今週の1冊『百歳の遺言』/図書館 お知らせ・近況 - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

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今週の1冊『百歳の遺言』

2024年9月30日

2024年9月30
『百歳の遺言 いのちから「教育」を考える』 大田 堯 × 中村 啓子 藤原書店
大田堯さんは教育研究者、中村桂子さんは生命誌研究者。この二人が生物について、また教育について語り合った内容をまとめた1冊です。大田さんは1918年生まれ。27歳の時に敗戦を経験しています。2018年、百歳で亡くなられましたが、戦後、教育研究者として、「ひとづくり」ではなく「ひとなる」を提唱しました。何か、型にはめたような人をつくるのではなく、人間がその人自身の人生を生きていくために環境を整えることが大事だ、という主張です。中村さんは生物学の専門家として、「教育」という行為をするのはヒトだけである、という研究結果を紹介します。他の生物も自ら「学ぶ」ことはするが、その学んだことを他の個体に伝える、つまり「教育」しようとはしないそうなのです。つまり教育は人固有の行為であると。だからこそ気を付けなくてはいけないのは、人も生物であるから、まず、内発的な学びへの欲求がある、それを尊重した上での教育でなくてはいけない、ということです。それは大田さんも全面的に賛同します。「タイパ」「コスパ」が重視される現代社会の中では一人ひとりの「人」へのまなざしが削がれ、型にはまらない人を排除する力が働きやすいですが、そこにストップをかける内容でした。羽仁もと子の「自分の生の経営」ができる力を生徒が身に付けることを重視した姿勢と、どこか重なる部分があると思います。

 

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