6月25日(土) みんなの日/「みんなの日」の様子 - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

6月25日(土) みんなの日/「みんなの日」の様子 - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

「みんなの日」の様子

6月25日(土) みんなの日

2022年7月14日

6月25日(土)は最高気温35.5℃の今シーズン初の猛暑日を迎える中で、6月の「みんなの日」が行われ、117名が記念講堂に集まった。
はじめに、石川リーダーの司会で礼拝が行われ、讃美歌510番「まぼろしの影を追いて」をコロナ感染を考慮して小声で賛美した。
<「忘れられない人々」2期生・廣瀬和枝さん>
「みんなの日」恒例の「忘れられない人々」は、2期生の廣瀬和枝さんが「大学時代、教室で隣になった同級生との思い出」についてお話された。
大学入学後、高校時代と違って自由になった座席では指定席ができるようになり、お隣になった同級生。入学後写真部に入り忙しい日々を過ごしていたが、暇が出来ると彼女のアパートに遊びに行った。
大型連休を前にして、私の住んでいたアパートの下の階に夜泥棒が入るということが起こった。恐ろしくなって別のアパートへの引っ越しを考える中で、大型連休を迎えることになり、連休中帰省して空いているからと彼女のアパートに泊まらせていただいた。
心優しいその人は、卒業するとイケメン君の同級生と結婚。最近は会う機会はなくなったが、新茶が時々届く。「お茶はめてー」という懐かしい声を思い出す。

<教養講座 パネルディスカッション「今の社会は子供にやさしいか」>
今年度第2回の教養講座は、3人のLA生にパネラーをお願いして、「今の社会は子供にやさしいか」と題して、小谷野温子さん(6期生)の司会でパネルディスカッションが行われた。
前半は、3人のパネラーから、それぞれの経験を踏まえての発表があった。
1)「保育園の仕事を通して、子どもについて思っていること」笹井惠利子さん(3期生)
(紹介:保育園の仕事に長い間関わり、園長も務める。幼児が何を考え感じているかを知る)
どうして、今生きづらさを抱えている人たちが多くなっているのだろうか? 8か月で這い始めたばかりの子どもの姿を、親がスマホの画面に気を取られて見守ることをしないことが続いたら、子どもは自分に関心を向けようと乱暴な行動をとるようになるかもしれない。不安で親の膝から離れられなくなるかもしれない。
子どもの幸福(しあわせ)とは何だろうか。つらい環境にいる母子に接するときに、私が最も心がけたことは「母親を信じる」ことだった。子どもがどのような人を信頼するかというと、自分の大好きな、そしてかけがえのない存在である母親のことを心から受け入れてくれる人であるのだ。子どもが幸福であるためには、子どもを取りまく人々がまず幸福でなくてはならない。特に身近な存在である母親こそが幸福でなくてはならない。なぜなら、それが子どもの1番の願いであるから。

2)「不登校・ひきこもりの子どもを支援する中で伝えたいこと」荻野佳津子さん(3期生)
(紹介:公立中学の教師を務めた後、不登校・ひきこもりの子どもを抱える親の教育相談をしている)
発表されている様々なデータが、子どもたちが生きづらくなっている実情を表している。コロナ禍で多くのストレスをかかえるようになる中で、自殺した子供の数、不登校の児童生徒数の増加傾向は継続し、過去最多になっている。一方では、過去25年間で児童虐待相談件数は100倍に、いじめの報告件数も10倍に増加している。NHKが「若者たちに死を選ばせない」(2021年6月13日)の番組制作にあたって調べたところによると、若者たちが死を選ぶ直前にSNSに残した言葉のトップは「学校に行きたくない」であった。
不登校の子どもたちから集めたつぶやき(2017年「登校拒否・不登校の全国のつどい」より)を紹介する。「お母さん、心にとげが刺さっているんだよ。そのトゲを抜くときには血が出るんだよ」「学校にも行けない自分なんて、生きている意味ない。人生空っぽだ」「お母さんだって、ミミズがいっぱい入ったバケツに手を入れるのは嫌でしょう。僕にとって学校はそういうイメージなんだよ」「僕になったことないから、僕の心なんてわからないよね!」
子どもが子どもでいることのできる時期をもっと大切にしていきたい。「遊びは子どもの主食です」という日本医師会の標語にあるように、子どもにとって遊ぶことは生きることそのものであり、遊びの中で育つ「非認知能力」が注目されるようにもなっている。
日本が1994年に世界で158番目に批准した「子どもの権利条約」には、子どもの権利として「生きる権利・育つ権利・守られる権利・参加する権利」が挙げられている。子どもの意見をしっかり聞くこと、子どもの考えを重みをもって受け止めること、尊重することが求められている。
大人にとっても、子どもにとっても大切なことは、今というこの瞬間を、安心して、充実した気持ちで、幸せを感じて生きていけるそんな社会であることであろう。

