すいせん図書第6回をお届けします。2021最終回です。コロナの影響は収まらず、まだしばらくは自宅で過ごす時間が続きます。いろいろな『だったかもしれない』ひとりの時間を大切に活用しましょう。読書で皆さんの世界が広がりますように。
【すいせん図書 2021-6】
音楽科 S先生から
『大人になるっておもしろい?』 清水真砂子著 岩波ジュニア新書
著者の清水真砂子さんは、ル=グウィン作「ゲド戦記」の翻訳を手掛けられた方です。著者のル=グウィンさんとも親交を深めていらっしゃいました。大学で児童文学を教えておられ、同じ学校でピアノを教えていた私は、会合でご一緒させていただく機会が何度かありました。そんな時は文学好きな同僚と一緒に先生の傍に行き、穏やかな語り口ながら多くの気づきを与えてくださるお話に、ワクワクしながら時を忘れて聞き入ったものでした。
目次の第1信のタイトル、「かわいい」を疑ってみない? は、清水先生が学生に対して、せめて一年間「カワイイ」ということばの使用を自らに禁止することを言い渡されたことについて書かれています。なぜ「カワイイ」を使ってはいけないのか?続きは本を読んでのお楽しみ!
第2信 怒れ!怒れ!怒れ!
第3信 ひとりでいるっていけないこと?
第4信 自信ってなんだろう? 以下、第13信までを通して、今まで「当たり前」と思ってきたことに対して、あるいはあまり考えもせずに通り過ぎてきたことに対して「本当はどうなのだろう?」と問い直す視点が語られているように思います。巻末には、清水先生のお心に響いた映画や本などの作品が数多く紹介されているページがあります。この本は、きっと物事の本質を思い巡らすことのおもしろさに目を開いてくれるでしょう。
国語科 H先生から
『男の子になりたかった女の子になりたかった女の子』 松田青子著 中央公論社
松田青子さんはやっぱりすごい!いま一番注目している作家さんです。女の子、女たちの共闘が様々な「物語」として語られる。読書中ニヤニヤ、読後にスッキリ爽快感。「性」に関して理不尽な経験、抑圧される経験をしたことのあるどんな性の人たちもカモン! 松田さんの紡ぐ物語を読んで、モヤモヤを笑い飛ばそう!
『女の子だから、男の子だからをなくす本』ユン・ウンジュ文 イ・へジョン絵 エトセトラブックス
「女の子は女らしく」「男の子は男らしく」、一体そんなことだれが決めたわけ!?自由学園生はよい社会をつくる人たち。この絵本は男性中心主義や格差のある社会、差別など、わたしたちの身の回りにある苦しいことの元になっている「考え方・価値観」を問い直すきっかけをくれる本です。
図書館 T先生
『なぜ世界を知るべきなのか』 池上彰著 小学館Youth Books
「世界はあなたと違う視点であふれている」、本の帯にこう書かれています。コロナ禍にあって、行動範囲が限られて、ともすると内向き思考になりやすい今こそ、若い人たちに世界に目を向けて欲しいとの願いが込められた1冊。ジャーナスリトとして世界をまわって実際に見てきたこと、体験したことをもとに今の世界がどのように動いているのかがわかりやすく書かれている。世界から日本はどう見られているのか、マララさんやグレタさん、周庭さんといった皆さんと歳の近い若者がどのように考え、行動しているかが紹介され、そして世界を知り学ぶためのヒントも書かれている。今だからこそ出来る学びのきっかけが、見つかりますように!
F先生
『英雄たちの食卓』遠藤雅司著 宝島社
『歴メシ』遠藤雅司著 柏書房
クレオパトラ アレクサンドロス3世(別名:アレクサンダー大王) チンギス・ハン フェリペ2世 エリザベス女王 レオナルド・ダ・ヴィンチ マリー・アントワネットなどなど、教科書にのっていたあの人のごはんはどんなもの? みんなが作れるレシピ付きの本です。 パラパラ写真を見るだけでも楽しい。時間があるときに、ぜひ作って味わってみて欲しい。
『すいかのたね』 グレッグ・ピゾーリ作 こぐま社 原書名:The Watermelon Seed
私の子ども時代の夏は、海で遊んでスイカを食べるという生活だった。実は、スイカが主食(笑)というぐらい食べていた。みなさんの夏はいかがですか?
スイカ食べたら… 私と同じこと考える人は全世界にいるのだなあ。と思ったこの絵本。ついに日本語版が出版されました。
『うみへいったちいさなカニカニ』クリス・ホートン作 BL出版
クリス・ホートンの絵本は色がきれいで大好きです。ひょっとしたら、ちいさなカニカニのような人いるかもしれませんね。クスッと笑って勇気をもらってください。
【レファレンスブック紹介】
レファレンスブックとは、参考図書=調べ物をするための本です。参考図書棚には百科事典や国語の辞書のほかに、さまざまな分野の調べ物に役立つ本があります。その中でちょっとおもしろい事典・図鑑を紹介していきます。最終回は『聖書』です。
今回はキリスト教関連のレファレンスブックをご紹介しましょう。
『キリスト教大事典』 は、キリスト教に関する語句を調べるための事典。キリスト教教義、歴史、聖書に関することなどキリスト教に関する10,000項目を網羅しています。『キリスト教人名辞典』 モーセなどの旧約聖書に出てくる人物から現代までのキリスト教に関係する人物の人名辞典です。
聖書に関するレファレンスブックでは、『旧約・新約聖書大事典』 教文館1989年 、『新聖書大辞典』キリスト新聞社2008年、『聖書大事典 カラー版』 新教出版社1991年 が、聖書の教義や成り立ち人名・地名に至るまでの聖書に関することを網羅した事典。他には地図と絵画でたどる『聖書大百科』もあります。
『聖書読解事典』は 創世記からヨハネ黙示録までのあらすじや鍵となる引用句、解説が書かれています。『アートバイブル』 全2巻 日本聖書協会 2003年・2008年。聖書の場面が描かれた絵は世界中に沢山あり、その美術書も数多く出版されていますが、この本は、聖書の本文とその箇所に基づいて描かれた絵画作品をまとめたものです。例えば、「最後の晩餐」の聖書 ヨハネによる福音所13章と共にイタリアミラノの教会にあるもっとも有名はレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」・スペインのプラド美術館にあるマシブ「わたしを売る者」・ヴェネツィアの聖堂にあるティントレット「最後の晩餐」が紹介されています。聖句を読みつつ、名画を一緒に味わうことができる本です。
手に取りやすいものでは文庫本『読む聖書事典』ちくま学芸文庫 筑摩書房2015年があります。岩波ジュニア新書の改訂版で、ア行から始まり、最初のことばは「アァメン」です。用法の変化や歴史的な流れもわかる一冊です。
珍しいレファレンスブックでは『天使辞典』 。キリスト教にとどまらず、インド神話や古代から現代の戯曲に至るまで、古今東西の天使について4000項目が出ている。著者は「天文学的数字の天使のほんの一部です」と記しています。
キリスト教関連の本は 19 の棚を見て下さい。
(図書館 T先生)