着々と形になっていく様子に強い関心を持っていました。教室に、様々な表情をもった天板の机が並んでいるのがとても素敵です。

この度、材の「故郷」である「もの森」を訪問し、活動している女子部生やお世話になっている山口先生、横井先生にお目にかかることができました。

これまで学園が植林・育林活動で作った針葉樹の森とは異なり、広葉樹の森の雰囲気はそれぞれの樹種が個性を主張しながらも調和を感じさせるものでした。関東の山野でも見られるリョウブ、エゴノキ、シロモジ、カエデ類は見分けることができましたが、ミズメやシナノキなどは先生に教えていただいて確認することができました。シカ柵の取り組みも目に見える成果があり、シカ害の深刻な名栗植林地で応用する上で貴重な知見を得ることもでき、有意義な見学となりましたことに感謝申し上げます。

 

林内の様子

 

文:小田幸子(最高学部教員・環境文化創造センター次長)

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