基本は臨書、気づくことで道が開かれていく。「臨書」とは、古典の法帖を手本に真似て書き、筆遣いを磨く鍛錬法のひとつ。
担当講師は、 平井澄圓先生。自由学園卒業、書道師範、 圓心書道教室主宰。日本教育書道藝術院同人会員、自由学園明日館公開講座講師。第39回東京書作展大賞・内閣総理大臣賞受賞。
「飽きずに絶えず臨書。白いご飯を食べるようなもの、なくてはならない元気の素です」平井澄圓先生が受講生に語りかける。
1年目の受講生は、5人。うち、ひとりは体験レッスンで平井先生の書に触れ、リビング・アカデミーに入学された90歳の女性である。
1年目の法帖は「唐 欧陽詢(おうようじゅん) 九成宮醴泉銘(きゅうせいきゅうれいせんめい)」。
1400年ほど前の632年、唐の時代の石碑で、皇帝の避暑地に泉がわいたことを記念して作られたものである。
今日は記者を入れて3人の出席者。最初は先生の書をお手本に半紙で四文字。「激沙破石」砂を飛ばし石を破る。厳しい寒さを表している言葉である。
次に、半切(半折)1/2に挑戦。「承以石檻 引為一渠」承(う)くるに石鑑(せきかん)を以(もっ)てし、引きて一渠(いっきょ)を為(な)す。・現代語に訳すと、石で井桁を組んで水を溜め、それを引いて溝を作る。
「えー!?半切なんて無理」とひとりが言うと、「やる気になったら出来る。やってみようが人生大事よ」と先生。人生初の半切1/2に挑戦した3人。
正子さんの書で左から2枚目の作品、配分の難しさが見てとれる。
「ただ、見て書くだけではない。よく見る。見て学ぶ。臨書すると、気づくことがあり、書の道が開かれていく。書の醍醐味。飽きずに絶えず臨書に挑戦して欲しい、それが願い」と平井澄圓先生は語った。(和田美恵子)