12月9日(土)「みんなの日」/「みんなの日」の様子 - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

12月9日(土)「みんなの日」/「みんなの日」の様子 - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

「みんなの日」の様子

12月9日(土)「みんなの日」

2024年1月26日

12月9日(土)は、旧緑ヶ丘幼稚園園舎2階ホールで12月の「みんなの日」が行われ、LA生120名(うちZoom参加4名)が参加した。
はじめに、石川リーダーの司会で礼拝が行われ、讃美歌103番「牧人ひつじを 守れるその宵」を賛美した。  
<「忘れられない人々」1期生・高木征子さん>
「みんなの日」恒例の「忘れられない人々」は、1期生の高木征子さんがLAへと誘ってくれた方からその後のLA生との出会いについてお話しされた。
今から10年前に警備のお仕事で学園に再就職した方から自由学園のことを紹介していただいて、秋に学園を見学。映画「二十四の瞳」を彷彿とさせる木の校舎に強い印象を受けた。その後LAが出来ることを知り、当時食糧部で働いておられた林真理子さん似?の方(石川LAリーダーのこと)からも勧めていただいて、最初は自信が無かったのだが、2015年に試行として行われた6か月のプレアカデミーに通ってみた。そして自分でも大丈夫かと思うようになり、2016年の開校と共に入学することにした。そして今年は続けられるかな、来年は続けられるかなと思いながらも8年が経過した。食べるのが大好きなので、イタリアンを2年、酵母を2年やってその後お菓子作りやコーラスや体操にも参加した。今は選択コースは何もしていないが、ひと月に一度皆さんとこうしてお会いすることが楽しみになっている。これからもどうぞよろしくお願いします。

<教養講座『ウクライナ戦争の国際的影響と今後の展望』廣瀬陽子先生>要約

今年度6回目の教養講座は、ウクライナ関連のテレビ出演などでお忙しい廣瀬陽子先生(慶応義塾大学総合政策学部教授)に『ウクライナ戦争の国際的影響と今後の展望』と題して、お話を伺った。

はじめに

ロシア侵攻以来1年9カ月を経過したウクライナにおける戦争は、全く論理的に説明のできない無意味な戦争だが、着地点が見えず長期化の様相を呈している。1.戦争の背景、原因、ロシアの手法=ハイブリッド戦争、2.世界への影響(特に経済、食糧問題への深刻な影響)、3.今後の展望の以上3つについて述べることとしたい。

1.戦争の背景、原因、ロシアの手法=ハイブリッド戦争

①ロシアの勢力圏構想と侵攻後の誤算

プーチンロシア大統領の外交の根幹にはロシアの勢力圏構想がある。具体的にはロシアの勢力圏を第一義的には旧ソ連諸国の領域、第二義的には旧共産圏と新領域(北極圏など)と見る考えである。しかし、この構想がNATO拡大、EU拡大によって脅かされていることを許さず、拡大を阻止するためにウクライナ侵攻以前からハイブリッド戦争が多用されてきた。そのような中で特にウクライナは、歴史の共有・民族的近接性・ロシアにとっての緩衝地帯・隣国が民主化していることのロシアへの影響などから、重要な地域と考えられた。

ロシアはいくつかの目的をもってウクライナ侵攻を決断したが、想定外のウクライナ軍の抵抗にあい、目的とは逆行する結果がもたらされることとなった。NATOの東方拡大を阻止するという目的は、侵攻によってかえってNATOの北方拡大(フィンランド、スウェーデンのNATO加盟)を招いた。またウクライナをロシアの勢力圏に引き戻すという目的も、ウクライナ内の反ロシアの意識をむしろ高まらせることになった。さらにロシアの影響圏を確保する目的についても、旧ソ連諸国がロシアを無視する行動が表れている。

②ハイブリッド戦争の明暗

戦争の手段が日々変化する下で「ハイブリット戦争」を正確に定義することは難しいが、現段階で次のように定義することができる。「ハイブリット戦争」=政治的目的を達成するために、軍事的脅迫とそれ以外の様々な手段[政治、経済、外交、サイバー攻撃、プロパガンダを含む情報・心理戦などのツールのほか、テロや犯罪行為]が組み合わされた、非正規戦と正規戦を組み合わせた手法。

