3月5日土曜日、気象庁から関東地方で春一番が吹いたと発表されました。春一番には条件があり、日本気象協会Webによると、1. 立春から春分の間、2. 日本海に低気圧、3. 関東地方に強い南風が吹き、昇温する、などの要素から総合的に判断されるとあります。この日、南沢では午前7時過ぎに風向が南風に変わると、ゆっくりと風が強まり始め、晴天のため日射量の増加もあって気温が上昇していきます。その後、気温のピーク(日最高気温)は15:10に17.8℃を記録、風のピーク(日最大瞬間風速)は16:10に14.4m/秒を記録しました。逆にこの間の気圧は1,000hPaから987.9hPaまで、相対湿度は74%から30%まで大きく低下しました。この風向・風速・気温の結果は見事に春一番の傾向と一致しています。このような各観測要素の相互関係がはっきり見えている状況はとても珍しいことです。詳しくはグラフをご覧ください。
なお、気象観測システム(気象庁検定取得済み機器とクラウド型遠隔監視サービス)は、自由学園と産学連携協定を締結している株式会社フィールドプロの製品を使用しています。詳しくはこちらをご覧ください。
また二十四節気では啓蟄(けいちつ)を迎えていますが、南沢キャンパスでは一足早く、アズマヒキガエルが活発に活動を始めています。例年最高学部(記念講堂)前の池では多数のカエルが見られます。近年個体数の減少が心配されていますが、今年は多くの個体が見られている印象です。またカエルの活動開始は、明け方の最低気温が高かった日をきっかけとしている様子です。今年は3月2日の未明が最低気温7.1℃(前日比+3.2℃)と暖かい夜で、翌日から園路を歩いている姿が見られるようになりました。
今後、こうした高精度の気象データと、キャンパス内の生物の応答などの研究が展開されることが期待されます。
関連リンク(外部ページが開きます):
(日本気象協会)関東地方で「春一番」 昨年より1カ月以上遅く(外部ページが開きます)
(日本気象協会)春一番の条件
株式会社フィールドプロ
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文・写真:吉川 慎平(最高学部教員・環境文化創造センター研究員)