2020すいせん図書vol.3/図書館 お知らせ・近況 - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

2020すいせん図書vol.3/図書館 お知らせ・近況 - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

図書館 お知らせ・近況

2020すいせん図書vol.3

2020年7月2日


すいせん図書第3回をお届けします。
男子部・女子部は夏休みに入りました。何かにまとまった時間を使える日々、予定を考えるのも楽しい時間です。ぜひ皆さんの生活の傍らに本を置いてみてください。

写真は新着図書の一部です。

 

【2020 すいせん図書 vol.3】

国語科 T.S先生
『勉強の哲学』千葉雅也著 文藝春秋 2020年
【深く勉強するって、どういうことだろう?】
著者は、フランス現代思想の泰斗。専門的な内容に触れていますが、丁寧な文体で書かれていますので中学生でも理解することができます。以下、2箇所だけ要点を抜き書きしておきます。
・「人は、『深くは』勉強しなくても生きていけます。深くは勉強しないというのは、周りに合わせて動く生き方です。状況にうまく『乗れる』、つまり、ノリのいい生き方です。(略)逆に、『深く』勉強することは、流れのなかで立ち止まることであり、それは言ってみれば、『ノリが悪くなる』ことなのです。」
・「言語は、現実から切り離された可能性のある世界を展開できるのです。その力を意識する。わざとらしく言語に関わる。要するに、言葉遊び的になる。(略)自分のあり方が、言語それ自体の次元に偏っていて、言語が行為を上回っている人になるということです。(略)深く勉強するとは、言語偏重の人になることである。」
続きはご自身で…

 

『社会正義のキャリア支援』下村英雄著 図書文化社 2020年
【社会正義に取り組む教育学の最先端を学ぶ】
著者は「キャリア教育」の第一人者。「キャリア教育」は、人のキャリア(生き方)を支援する教育分野で、進路面談がその代表的とされてきました。一方で、「社会正義のキャリア教育」という系譜もある。例えば、部落差別や貧困、人種差別や性差別といった社会問題に、教育の視点から立ち向かう立場です。
「キャリア教育」と「社会正義」が繋がるのはどうしてでしょうか。100年以上続いてきた職業支援や進路指導の営みの中で、貧困によって進学をあきらめたり、差別によって就職できなかったりする人々の困難に直面してきました。そうした人々に、心理学的なアプローチをしたところで、気休めにもなりません。個人の不条理の基因となる、社会の不公正をこそ変革せねばならないという切実な危機意識が、「キャリア教育」と「社会正義」を繋ぐのです。
教育社会学的な常識からすれば、社会の不公正に対して、教育は何の効力も持たないかもしれない。そのことは百も承知の上で、それでも、教育を通して理想の社会をつくることは出来るのだと強弁し、実践を続けることが「社会正義のキャリア教育」という立場なのだと、僕は理解しています。本書には、その真髄が盛り込まれています。

社会科 S.Y先生
「 日本列島100万年史 大地に刻まれた壮大な物語」 山崎晴雄・久保純子著 講談社ブルーバックス
この本は私が大学時代に授業を受けていた先生方が書かれた本で、日本列島の成り立ちについて、地方ごとにわかりやすくまとめられています。自由学園は武蔵野台地のほぼ中央に位置しているのですが、その武蔵野台地は約12万年前から2万年前にかけて、地球全体が寒冷化していく中で河川の作用や火山灰の堆積などで形成されました。みなさんの身近な大地がどのようにして形作られたかを知ると、実際にその地を歩くときに新たな発見があるかもしれません。地学や地理の地形分野に関心のある人に特におすすめです。

「経済は地理から学べ!」 宮路秀作著 ダイヤモンド社
代々木ゼミナールの有名講師の先生が書いた本です。地理を学ぶときに、「その場所になぜそのような特徴がみられるのか」ということについて、複数の視点から論理的に考えることが大切です。一見関係なさそうなことが結びつき、「なるほど!」と思えることで、ただの暗記ではなく、しっかりとした理解につながっていくと思います。「地理は暗記することが多いから苦手」と思っている人にはぜひ読んでもらいたいと思います。

図書館 T先生   
『駅のピアノ』 稲葉茂勝著 今人舎2020年4月
NHK BSの番組 「駅ピアノ、空港ピアノ」を見たことがあるでしょうか?駅や空港のロビーに置かれた誰もが自由に弾けるピアノ。その駅に着いた人、旅立つ人、そのピアノを弾く人の姿、選曲にその人の人生の一端を見せてもらったような思いになります。
そんな駅ピアノが舞台となった絵本で、「故国への想い」という副題がついています。内戦でピアニストの母を亡くし、祖国を離れなければならなかった駅の清掃員の青年と駅のピアノの話。巻末には難民事情の解説もあり、難民問題について知ることもできます。また英訳付きなので英語の勉強にもなる一冊です。

『飛ぶための百歩』 ジュゼッペ・フェスタ著 岩崎書店 2019年8月 
イタリアの作家が書いた物語。5歳で視力を失った男の子ルーチョは目が見えないことに差し伸べられる親切を素直に受け取れない。その心を開きたいと寄り添うおばさんと山へ行く話。目が見える人には気づかない自然の中の音を聞き取る姿、山小屋での出会いそして鷲のひなをめぐるハラハラドキドキの事件とが交差する。先へ先へと読みたくなる一冊。自然の描写が細やかで自然保護についても書かれているのは作者が科学者であり、環境教育者であることで納得。

 

学部生から
『妖怪アパートの幽雅な日常 ①~⑩』 香月日輪著  講談社文庫
長期休みと言えばシリーズもの! 高校一年の主人公が、何やかんやありまして妖怪や幽霊、癖の強い人間が住み着くアパートに住みます。ホラーじゃないです!日常ファンタジーです。漫画やアニメもあるそうですが、本から読むのをおすすめします。ハマります。

『鉱物キャンドルの作り方』 福間乃梨子著 日東書院本社
キャンドルで色彩・造形・質感が鉱物そっくりに作れます。
本を眺めるだけでも美しいので鉱物が好きな人にはぜひ見てほしいです。
鉱物に火をともす感覚を味わってみてください。

 

『少年アリス 』 長野まゆみ著  河出文庫  河出書房新社
幻想的で美しい世界観のお話。アリスと呼ばれる少年が、友人「蜜蜂」と夜に不思議な体験をする。初めの文章が美しすぎて躓きがちだが、乗り越えたらサクサクのめりこめる。若い頃に読むと素敵な大人になれそうな本。夜に読んでほしい

 

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