自由学園のキャンパス(東京都東久留米市)内、女子部(中・高等科)の校舎の建つエリア一帯が、このたび東京都有形文化財に指定されました。
有形文化財となった一連の木造建築物は、アメリカの高名な建築家フランク・ロイド・ライトの愛弟子である遠藤新(えんどうあらた)が設計し、1934年に建築されました。
キャンパスの起伏を活かして配置された校舎群は、学園創立者の羽仁もと子・吉一の教育理念の実現のために設計され、その美しさが生徒たちの感性をも育んできました。「生活即教育」をモットーとし、自分たちの生活をできるだけ生徒自身が運営・自治することを重んじてきた女子部では、屋内外の日々の清掃や日常的なメンテナンスも代々の生徒たちが担い、大切に使用してきています。
自由学園女子部(中等科・高等科) 設計:遠藤 新 建築年:1934年
これまで女子部では食堂(写真中央奥)・講堂(左端)・体操館(中央手前)の3棟が東京都歴史的建造物に選定されていましたが、それらも含む遠藤新設計の木造校舎の建つ女子部のエリア一帯(大芝生を含む)が、教育の場としての機能性・利便性に加えて周囲の環境との調和が図られ、意匠的にも優れており有形文化財にふさわしい価値があると評価されて、このたびの指定に至りました。
昨年秋に東京都より有形文化財の候補に挙がっているとの通知をいただき、その後資料提供や視察、東京都教育庁での審議会の答申を経て3月に決定されました。
有形文化財の指定を受けて、学園内の東京都選定歴史的建造物は、初等部食堂・男子部体育館の2棟となりました。
■東京都教育庁による正式発表
『東京の文化財』第131号
2022年3月25日 東京都教育庁地域教育支援部管理課発行
「東京都指定文化財の新指定」と題して、指定された自由学園女子部の建築物と土地に関する詳細と、指定に際しての評価が紹介されました。
上記の内容は、東京都の運営するサイトでも紹介されています。
東京都生涯学習情報サイト内「東京の文化財」バックナンバー一覧のページでご覧ください。
https://www.syougai.metro.tokyo.lg.jp/bunkazai/toubunka.html
■自由学園女子部の校舎(部分)
■2022年度 自由学園女子部 東京都有形文化財指定記念見学会
自由学園は現役の校舎なので、下記の通り通常は一般の建物見学はご遠慮頂いていますが、東京都文化財ウィークに際して、11月3日(木・祝)に特別公開の見学会を開催いたしました。
2022年11月3日の見学会の詳細は、下記ページをご覧ください。
https://www.jiyu.ac.jp/blog/info/82151
■建築物の通常の一般見学は、コロナ禍の現在はご遠慮頂いています。
自由学園は幼稚園から大学部までの在校生らが過ごす学校であるため、コロナ禍になってからは、一般の方々の見学はお断りしています。
建物やキャンパスの様子は、自由学園のHPやinstagramで日常的な活動風景と共にご紹介していますので、どうぞご覧ください。
自由学園公式instagram 一覧 https://www.jiyu.ac.jp/index.php#insta
#自由学園建物図鑑
コロナウィルスの感染拡大状況がおさまってきましたら、一般の方々に自由学園内の東京都指定有形文化財や東京都選定歴史的建造物をご覧になって頂ける機会を設けたいと考えております。
決まり次第「学校見学」のページでご紹介いたします。
https://www.jiyu.ac.jp/inquiry/visit.php
■自由学園明日館(重要文化財) https://jiyu.jp/
愛弟子の遠藤新がフランク・ロイド・ライトを自由学園創立者に紹介
1921年の自由学園創立時の校舎「自由学園明日館」(東京都豊島区)は、フランク・ロイド・ライトが設計しました。学園創立者から校舎建築の相談を受けてライトを紹介したのは弟子の遠藤新で、明日館設計の折にも助手を務めました。
自由学園明日館は現在は国の重要文化財に指定されており、一般見学も受け付けています。
公開講座や結婚式ほか、広く一般の方々にご利用いただいています。
学園の発展に伴い、現在のキャンパス(東京都東久留米市)への移転が決まった時には、ライトは帝国ホテルの建設を終えて帰国していたので、愛弟子の遠藤新が受け継ぎ、このたび東京都有形文化財に指定された女子部のエリアを始め、初等部、その後創設された男子部(中・高等科)の校舎の設計を手がけました。
■遠藤新設計の南沢キャンパスの建築についての資料
下の画像(jpg)をクリックすると拡大してご覧いただけます。
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