2022 夏 すいせん図書 【3】 /図書館 お知らせ・近況 - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

2022 夏 すいせん図書 【3】 /図書館 お知らせ・近況 - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

図書館 お知らせ・近況

2022 夏 すいせん図書 【3】 

2022年7月18日

「2022 夏 すいせん図書【2】」 は こちら。

【すいせん図書 2022.7.18】

キリスト教 G先生
国内でも国外でも大きな出来事や動きが絶えない現在。この今をここで暮らしている事を基点に、広く世界を見回し時間軸をも拡げて社会を眺め、改めて自身の生き方・在り方に立ち返る旅をしてみませんか。

『なぜ歴史を学ぶのか』 リン・ハント著   岩波書店 
「グローバル時代の歴史学」で、異なる光を当てると事実の新たな一面が見えてより真実に近づける事を書いた著者。本書は、西欧を中心軸にする歴史学の枠におさまりがちな私達が、各社会の伝統・文化の光の助けを得て福眼的な思考を持ち、各分野の歴史を尊重しつつ新たな未来の視座を得られるように、と励ます書である。過去は未来を切り開く自身の自由な選択基準になる。まとまった時間を持てる夏休みにお勧めの一書。(大学生向け)


『創造するリベラル』 加藤紘一・姜尚中・高橋愛子編  新泉社
本書は、「強いリベラル」を語った政治家・加藤紘一氏(病のため2016年逝去)と、政治学者・姜尚中氏(当時東京大学教授・聖学院大学学長を経て、現在鎮西学院院長)の対談を中心に、高橋氏が若い世代に向けてまとめた一書。「リベラル」の多面的な意味を知り、今なお本書が放つ時代を越え行く力を受け止めていただければ、と願う。(大学生向け)

 

『自由への訓練』小倉義明  聖学院ゼネラル・サービス
女子聖学院中学高等学校校長・聖学院院長を務めた著者の、礼拝で中高生や大学生に向けに語られた説教集。他に「自由への招き」や「自由への飛翔」と題された著もある。本書については卒業生の古屋安雄先生が、羽仁もと子先生と並べて「小倉校長の話も、信仰と生活を結び付いた、わかりやすい話であった。」との書評を書かれている。(中高生以上向け)

 

図書館 A先生
『わたしは夢を見つづける』(原書名『Brown girl dreaming』) ジャクリーン・ウッドソン作 小学館
1963年オハイオ州生まれ。アストリッド・リンドグレーン記念文学賞、国際アンデルセン賞受賞の現代のアメリカの児童文学を代表する作家の代表作であり、自伝的作品。
自分の誕生から子ども時代の思い出、文字やことばに興味をもったきっかけ、作家への夢、様々な人間模様などを、イメージに富む散文詩で描く。人間として生きる権利とは何かを少女の目を通して語られる。
少女の目を通して語られる人間模様は、現代アメリカの社会問題を浮き彫りにしていて、BLM(Black Lives Matter)の背景について、当事者たちの心情が深く理解できる。
レジに並んでいても後回しにされる店、キッチンわきの席にしか案内されないレストラン、カラードの客が盗みをしないように見張りを雇う雑貨店、「白人専用」の文字を上からペンキで塗ってあるがまだ透けて見える繁華街の文字・・・
正面から「人種差別の撤廃」を訴えているのではない。ただ、詩という形式で淡々と彼女の日常が語られているのに、いや、だからこその今なお続く不条理にやるせない気持ちになる。
それでも、彼女のそして彼女の家族の日常はとても温かく、明日への希望を信じ、夢をみることをあきらめない。その強い意志が、読んでいる私たちをも勇気づける作品だ。

 

図書館 K先生
今年、中・高等科は3年ぶりの遠足ができた。これからも学園で登山の遠足が続けられますように。山にちなんだ本を2冊ご紹介します。

『八月の六日間』 北村薫 幻冬舎文庫
作中には今年の遠足の目的地だった天狗岳、白駒池も出てくる。「わたし」は女性編集者で、誘われて始めた登山にはまり、一人登山にでかける。人との出会い、思がけないできごと、きつい山道を踏みしめながら考えること、淡々と描かれた山日記のような五つの短編。持ち物の用意から、歩き方からけっこう詳しくて本格的。共感したり感心したり。自分へのご褒美のおやつと文庫本2~3冊が毎回必ず紹介される。山は優しさも厳しさもありのまま、歩く「わたし」を素に戻してくれる。読み終えるとスッキリして、また一口羊羹を持って山に行きたいと思わせられる。

『淳子のてっぺん』 唯川恵箸 角川文庫
田部井淳子さんを主人公にした小説。田部井さんは女性で初めてエベレスト登頂を成し遂げた方で、学園の男子部高等科遠足にも参加してくださったことがある。登山家として立つまで、様々な挫折があった。東京の大学でなじめずに悩んで病気になって入院までしたり。それでも山に救われ山に捉えられて挑戦を続ける。女性だから…という世間に負けず、家庭を大切に考え、子育てをしながらエベレストのてっぺんに向う姿が描かれる。ご自身の自伝もあるが、これは小説なので一気に読めて、挑戦する気持ちの背中を押してくれる本。 

 

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