ロシアのこれまで取ってきたハイブリッド戦争の手段は、「非正規戦」的手段であるサイバー攻撃、情報戦・宣伝戦、政治的脅威、経済的手段、制裁、マスク外交、ワクチン外交、難民テロなど(フェーズ1)から始まり、次第に軍事的脅威(軍の展開、民間軍事会社の展開など(フェーズ2)へと変化し、ついに「正規戦」的手段である正規軍による軍事的戦闘(フェーズ3)へと拡大してきている。

現在ウクライナは「正規軍」的手段に変化してきたハイブリッド戦争を優勢に展開している。優勢に持ち込めている原因としては、2014年ロシアのクリミア併合への反省、情報戦、サイバー攻撃とその対策、英米による軍の訓練、サイバー・ドローンなどの義勇軍などが挙げられる。

③ロシアの戦争の立て付けの変化

ロシアはウクライナ侵攻時には、ウクライナ東部のロシア系住民をウクライナのネオナチから解放するための「特別軍事作戦」として侵攻を開始した。しかし想定外の苦戦を強いられる中で、ロシア世界へ復帰させるという目標が領土的な野心へと変化し、ウクライナは欧米が仕掛けてくる戦いの代理戦争をしているという立て付けに変化をしてきている。今年2月2日のスターリングラード攻防戦80周年記念の演説では「再び、ドイツの戦車が十字架をつけてやってくる」と主張して、第二次大戦を援用して、ナショナリズムを焚きつける方法に至っている。

2.世界への影響(特に経済、食糧問題への深刻な影響)

①ロシアへの制裁の効果と通商・軍事の歪み

ロシアへの日欧米など西側諸国からの制裁の効果は限定的で、効果が上がっているとは言えない。例えば、2022年のロシアのエネルギー収入は中国、インド、トルコ、BRICSなどの制裁の抜け道を確保することで戦争前よりも多くなった。またスマホや自動車、高級品などの輸入が激減し、サプライチェーンとの関係が絶たれた中で、従来の通商の在り方を変えて、トルコや旧ソ連諸国を通しての「並行輸入」を合法化してこれまでの代用に当てている。

また、軍事面においては、イランや北朝鮮に対して技術移転を行う見返りに、武器を生産するために必要な資材を調達できている。むしろ、制裁の「返り血」の方が多くなっていて、ウクライナへの支援にも影を落としている。

②エネルギー価格の高騰

制裁の「返り血」の1つがエネルギー価格の高騰である。ロシアは制裁に対抗するために「エネルギーの武器化」を図っている。中国、インド、トルコ、サウジアラビアなどの輸出先を確保しつつ、自国の生産量を減らすことで価格をつり上げて大きな利益を得ている。エネルギー価格高騰は、電気料金高騰に直結し、すべての価格上昇につながるほか、次に述べる食糧価格高騰とあいまって、かなり深刻な世界インフレを引き起こしている。また、欧州もロシアの天然ガス依存・石油依存から完全に脱却することはできておらず、米国もロシア「ロスアトム」から原発のためにウランを買い続けている。

③食糧価格の高騰

世界の小麦の3割を供給していたロシア・ウクライナからの輸出が困難になる中で、ロシアは「食糧の武器化」も図り、穀物価格の上昇によって暴利を貪っている。ロシアはさらに世界最大の肥料輸出大国でもあることから、肥料の輸出がストップすることで世界各地の農業生産に影響を与えている。それらのことが原因となって世界の食糧危機を招くことになった。

④国際社会に突き付けられた他の問題

長期化する戦争に対して、世界では一日も早い停戦を望む声は大きいのだが、それを実現できない理由として、国連などの国際秩序維持装置の機能不全や戦争犯罪を取り締まる方策が欠如していることがあげられる。強制力や対策がない以上、やったもの勝ちになってしまう状況にある。

