自由学園第102回卒業式/お知らせ - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

自由学園第102回卒業式/お知らせ - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

お知らせ

自由学園第102回卒業式

2024年3月14日

2024年3月9日(土)、午前10時半より、自由学園第102回卒業式が記念講堂で行われ、最高学部4年課程の男子女子27名、2年課程の女子6名が卒業しました。
今年は、新型コロナウィルス感染が終息したため、会場には新卒業生とその保護者の方々、教職員、最高学部および男子部・女子部の在校生、一般来場者に加えて、卒業後50年の卒業生も列席し、4年ぶりに会場いっぱいの人たちで卒業生を送ることができました。

■第102回卒業式プログラム
新卒業生入場
聖書朗読 ヨハネによる福音書8章より(自由学園の校名の由来となった箇所)
讃美歌 510番 新卒業生
卒業証書授与
卒業に際して 新卒業生代表
卒業生におくる言葉 学園長 高橋和也
来賓祝辞 長有紀枝様(立教大学大学院21世紀デザイン研究科・社会学部教授)
卒業研究報告
校歌 自由をめざして
新卒業生退場

■卒業生におくる言葉 学園長 高橋和也
卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。
昨年10月26日の羽仁吉一先生のご命日に雑司ヶ谷の墓前で今日卒業する皆さんと一緒にした礼拝の中で、私は自由学園がどのようにして生まれたかについてお話ししました。創立者の羽仁夫妻はお嬢さんを亡くされて、その深い絶望と悲しみの中で自分たちの生きる意味をもう一度問い直し、生きるに値する生き方を求める中で神様に出会い、その中で自由学園は生まれたこと、自由学園が困難の中から生まれた希望によって建てられたことをお話ししました。
一昨日夕方に学園長宅に卒業生を招いて行ったお茶の会では、それぞれが在学中に心にとまった聖書の言葉を皆で共有しました。「生活の中に多くの聖書の言葉が浸み込んでいて、その中から1つを選ぶのが難しかった」「礼拝で友達が選んでくれた聖書の言葉が今の私を生かしている」「いつも喜んでいなさいという言葉を読んだ時には、そんなことはできるわけはないと思ったが、苦しい時にその言葉が自分に問いかけ、そこから自分のものの考え方が生まれていることに気が付いた」「心を尽くして神を愛するということが、実は生活の中で隣にいる友だちを愛することだと知った。清らかな気持ちで隣の人に向かい合えない自分自身を見つめなおすきっかけになった」などの大変励まされる感想がありました。この先何かの大きな障害や乗り越えられないような困難に出会ったときに、是非聖書の言葉を思い出し、また聖書を開いてほしいと思います。私も含めて皆さんが神様のことを忘れるということはあると思いますが、神様があなた方を忘れることはないということが私たちの本当に大きな希望です。そのことをどうか心にとめておいていただきたいと思います。
『スモール イズ ビューティフル』(1973年)を著したイギリスの経済学者シューマッハはその後に書いた『グッド ワーク(良い仕事)』(1979年)の中で「私たちの働き方を問い直さなければ、世界は新しくならない。何がやりたいかを求める前に何がよいことであるかを求めなければならない。何がよいことであるかを問う人こそよい仕事をする人になる」と書いています。皆さんも世の中の価値に合わせるのではなく、自分で何が正しいかを問い続ける人であっていただきたいと思います。そのように生きていくときには、社会の価値観とぶつかり困難もあるに違いありませんが、その時に自由学園で学んだことが皆さんの力になる事を願っています。(以上要約)

■来賓祝辞 長有紀枝様(立教大学大学院21世紀デザイン研究科・社会学部教授)
卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。
私が大学院修了の卒業式で政治思想史の藤原保信先生が「これからの人生でアリストテレスが述べたよく生きるとはどういうことかをもう一度考えてみてください」とお話しされたことが強く印象に残っています。その言葉はその後折に触れて思い出すことになりました。よい人生かどうかを判断するのは、他人ではなく、その本人自身です。一人一人の顔が違うように、よい人生とは一人一人違っていると思います。今日は、この人はよく生きているなあと思う方を紹介したいと思います。
① アフガニスタン人のナデル・シャー君は、9歳の時に家の庭にあった不発弾によって両手と右目を失いました。家庭的にも恵まれず、食事もトイレも人に頼って生きなければならない彼に最初に会ったころは手が付けられないように荒れていました。しかしその後、大人になった彼は難民を助ける会で働きたいと願うようになり、現在は会計担当としてカブール事務所の大黒柱として働いています。その後も奥さんを病気で失ったり、タリバン政権下で暴力を受けたりする中で、これからも彼の人生は続きます。
② イギリス人のクリス・ムーンさんは、1995年モザンビークでの地雷撤去の作業中に他の人のミスにより右手・右足を失いました。しかし翌年1996年義手義足でロンドンマラソンに出場し完走しました。何度も来日した彼は、「人生は決して公平ではない」と言っていました。「人生は決して公平ではないから、そのことを嘆いていても何も始まらない。だから自分は走ることに決めた。地雷除去のお金を集めるため、障害がある人でも出来ることを示すため、そして何よりも自分のために走るのだ」と。その彼の人生も続きます。
③ アメリカ人で地雷禁止国際キャンペーンの初代コーディネーターとしてノーベル平和賞を受賞したジョディ・ウイリアムさん。地雷を除去し尽くすことなど夢を見ているようなものと周りから言われる中で活動を続けてきた彼女は「私たちは成功することを予想してこの活動を始めたわけではありません。やらなければいけないことを知っていたから始めたのです。それ以上にどんな理由がいるのでしょう」と。その彼女の人生も続きます。
みなさんのこれからの人生も成功しようがしまいが、よく生きていくためにしなければならないことがきっとあるはずです。そのことを覚えていていただきたいと思います。(以上要約)

■卒業式の様子から


  • 入場を終えた新卒業生

  • 卒業証書を授与された4年課程卒業生

  • 「卒業に際して」
    4年課程卒業生代表 栗田 匠さん

  • 卒業証書を授与された2年課程卒業生

  • 「卒業に際して」
    2年課程卒業生代表 眞鍋志麻さん

  • 卒業生におくる言葉 高橋和也学園長

  • 来賓祝辞 長有紀枝様

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