2021すいせん図書 第2回 /図書館 お知らせ・近況 - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

2021すいせん図書 第2回 /図書館 お知らせ・近況 - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

図書館 お知らせ・近況

2021すいせん図書 第2回 

2021年7月26日

歴史大事典

第2回すいせん図書をお届けします。夏休みになったとたん、猛暑日の連続です。水分補給を心がけて熱中症に気をつけましょう。この夏、気持ちも潤うような本との出会いがあるといいですね。
2021すいせん図書 第1回 はこちらから

 

【すいせん図書 2021-2】
理科 O先生から
「十五の夏」上・下  佐藤優著  幻冬舎文庫
長期・遠方への外出が制限された昨年の夏休み、以前から読みたいと思っていた本書が文庫化された。早速手に入れて一気に読了。若い人たちにこの本を是非紹介したいと思った。本を読むのは苦手、という人には分量的に少々ハードルが高いかもしれない。上下巻で約1000ページというボリュームだ。しかし、読み始めるとぐいぐいと引き込まれる。1975年夏に,高校1年の少年が冷戦下の東欧・ソ連へひとり旅に出た。旅行費用の48万円は高校合格の「御褒美」だ。旅の計画・準備・・・と1つ1つに取り組む過程、旅の様子が詳細に書かれている。若い時代にアメリカや西欧でなく、東欧・ソ連という社会主義国を目的地として選び、困難を乗り越え人の優しさに触れながら成長していく40日間の旅の記録である。コロナ禍の夏休み,現実の旅に出ることは難しいけれど、書物を通して新しい世界を知ることを是非楽しんでほしい。
「知の巨人」と称される佐藤優氏の原点がここにあるとされる作品。第8回梅棹忠夫・山と探検文学賞受賞作。

※この本はY先生も推薦してくださいました。
体育科 Y先生から
「十五の夏」上・下  佐藤優著  幻冬舎文庫
1975年夏。高校合格のご褒美で主人公は東ヨーロッパからソ連(現ロシア)まで一人旅をします。そこで出会う様々な文化や国籍の人との交流。日本で聞かされていた情報がいかに一面的なものに過ぎないかに気づき、少年は外交官の道を歩み始めます。元ロシア情報収集の専門家が実体験を赤裸々に描いた、同年代のみなさんにこそ読んでほしい一冊です。そしてぜひ一人旅に出てほしいです。

「1984」 ジョージ・オーウェル著 角川文庫/早川文庫
1949年に書かれた近未来は全体主義に支配された全ての国民が監視されている社会の姿でした。2002年にはノルウェー・ブック・クラブの「史上最高の文学100」に選出された、私が紹介するまでもない古典的名作ですが、今あらためてその世界観が脚光を浴びています。読めば読むほどに、現実世界との共通点が背筋を寒くさせます。

 

「華氏451度」 レイ・ブラッドベリ著 早川書房
未来では本を読むことは重大な罪とされ、書物を燃やす「昇火士」という職業が存在していた。主人公モンターグもその一人。でもある夜に不思議な少女と出会ってから、彼は書物を燃やす自分の行為に疑問を持ち始めてしまう…。SF小説としても、社会派小説としても有名な一冊ですが、この作者の文章はとても詩的で、あまり難しく考えなくてもすっと頭に入ってきます。
NHK 100分 de 名著でもつい先日取り上げられています。そちらで読んでみてもいいかもしれません。

「民主主義」 尾高朝雄 文部省発行(1948年) ※電子テキストデータ化 藤田伊織
紙に印刷され綴じた本は現在手にとって見られませんが、ぜひみなさんに紹介したい本です。国立国会図書館に保存されているこの書籍は終戦直後に文部省によって発行された教科書です。著作権保護期間が終了したことを受けて藤田伊織さんが今年の4月に電子テキストデータ化して再び日の目を見るに至りました。次のURLから誰でもすぐに無料で読むことができます。ぜひポチッとしてください。
 「民主主義」のデジタルデータはこちらから
テストでいい点を取るためではなく、詰込みでもなく、本当に学ぶための「教科書」です。

学部生から
「ひと」小野寺史宜著 祥伝社文庫
高校生の時に父親を、大学生の時に母親を失った主人公は、大学を中退せざるを得なくなってしまいました。ふとしたきっかけから揚げ物屋で働くこととなり、ささやかな幸運や人との縁を大切にしながら、誠実に生きていく、その姿が描かれています。
ひと同士の繋がりに、胸が温かくなる作品です。

 

「コンビニ人間」 村田沙耶香著 文藝春秋
36歳未婚、彼氏なし。コンビニのバイト歴18年目の古倉恵子。日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる。そんな主人公のありそうでない、日常生活の物語です。属している場所によって人格が形成されることが、分かりやすい作品です。主人公がコンビニを辞めたらどうなるのか、想像しながら読んでもらえたらと思います。

 

「三日間の幸福」 三秋縋著 角川書店
寿命をお金に変えられる世界で、主人公は自分の人生に納得出来ないまま生きていた。そんなある日寿命の“査定価格”を調べてみると、一年につきたったの一万円という結果に。安い、安すぎる。未来を悲観して寿命の大半を売り払った主人公は、僅かな余生で幸せを掴もうと躍起になるが、何をやっても裏目に出てしまう。空回りし続ける主人公を冷めた目で見つめる「監視員」のミヤギ。彼女の為に生きることこそが一番の幸せなのだと気付く頃には、主人公の寿命は二か月を切っていた。幸せを感じられるのは生きている時間の長さではなく、大切なものが何か気付けた時なのだと気付かされる作品です。

 

【レファレンスブック紹介】
レファレンスブックとは、参考図書=調べ物をするための本です。参考図書棚には百科事典や国語の辞書のほかに、さまざまな分野の調べ物に役立つ本があります。その中でちょっとおもしろい事典・図鑑を紹介していきます。今回はファッションです。

裁縫の授業で縫ったワンピース姿の生徒を終業式の日にたくさん見かけた。それぞれ自分に似合った布や形でとてもステキだった。男女共修になり、そのうちステキなシャツを着た生徒にも会えるかな? 楽しみ。さて今はみんな洋服を着ていますが、昔の日本人はどんな姿?
今週オススメするのは 『有識装束大全』  八条忠基著 平凡社2018 (「有職:ゆうそく」と読みます)
昔の人の装束(しょうぞく)や冠を、今の人が実際に着た写真で紹介している。男性、女性の正装や普段着、子ども服も。着方、かぶり方もわかりやすく絵や写真で解説してあって、よくわかる。見ているだけでも楽しい。
書庫の中には『日本髪大全』 田中圭子著 誠文堂新光社2016 がある。これも実際に髪を結って写真で紹介されている。日本髪に興味がある人はぜひ書庫から出して見て。
日本だけではなくいろいろな衣装を知りたい人には、『世界服飾大図鑑』 深井晃子日本語版監修 河出書房新社2013 や、『世界の民族衣装文化図鑑 1・2』 パトリシア・リーフ・アナワルト著 柊風舎2011  がオススメ。洋服をデザインするとき、マンガやアニメを描く時にも、ぜひ参考にしてみると良い。
服をつくることは 59 の棚。ファッション・デザインに関する本は 38 の棚。わからない時は図書館の人に相談してください!(図書館 F先生)

 

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