ロシアと西側諸国の対立に加えて、世界の中ではグローバルサウスの存在感が増して、その存在がロシアの精神的支持や制裁の抜け道になることがある。グローバルサウスはG7、中国・ロシアの双方とも一定の距離を保って自分たちの利益の最大化を目指している。そして微妙な政治体制という課題も抱えている国が多い。

3.今後の展望

この戦争の敗北は、ウクライナにとっては国家の終焉、ロシアにとっては現体制の終焉を意味することであるため、双方共に敗けを認めることはできない。これまでも停戦に向けた交渉は行われたことがあるが、合意の条件がウクライナ側はロシアの完全撤退、ロシア側はロシアの新しい土地を認めることと、そこには大きな隔たりがあり、合意を見通すことはできない。それではどのような場合にこの戦争が終わるのか。・どちらかが決定的に敗北する・ロシアが決定的に敗北する(最終局面での核使用が懸念される)・プーチン大統領が失脚し穏健な指導者が就任する・ウクライナが譲歩してロシアに有利な和平交渉を行うなどが考えられるが、現状では長期化するとみられる。たとえ長期化しても、戦争への危機感を風化させず、ウクライナへの支援を継続すると共に、日本の安全保障を多面的に再検討することが必要であると考える。

教養講座終了後、LA賛歌を皆で歌った。

<諸報告>

  • 最高学部の咲花昭嗣先生より、LAで集めたウクライナ募金の送り先のポーランド・ポメラニアン大学訪問の報告
  • 初等部昼食の後片づけ他の募集について
  • 学内で行っているクリスマス献金について

園庭に出て、体操クラスの渡辺恭子先生の指導で生活体操、その後園庭の落ち葉をみんなで集めた。

<昼食・自己紹介> 

昼食は、手作りのお弁当をいただく。メニューは、ローストチキントマトソース、白菜・ほうれん草・大根・ビーズのサラダ、ベイクドポテト、ブロッコリー塩ゆで、パン(ミッシュブロート)と家族長会の用意して下さったパウンドケーキで、クリスマスらしいメニュー。

昼食をいただきながら、4月に入学した8期生7名の方の自己紹介(第6回)を伺う。

その後、自主活動の報告、午後のコンサートの用意の報告などがあった。

<午後の集い:クリスマス・コンサート>

午後2時から、中等科以上の生徒・学生と音楽の先生方による「クリスマス・コンサート」が行われた。プログラムは以下のとおり。

  • 生徒合唱
    • 女子部コアグループ:きよしこの夜(讃美歌より)
    • 男子部グリークラブ:ぜんぶ(さくらももこ作詞、相澤直人作曲)
    • 混声合唱:ロークス イステ(Aブルックナー作曲)、ジェス バンビーノ(P.A.ヨン作曲)、ひいらぎかざりて(讃美歌より)

第二部 弦楽合奏

  「ブルック グリーン組曲」より(Gホルスト作曲)、人生のメリーゴーランド「ハウルの動く城」より(久石譲作曲)

第三部 音楽教師による演奏

  • 永野馨:ネル(ルコンド・ドゥ・リール作詞、ガブリエル・フォーレ作曲)、月の光(ポール・ヴェルレーヌ作詞、ガブリエル・フォーレ作曲)、からたちの花(北原白秋作詞、山田耕作作曲)
  • 関口美彩江:ピアノ「ベルガマスク組曲」より月光(C.A.ドビッシー作曲)
  • 武田若菜:からまつ(野上彰作詞、小林秀雄作曲)、オペラ「トゥーランドット」より“誰も寝てはならぬ”(G.プッチーニ作曲)
  • 佐々木順子:ピアノ「パガニーニ大練習曲集」第3番“ラ カンパネラ”(F.リスト作曲)

フィナーレ 生徒学生と教師の合同演奏(LA生も一緒に参加)

  オペラ「椿姫」より“乾杯”

LA生からは、「素晴らしいコンサートをありがとう」「学園の大空高く平和な響きが鳴り渡っていました」「本格的なコンサートをありがとう」「レベルの高いコンサートで感激でした」との感想が寄せられた。 15時半終了。

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