「小麦粉ふるいにかけた?必ずかけてください」
自由学園しののめ茶寮の厨房に、イタリアンクラス講師の近藤芳郎シェフの声が響く。
12月のレッスンメニューは、「INVOLTINI DI VERZA ALLA UCCELLETTO CON FAGIOL(ロールキャベツと白インゲン豆のトマト・セージ煮込み)」、「PANZEROTTI GRATINATI ALL ORIGANO(パンチェロッティのグラタン、オレガノ風味)」の2品。
冒頭の言葉は、コロッケやグラタンなどに使われる「ベシャメルソース」を作る時にあった。ベシャメルソースとは、小麦粉とバター、牛乳によってのばされて作られる基本のソース。
この日はグラタン用に作ったのだか、受講生が小麦粉をふるいにかけずに調理を進めたため、やり直して再スタート。
「家でロールキャベツを作るときにもキャベツが破けないように湯がいているわ」「トマトの湯むき慣れてるから私やりましょうか」手際よく調理が進む。
家でもよく料理をすると語る男性は、分量を計り調理しながらも同時に片付けて、日頃台所に立つ姿をうかがい知ることができる。4期生山岸さんの新たな一面を垣間見た。
一方、クレープを作る近藤シェフからは、「なんとか出来てくれー」との声が。1枚、2枚と失敗し、3枚目に切れず破けずに出来上がる。
他にも、「いけね、しょっぱすぎた」「よし出来た」「美味しい?」「よっしゃー」。
シェフのつぶやきが場を和ませ、時には緊張を与え、散漫になりがちな4時間の気を引き締める。
「はい、オッケーです」とシェフ。
8人で作ったお料理が出来上がり、皆でいただいた。
こうして2019年最後のレッスンを楽しく終えた。(和田美恵子)