3)「3つの視点から問題点を整理してみると」鈴木健司さん(3期生)
(紹介:自由学園卒、日本経済新聞出身のジャーナリスト。元日経ラジオ社長。社会奉仕団体で「子ども食堂」などの活動に携わる)
第1は「過去との比較」。みんなの生活が苦しかった終戦直後より、近年のほうが貧困意識が高い理由は格差の拡大にある。子どもの相対的貧困は7人に1人。貧困は連鎖・固定化する傾向にある。児童養護施設の入所理由は終戦直後は戦災孤児、その後経済的困窮、そして今は大半が親からの虐待。子どもの病気・入院の傾向も結核→ぜんそく→メンタルや高度障害・難病へと変化している。大学進学率は上昇したが、貸与型奨学金という名の借金頼みで就職してからも重い負担を背負わされている。
第2は「子どもと家庭、地域との関係」。ひとり親家庭の増加で貧困層が拡大。子育て世代の都市集中、3世代同居減少により育児経験が伝承されない。共働き家庭の増加は女性の社会進出というプラス評価の一方で親子の分断の恐れや、保育園の待機児童問題が生じることになっている。
第3は「心や気持ちの問題」。「普通」を求められるプレッシャーが不登校や引きこもりの一因になっている。学歴・仕事・暮らしが親を越えられるか、親並み、人並みでいられるか、親の過剰な期待。LGBT、人と違う夢、自由なキャリア設計で「生きづらさ」に直面することも見られる。

後半は、LA学生から寄せられた質問・感想の紹介と、パネラーからの回答とまとめの話があった。この教養講座を数年にわたって準備され、今回の司会を担当した小谷野温子さん(6期生)から次のような感想が寄せられた。
今回のシンポジウムは、子どもの心を覗いてそれにこたえて家庭も社会も責任を果たしていきたいとの願いから、市岡前理事長を中心に2年前から準備を始めたものである。コロナ禍による2回の延長により、資料を差し替えたり、市岡前理事長の推進力を失って困惑することもあったが、パネラーの皆様の努力で意義深い打合せを6回重ねて当日を迎えることができた。次第に結論は「社会は子どもたちにやさしくないこと、そしてどうしたらいいかという正解は無いこと」が見えてきた。今後も継続して討論したい課題である。当日は18人が質問・感想を寄せられ関心の高さが示された。礼拝では、讃美歌510番「母は涙乾くまなく祈ると知らずや。むずかりては手にゆられし昔忘れしか」を歌いながら母を慕う子供の心が伝わってきて、私たちに光が差し込み優しさが湧いてくるのを覚えた。

教養講座終了後、LA賛歌をピアノ伴奏に合わせて小声で歌った。

<創立100周年記念募金について他の報告>
① 創立100周年記念募金について、募金委員長の塙健司さんの報告
創立時の理念を大切にして少人数教育を行っている自由学園は多くの支援者によって支えられ、10年ごとの周年時には施設の充実などを目的とした募金活動も行っている。100周年記念募金で集まったお金は、主に「共生共学」の学校としてスタートする中高の校舎の改築・新築などに充てられる予定。皆さんのご協力をお願いしたい。
② ポメラニアン大学ウクライナ留学生支援活動の報告
5月11日時点までに集まった588,100円を1回目の送金としてポメラニアン大学にお送りしたことに対して6月4日に届いたポメラニアン大学からのお礼のメールを石川リーダーが紹介。オカリナグループの学生からは5月28日(土)に行われたウクライナ支援のためのオカリナ・コンサートの報告と会計報告、またアート&クラフトグループからは「ひまわりカード」販売の報告があった。
報告後、渡邉恭子先生(選択クラス体操講師)のご指導で、その場で出来る生活体操で体をほぐした。

<昼食・自己紹介>
昼食は、記念講堂で間隔をとって、調理員さんよる手作りのお弁当を黙食。メニューは、キャンパス内のLAの畑で獲れたジャガイモ(7.5㎏)、玉ねぎ(4.5㎏)を使ったミートローフとこふき芋、男子部女子部の育てた青梗菜入りのキャベツと胡瓜のサラダ、ごはん。食糧部スタッフから食事作りの報告があった。
昼食をいただきながら、4月に入学した7期生8名の方の自己紹介(第2回)を伺う。
今回から自主活動など昼食中に報告をする場合には、事前に協力委員に連絡をしたうえで報告をすることになった。

<午後の集い:災害時の対応について>
13時半からの午後の集いでは、はじめに事務局より災害時の対応についての報告があった。
1)いつどこで起こるかわからない災害ですが、まず皆さんの身の安全を確保して下さい。
2)記念講堂にいる時は前の2箇所の出口から避難して初等部グラウンドに家族ごとに集合する。(今年度は記念講堂では家族毎に座ります)
3)公共交通機関が止まった場合に帰宅できる人、帰宅できない人をあらかじめ把握したい。各自、ご家族などとよく相談をしてきてほしい。
4)入構証に家族などの緊急連絡先を書いた紙を入れておいてください。
5)今後は、朝登校したら必ず家族長(もしくは副家族長・代理の人)に挨拶して出席して
いることの確認ができるようにしてください。
6)途中で帰る・昼食後に帰る・午後の時間は出席しないで帰る等の人は必ず家族長もしく
は家族の人にその旨伝えてから帰ってください。
7)選択クラスで学校にいる時に避難しなくてはならなくなったら、各クラス講師の指示に従ってください。初等部グランド・男子部グランド・女子部大芝生・しののめ茶寮前空き地の中で一番近い集合場所に避難します。
8)自由活動で学校にいる時は、近くの避難場所に行き、リーダーは「リビングアカデミーの〇〇活動で来ている者〇〇名が避難してきました」と、トランシーバーを持つその場の係の者に伝えてください。

予定では記念講堂から初等部グランドへの避難訓練を行う予定であったが、猛暑のため急遽中止することになり、帰りがけに記念講堂出口からの経路は確認して帰っていただくこととした。
事務局からの説明後に、家族ごとに集まって、公共交通機関が止まった時に帰宅できるかどうかの調査を行い、それぞれの事情を共有する時間を持った。そして予定より少し早く午後の部を終了した。

カテゴリー

月別アーカイブ