3月21日(水) 自由学園第96回卒業式/近況 - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

3月21日(水) 自由学園第96回卒業式/近況 - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

近況

3月21日(水) 自由学園第96回卒業式

2018年3月21日

2018年3月21日(水)午前10時より自由学園第96回卒業式が記念講堂で行われました。朝から降っていた雨は、式の途中から雪となりましたが、会場は大変あたたかい雰囲気に包まれており、これまでお世話になった方々、新卒業生のご家族の皆様、在校生、卒業生、教師らが見守る中、最高学部4年課程の男子女子25名、2年課程の女子7名が卒業いたしました。

卒業式は、在校生の演奏による新卒業生の入場で始まりました。国歌斉唱の後、自由学園の校名の由来である聖書の箇所、ヨハネによる福音書第8章から司会者が朗読。新卒業生が讃美歌510番を歌った後、高橋和也学園長より、新卒業生一人ひとりに卒業証書が授与されました。そして、新卒業生から4年課程、2年課程の各代表が、卒業に際し、自由学園で入学以来友と共に学んできたこと、最高学部でどのようなことを感じ、自分と向き合ってきたか、そして自由学園で学んだ「自由」について今思うことなどを感謝と共に述べました。自由学園の卒業生としての志が力強く感じられることばでした。


  • 新卒業生が讃美歌を歌う

  • 壇上には左から村山順吉理事長、来賓松岡享子様、高橋和也学園長、渡辺憲司最高学部長が着席

  • 卒業証書授与

  • 4年課程の新卒業生

  • 4年課程代表西山ありあさんが「卒業に際して」を読む

  • 2年課程の新卒業生 代表栗田萌々子さんが「卒業に際して」を読む

高橋和也学園長の「卒業生におくる言葉」、および東京子ども図書館名誉理事長 松岡享子様よりいただいた来賓祝辞の中からお伝えします。

高橋和也学園長は、創立者のひとり羽仁吉一先生が梅を好まれて学内に多く植えられたのは、寒い中で咲く梅の花に潔い美しさを、また、地味であるが長く咲くその姿に尊さを感じておられたからであると話し、今日は雪の降る日となったが、雪の積もる梅の花の姿は、何よりの卒業生へのはなむけとなったと思うと語りました。また男子部記念ホールに掲げられている額のことば「先憂後楽」は、世の人に先んじて世を憂い、世の人が楽しんでから後れて楽しむという意味で、リーダーとなる人には、そのようであってほしいと羽仁吉一先生が著作『雑司ヶ谷短信』で触れていることもあわせて紹介しました。そして、皆は新卒業生の言葉にもあったように、自由学園での生活を通して、支えあえる「同志、同学、同行の友」を得た。またご家族の支えや愛も感じている。でもその上にさらに一人ひとりを愛し支えてくださっているのが神であることを思っていてほしい、自由学園の校名となっている聖書の言葉「真理はあたたたちを自由にする。」の真理とは、神様がいつも共にいてくださり、ひとりひとりを愛して支えてくださるということそのものである。これからの人生の中では、何か大変な困難に出遭うことがあるかもしれない、しかし、神の愛を思うことにより支えられ、心の自由を得られるようになるということを、思っていてほしいと新卒業生に語りました。


  • 高橋和也学園長

  • ご来賓 松岡享子様

本日の卒業式では、来賓に、絵本や児童文学の研究・翻訳で名高い、東京子ども図書館名誉理事長であられる松岡享子様をお迎えし、お祝辞を頂きました。
松岡様は、お母上が『婦人之友』の読者であったことから、小学校高学年から巻末の「自由学園だより」も読んでいて、自由学園のことを親しく感じておられたとのことで、今日初めて来校し、美しい環境に心を打たれたとお話しくださいました。
子どもと本の世界に身をおいてきて思うことは、学校に上がる前の幼い子どもたち、人生の始めの大切な時期を、自覚なく生きている子どもたちの姿は本当に愛らしくすばらしく、可能性を秘めているということ。詩人のタゴールが、「神がなお人間に絶望していないというメッセージをたずさえて生まれてくる。」と子どもたちについて言っているが、人生の重みを引きずらずに生きている子ども時代、また青年期である20代をどのように生きるかがとても大事であり、その時の思いや経験が、その後の人生に深く根を張り支えることになると思う。と話されました。
また、重度の障害を持つ子どもたちのための近江学園で労働奉仕をされたご経験の中で出会った、近江学園の糸賀一雄先生は、「私とこの子らは運命共同体だ」と話されたこと、「この子らに世の光を」ではなく、「この子らを世の光に」と語られたことをお話しくださいました。
そして、お母上の介護の経験の中で「運命共同体」についてお考えになったことをお話しくださり、すべて人は与えられて存在している。具合の悪いことがその人の責任ではないのと同様に、功績ということを考えたときも、なぜそれができたのかを突き詰めて考えていくと、自分の翻訳等々の仕事も、自分だけでできたことは何もなく、すべては与えられている贈り物と思うようになったと話されました。そして新卒業生に、いただいた贈り物を、それぞれの置かれた場所でよく生かすことを努めていただきたい、かけがえのない「運命共同体」として支えられている人、支える人となれるようにとお話しくださり、 お話の終わりとして、まど・みちおの詩「ぼくが ここに」を、心をこめて朗読してくださいました。

最後に会場にご列席の皆様も含め全員で校歌を歌い、高橋学園長が新卒業生を「行ってらっしゃい」と送り出し卒業式を終わりました。

式後には、在校生手づくりのサンドウィッチやケーキなどによるお茶の会が開かれ、来賓の金丸弘美氏(総務省地域力創造アドバイザー・食環境ジャーナリスト・食総合プロデューサー)、男子部24回生(卒業50年)の卒業生代表、保護者代表の方のスピーチがありました。その後新卒業生父母が食事や会場を準備されて、卒業感謝会が開かれました。新卒業生、父母、教職員が互いに感謝の気持ちを語り合い、新しい卒業生たちが、自由学園で学んだことを大事にしながら、これから社会で活躍できますようにと、共に願うひとときを持ちました。


  • お茶の会の会場、女子部食堂へ 大芝生には雪が積もり始めていました。

  • 在校生が用意したお茶 手作りのサンドウィッチ、ケーキ、ジュース

  • お茶の会の会場の様子(女子部食堂)

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