第1回「地球市民教育フォーラム」開催 講師は福岡伸一氏/近況 - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

第1回「地球市民教育フォーラム」開催 講師は福岡伸一氏/近況 - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

近況

第1回「地球市民教育フォーラム」開催 講師は福岡伸一氏

2016年4月16日

IMG_9940_ss創立100周年記念事業の一つとして自由学園が企画した「地球市民教育フォーラム」の第1回目が、4月16日、生物学者福岡伸一氏をお招きして自由学園記念講堂で開催されました。

このフォーラムは、自由学園が創立100周年を迎える2021年まで5年にわたって開催する予定で、現代の地球環境の課題についてさまざまな分野で活躍されている方に学び、また新しい社会を創るための教育のあり方についても問う機会としたいと考えています。

本学園最高学部(大学部)では毎年特別講義を開催してきていますが、このフォーラムは、それに代わるものとしても位置づけており、対象を女子部、男子部の高等科生に広げ、さらに一般の方にもご参加いただけるよう公開講座といたしました。今後年に数回開催する予定です。
本日は、生徒・学生300名に加え、一般・学園父母等、約200名の方がご参加くださり、よい刺激をいただきました。
ご参加くださった皆様ありがとうございました。

■第1回 「地球市民教育フォーラム」
2016年4月16日(土) 10:40~12:20

「環境・食・いのちのつながり ~動的平衡の視点から~」
講師 福岡伸一氏  生物学者・著書多数
(福岡氏は、お母様が「友の会」(羽仁吉一・もと子創刊の雑誌『婦人之友』の愛読者の集まり)の会員でいらっしゃり、弟さんが自由学園卒業生というご縁があります。)

以下、簡単ですが、福岡氏がお話くださった中からお伝えします。

IMG_9880_s はじめに、福岡氏ご自身が生物学者となられるまで、子どもの時に虫取りに夢中だった頃からの道筋を、ユーモアを交えてお話くださり、その後、分子生物学の最先端の研究に携わられた結果、メカニズムだけでは証明しきれない、機械とは異なる「生命」についてさらに考えを深められたこと、その上で着目された、すべての生命がもっている「動的平衡」とはどういうことかをお話くださいました。

ヒトゲノム計画の推進と画期的な技術の進歩により、2003年には全ての遺伝子、DNAの解析が完了し、たった23,000個の遺伝子で全ての生命が創られていることがわかりました。しかし生命は、機械のように全てが論理的に説明ができる存在ではなく、細胞ひとつとってみても「相補的」な関係にあって可変的なものです。(花粉症とその薬による影響を例に、人間の体の相補性、可変性を教えてくださる。)また、エントロピー増大の法則に従い、機械や建物などの人工的な物質は、時が立てば壊れてしまい存在しなくなるけれども、生命がエントロピー増大の法則の影響を受けているにもかかわらず、38億年もの間生き続けてきているのは、生命が「流れ」の中にあるからで、動いていることが生命の最も本質的な特徴であり、「動的平衡」の中にあるから生き続けられているのだということをお話くださいました。

IMG_9890_s外見上に変化は見られなくても、人は日々食事(この地球にあるさまざまな生命)をとり、それを分解して、別の形で体に取り込み、また分解して外に出すことを繰り返しており、1年たてば、実は人間の体の中身はほぼ入れ替わっています。そのような「動的平衡」は、ガソリンで車が走るのとは、全く異なる生命の力だと教えていただきました。地球にある水素、炭素などの総量は変わらず、その中で全ての生命が相補しながら存在し、動的平衡の中で、さまざまに対応しながら存在していること、その生命の維持のために必要なものが食事であること、それを思えば、おのずと体に必要なものはわかるはずであることなど、根本的な食事の意味を教えていただきました。

福岡氏は、子どもの頃に昆虫に夢中になり、生態等々知りたいと思うことがどんどん拡がって、調べたり、研究したりしたことが、生物学の道へ進むきっかけとなり、また、思わぬ研究発展から、フェルメールの絵画を楽しむという趣味にまで拡がったそうです。そのようなご自身の経験を踏まえて、生徒・学生に次のようにお話くださいました。
自分の好きなものに、自然の中をはじめ、どこかで出会える瞬間があると思う。”Sense of Wonder ”何かに驚く、打たれるということがあったら、その気持ちを持ち続けてほしい。何かを好きであり続けることは、あなたの一生を支え続けるものになると思います。

最後は会場の大きな拍手をもって終了し、参加者の方々より、大変おもしろいすばらしい内容だったとの感想が聞かれました。
(掲載写真は、男子部記録係の生徒が撮影)

■第2回 「地球市民教育フォーラム」のご案内
2016年7月23日(土)
「科学を通じて見る 新しい世界といのちの捉え方」
講師:フィリップ フランシス氏 (シューマッハ・カレッジ講師)
詳細・お申し込みについては、決まり次第本学園HPに掲載いたします。どうぞ楽しみにしていてください。皆様のご参加をお待ちいたします。

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