11月19日(土)14:30~16:00に首都圏保養グループ交流会がオンラインで開催されました。
2011年の東日本大震災に伴う東京電力第一原発事故に伴う放射能汚染により、屋外での自由な活動が十分にできなくなった福島周辺の子どもたちが、心身の疲れを癒すことができるようにと、全国各地で保養活動が始まりました。保養によって、ある程度健康が守られることは広く認知されており、医学的にも放射能の影響が少ない地域での一定期間の滞在が、免疫力を大きく高める効果があることが知られています。もう一つの効果は、心理面での負担軽減です。原発事故後、外遊びや自然体験の機会を奪われた子どもたちにとって、屋外でのびのびと遊べる時間が得られる事は、かけがえのない体験となります。
以上のような思いから、全国友の会主催のサマースクールが2012年の夏から自由学園を会場に毎夏開催されてきました。しかし、新型コロナ感染症の影響で、2020年2021年2022年とこの3年は開催を断念せざるを得ませんでした。
全国で保養の活動をしているグループが集まって、「311受入全国協議会」という組織を立ち上げて、お互いの活動の様子を共有したり、ボランティアスタッフの確保や保養のための費用をどのように集めるかなどの共通の課題を一緒に考えてきました。現在58団体が加盟していますが、自由学園もこの組織に加盟して、これまで共に歩んできました。
首都圏保養グループで毎年行っている交流会で、今年は自由学園が幹事をすることになり、計画立案から当日の運営までを行いました。全国友の会からも2名の方が代表して参加をしてくださいました。
前半は、コロナ禍でも定期的に保養活動を継続してこられた、国際環境NGO FoE Japan「福島ぽかぽかプロジェクト」スタッフの矢野恵理子さんの報告をうかがいました。
「福島ぽかぽかプロジェクト」は保養を都内ではなく猪苗代の施設を利用して行っていることもあり、2020年7月から保養活動を再開し、年10回前後の活動を継続してきています。活動をするに当たっては、事前のPCR検査・抗原検査や期間中の消毒など大変な苦労をしてこられたことを伺いました。
後半は、出席された各グループに、現在の活動状況と今後の課題について報告をしていただきました。コロナ禍になってずっと休止していた保養活動を「この夏から再開した」「年末に再開する予定」「来年の5月の連休の再開をめざして準備をはじめた」など保養の再開が始まっていることがわかりました。
■自由学園のキャンパスで開かれたサマースクールの様子から
全国友の会主催のサマースクールについては、まだ再開の見通しは立っていませんが、サマースクールに変わるものとして、オンラインによる福島の人たちとの交流の機会などを考えていければよいと思っています。
鈴木康平(学園長補佐・環境文化創造センター次長)