今週の1冊『かがくいひろしの世界』/図書館 お知らせ・近況 - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】
図書館 お知らせ・近況
2025年4月7日
2025年4月7日『かがくいひろしの世界』ブロンズ新社本書は絵本作家・かがくいひろしさんの展覧会「日本中の子どもたちを笑顔にした 絵本作家かがくいひろしの世界展」の図録です(書籍として出版されています)。かがくいさんの作品の掲載はもちろん、彼の周りで共に生きた家族、編集者、友人、教員仲間たちが、彼について文章を寄せています。「だるまさん」シリーズといえば、40代後半の私にとってはかこさとしさんの「だるまちゃん」シリーズかと思いますが、2000年代生まれの人たちにとって「だるまさん」といえばかがくいさん、かもしれません。その人気は今でも続いています。かがくいさんは教員養成系大学を卒業後、特別支援学校で長く美術教師として働き、50歳で講談社絵本新人賞を受賞、絵本作家となります。しかしその4年後、がんで急逝するのです。わずか4年の間に次々と絵本を生み出し、たくさんの子どもたちを笑顔にしました。私は『だるまさんが』の読み聞かせをするたびに子どもたちが大喜びし、作中のだるまさんと一緒の動きを自然とし始めるのを見て、どうしてこんなに子どもの心をわしづかみにするのだろうと不思議でした。その種明かしが書いてあるのが本書です。また、一緒に仕事をした編集者はこう書いています。「かがくいさんは、初対面のときから変わらず対等な立場で接してくれた。属性や周辺情報ではなく、目の前にいる本人に向き合い、対等に接する。」(p200)。きっと子どもであろうと障がいがあろうと関係なく、一人ひとりの人と真摯に向き合う中で生まれたからこそ、多くの人に支持される作品になったのかなと思います。最後に収録されている、30年共に歩んだ妻の久美子さんの文章には思わず涙でした。いろいろな年代の方に読んでいただきたい一冊です。
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