今週の1冊「男女共学の成立」/図書館 お知らせ・近況 - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

今週の1冊「男女共学の成立」/図書館 お知らせ・近況 - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

図書館 お知らせ・近況

今週の1冊「男女共学の成立」

2023年5月15日

2023年5月15
『男女共学の成立』小山静子・石岡学編著 六花出版 2021年
この本は研究書なのですが、それほど難しくなく、文体の硬さよりも内容の面白さのほうが上回るので、あっという間に読めてしまいます。日本の男女共学の歴史はそれほど長くなく、特に中等教育(中学・高校段階)においての共学化は第二次大戦後にやっと実現されました。それも、日本主導でというよりは、占領下において実現されています(ちなみに戦前の日本の中等教育は男女別学が基本でした)。この本では、戦後の新制高校(公立)における男女共学化の様相を、地方別に調べ明らかにしています。
例えば東京都では戦後、男女共学制の導入をそれぞれの旧制中等学校に任せたら、なんと公立新制高校はすべて男女別学を選択したというのです。それを問題視した都の軍政部との攻防があり、結局男女共学の新制中学校の卒業生が入学してくる1950年に公立高校も男女共学制を導入しました。他にも福島や群馬、北海道、京都など、各地の高校での男女共学への移行の様子が描かれ、ひと言で共学化と言っても地域によって特色があり、全国一斉にスムーズに実現されたわけではないことがわかります。スムーズでなかった背景にはジェンダーの視点から分析されるべき事象も多く、この分野の研究にはまだまだ発展性があることも感じさせる一冊です。 

 

 図書館・資料室のご利用 についてはこちら

カテゴリー

月別アーカイブ