3月29日(土)の午前中は3月の教養講座を、また午後には2023年度修業式を記念講堂で行った。LA生122名が出席した。
はじめに、石川リーダーの司会で礼拝が行われ、讃美歌405番「神と共にいまして」を賛美した。
<「忘れられない人々」3期生・髙橋由美子さん>
「忘れられない人々」は、3期生の髙橋由美子さんが、外科医であったお母様の思い出についてお話しされた。
私の忘れられない人、それは母である。母は昭和初期の女性としてはめずらしく、外科医であった。ある時、八高線の脱線事故が起きた時に、先頭に立って救助に当たって、新聞に掲載されたことがあった。そんな母も30年前に亡くなったが、生前の母から多くのことを学んだ。病院では、職員を大事にする・患者さんを大事にすることなど厳しい母だった。
姉と共に今LAに入って、いろいろな分野で活躍されている方々とお友達になることができ、本当に楽しく過ごしている。

<教養講座『「季節に寄り添う暮らしのヒント」森の恵みのレシピから』安部智穂氏>要約
今年度最後の教養講座は、タイマグラで暮らす森の案内人・安部智穂氏に『「季節に寄り添う暮らしのヒント」森の恵みのレシピから』と題して、お話をしていただいた。
春:厳しい冬からの目覚め
岩手県の山奥、早池峰山のふもとの小さな集落・タイマグラに移住して33年。冬の厳しさを乗り越え、春が訪れると、ふきのとうが顔を出し、山々が新緑に包まれる。自宅周辺では、ふきのとうを使った「バッコロ(ふきのとうコロッケ)」が春の風物詩。タラの芽、コシアブラ、わらび、ゼンマイなど、多様な山菜を収穫しながら暮らす。
森の動物たちも春を待ちわびていた。天然記念物のカモシカはふきのとうを求め、ツキノワグマは柳の花を食べる姿が見られる。学園時代に初めて見たカタクリの花が、ここでは一面に広がり、足の踏み場もないほど咲き誇る。
夏:豊かな実りと暮らし
春の山菜シーズンを経て、夏には家庭菜園の収穫が最盛期を迎える。食べきれないほどとれた野菜を、無駄なく美味しく食べきるために、アレコレ工夫を凝らすのは腕の見せどころ。
標高500mの高地にあるため、夏でも比較的涼しい。とはいえ、草取りなどは爽やかな早朝に。自然と早起きになる。
夫は桶職人として生計を立て、大阪出身の彼がここで伝統技術を活かしながら暮らしている。工房では炊いたご飯を入れるお櫃から、大きな風呂桶まで、多種多様な桶を製作。夫の技術を支えながら、家族3人での暮らしを大切にしている。
秋:実りの季節と保存食づくり
秋になると、山々では木の実が実り、クマやリスなどの野生動物の活動も活発に。自然の恵みを受け取りながら、人と動物が共存する暮らしを実感する季節。
秋が深まる頃、自家栽培のこんにゃく芋を収穫しこんにゃくを作る。手触りの良いぷるぷるのこんにゃくを作る作業は、ただの家事ではなく、心を癒してくれる大切な時間。
冬:厳しい寒さとぬくもり
冬のタイマグラは非常に厳しく、3月になっても雪が降ることがある。しかし、そんな寒さの中でも楽しみはある。薪ストーブを焚きながら、送られてきた金柑でジャムを作ると、部屋中に甘い香りが広がり、心が温まる。
雪の日にはカゴを編んだり、丁寧に食事を拵えたりと、冬ならではの楽しみを見つけながら暮らす。雪が溶けると、またふきのとうが顔を出し、新しい春が訪れる。この循環の中で、自然に寄り添いながら生きることの豊かさを感じる日々。
まとめ:四季とともに生きる
岩手県の山奥での暮らしは、困難もあるけれど手応えがある。日々の労働が「いたわり」となり、自然と共にある生活が心を豊かにする。買い物に気軽に行ける環境ではないからこそ、四季折々の恵みを大切にしながら暮らす。
自然とともに生きる喜び。それをお伝えできればと今日はここに立っている。
~著書の紹介~
『森の恵みレシピ 春・夏・秋・冬』婦人之友社、2023年
『カゴと器と古道具』婦人之友社、2024年

<諸報告>
- 2025年度最少開講人数に達しなかった選択クラスについて
- 修業式後の感謝会について
午前の部終了後、記念講堂の椅子に座ったまま、スタッフの酒本の指示に従って生活体操を行う。
<昼食>
昼食は、最高学部の食堂で手作りの昼食をいただく。メニューは、ご飯、ぎせい豆腐、
さつま芋とリンゴの重ね煮、海苔酢和え。
<修業式>
13時30分より、2023年度修業式が行われた。
はじめに、石川リーダーから、LA生の前向きな姿勢に励まされ、支えられた1年であったことを振り返り、10年目を迎える次年度もみんなで力を合わせて一緒に元気に過ごしていきたいとの希望が語られた。
続いて、修業の印「ゆかり証」を代表の各家族長に更科幸一学園長から手渡された。
今年度のLA祭のリーダーの さん、さん、また12月のクリスマス音楽会のリーダーの さん、 さんから、それぞれリーダーをしての感想を話していただいた。
更科幸一学園長から、お祝いの言葉に加えて、“Olds be ambitious!”、次年度はLA生が幼児生活団から最高学部の生徒・学生たちと一緒に学ぶ機会を増やしていきたいとの希望が述べられ、最後にリビングアカデミー賛歌を歌い、修業式が終了。その後、集合写真を撮影した。

<感謝会>
14時30分から、最高学部食堂にて、LA家族長会主催の感謝会が開催された。
出席してくださった講師の方々からこの1年を振り返り、また来年度を前にしての思いを話していただいた。またコーラスクラスによる合唱も披露された。
準備をしていただいたお菓子とお茶をいただきながら、テーブルごとに1年を振り返り歓談の時を挟んで、最後に、講師の方々、リビングアカデミースタッフに、1年の感謝をこめてアート&クラフトグループ作成の手作りカードが贈られた。
16時30分終了した。