9月1日、小中高の始業式が行われ、秋の新学期が始まりました。女子部・男子部の始業式では、はじめに新しく迎えた4人の「同志同学同行の友」への入学宣誓、そして生徒委員長からの歓迎の言葉。続いて礼拝、夏休み中の活動報告、最後にデンマークからのティーチングアシスタントの自己紹介が行われました。始業式に引き続き、女子部委員の交代の就退任式が行われました。
礼拝では讃美歌90番を歌い、聖書はマタイによる福音書25章から「わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである」を読み話をしました。
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主イエスは、社会の中で小さい存在と扱われ、無視され、排除された人と共に食事をし、すべての人が神様の前に等しく尊い存在であることを訴え続けました。また子どもたちのようにならなければ、神の国に入ることはできないとおっしゃっています。
「最も小さい者」とは今この社会においてどのような人か。また私たちの社会はこの「最も小さい者」にどのように向き合ってきたか。「この最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである」という言葉に思いを巡らせる夏でした。
8月初めに横浜のニュースパークという新聞博物館の企画展「多様性 メディアが変えたもの メディアを変えたもの」に行ってきました。
この企画展は、多様性をキーワードに、日本の明治時代以降の社会のなかで、どのように人間一人ひとりの価値、人権が認められるようになってきたか、そこに新聞などのジャーナリズムがどう関わってきたかを明らかにした内容でした。
会場では、近代の歴史の流れと共に、女性への差別、障害や病気を持った人への差別、民族による差別、そして性的少数者への差別など、5つのテーマが扱われていました。
この第1章の女性差別との戦いのコーナーでは、そもそもジャーナリズム自体が女性を排除し男性中心に情報発信をしていたことが紹介され、その時代に、それを打ち破る働きをした2人の人物が取り上げられていました。
一人は福沢諭吉です。男女平等思想が紹介されていました。そしてその隣に、女性新聞記者の先駆けとして羽仁もと子先生の紹介がありました。
女性たちが様々な不利益と偏見に苦しみつつあった時代に新聞記者となったもと子先生が、吉一先生と共にそこに風穴を開け、新しい時代を切り開いたことが解説されていました。
博物館館長尾高さんの「名もなき人の声にならない小さな声を、名もなきジャーナリストたちが言葉にして訴えてきた。今、男女問わず若い記者がここに力を注いでいる。そこに希望を感じる」という言葉が心に残りました。
また「羽仁もと子はその先駆者の一人であり、婦人之友は今この時代においても、社会に迎合しない貴重な雑誌で、もっと読まれてほしい」とおっしゃっいました。
100年前の今日、関東大震災がありました。新聞博物館ではこれに合わせた企画展を行っており、その中で、朝鮮人や共産主義者の虐殺を生んだデマの問題もテーマになっています。
朝鮮の方々は当時の日本社会の中でもっとも弱く小さい立場に置かれ、声を奪われていた人たちでした。6000人が虐殺されたともいわれています。
今日はこのことも思い、「わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである」という聖句を選びました。
どのような社会がよい社会なのか。その基準はどこにあるのか。聖書は、最も小さい者か大切にされる社会がよい社会であると言います。
今学期もこの学校生活を通じて、よい社会の実現を目指していきましょう。
高橋和也Facebook 2023年9月1日