【総合】学園産木材の活用報告(改修工事中の男子部体育館/ロッカーの扉板)/環境文化創造センター - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

【総合】学園産木材の活用報告(改修工事中の男子部体育館/ロッカーの扉板)/環境文化創造センター - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

環境文化創造センター

【総合】学園産木材の活用報告(改修工事中の男子部体育館/ロッカーの扉板)

2022年12月26日

環境文化創造センターでは2018年より学園の様々なキャンパスで生産された木材の有効活用を推進してきました。

2024年の共生共学に向けての校舎検討チームから、改修工事中の男子部体育館に新調される生徒用ロッカー92台分に学園産木材を活用できないかと打診があり、ロッカーの正面に来る扉板に名栗植林地で生産された木材を利用するプロジェクトが立ち上がりました。

名栗植林地には、2019年度に飯能市の事業で間伐作業が行われているエリアがあり、今回はそこではないエリアの作業道周辺の除伐作業と合わせてこのプロジェクトを進めることにしました。今年の8月に埼玉県に対して保安林内の伐採届を申請し、9月4日に生徒が見学する中で、前職員の山本幸右さんが除伐作業を行いました。その後、一部崩壊していた作業道の復旧工事を株式会社フォレスト萩原に行なっていただき、男子部の修養会にて中等科2年生が植林地の見学、高等科1年生が見学と伐採された丸太の搬出作業を行いました。搬出された丸太は麓の製材所の名栗木材に運び込み、製材と製材品の人工乾燥が行われました。

今回の扉板に必要なサイズに対して板の幅が狭いため、2枚の板を縦に並べて上下に板と板を繋ぐ部材で組み立てる構造を考えました。縦に並べている2枚の板は名栗で生産されたスギとサワラとヒノキと、南沢で生産したスギ(新天地)、イチョウ(Dクラブハウス裏)です。上下の部材はソメイヨシノ(初等部)とウワミズザクラ(男子部理科室裏)です。この幅の狭い2枚の板を繋いで広く使う工法は明日館の食堂の椅子にも採用されています。縦の2枚の板を上下の部材で挟み込む工法は端ばめと言い、縦の板の反りや捩れをできる限り防ぐ機能を果たしています。また2枚の縦の板が外側に膨らんで扉が開かなくなることが起こらないように、全体の四隅だけを接着して2枚の板が内側に伸縮できる造りになっています。

スギは名栗と南沢の2つの異なる場所で育った材を使用していますが、同じスギでも産地によってその材質の差は大きく、特に南沢のスギは立野川の近くに生えていたことが要因なのかとても油分が多く深みのある茶色い木目が特徴です。一方でヒノキはとても目が詰まっていて素性がよく白く輝いているのが特徴です。サワラとイチョウはその間をとるように暖かみのある黄色で落ち着いた模様をしています。

 

端ばめ

 

全ての樹種を木口で見る

 

扉板の組み立てはワークショップ形式で仕上げられるようにキット化しました。製作したのは、JIYU1123の企画のひとつとして来場された15組の方々、理事長や事務長など教職員、技術家庭の授業時間内で中等科1年生、中等科2年生が男女全員、中等科3年生の産業木工グループの人たちと学園長、男子部の自治区域が木工所の生徒たちです。総勢200人近くの人たちが製作に関わることができました。

 

JIYU1123 ワークショップ

 

中等科1年 技術家庭

 

中等科2年技術家庭

 

中等科3年 技術家庭 産業木工グループ(高橋学園長も参加)

 

また、全ての部材の樹種名が分かるように男子部高等科の生徒2名がウワミズザクラの部材にレーザー刻印を行ってくれました。扉を開けると樹種名が全て分かるようになっています。さらに、男子部中等科3年生の3人が各樹種の葉っぱのロゴを製作して、一部の扉にそれらのロゴも刻印されました。

 

レーザー刻印試作

 

12月17日に92台の扉が学園から京都の家具メーカーに出荷されました。この後、メーカーの方で扉と本体が組み立てられ、年明けに再び学園に戻ってくる予定です。木を育てるところから、木材として活用するところまで、全ての工程に子どもから大人まで学園の様々な人が関わってきました。木という命を通して人のつながりを感じることができる「木の学び」は学園ならではの魅力であり、この学びを通して森林に興味関心を抱いて主体的に関わっていける人が増えていくことを期待しています。

 

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文・写真:遠藤 智史(環境文化創造センター研究員・女子部教員)

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