今週の1冊『働くということ』/図書館 お知らせ・近況 - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】
図書館 お知らせ・近況
2025年6月16日
2025年6月16日『働くということ 「能力主義」を超えて』 勅使河原真衣 集英社新書この本の作者は大学院で教育社会学を専攻し、その後外資系コンサルティングファームで働きました。退職後独立、二児の母となり、5年前から進行性の乳がん治療をしています。彼女は幼い2人の子どもたちがこれから学び、社会に出ていくときに、今のままの社会構造でいいのか?という疑問から、教育社会学の蓄積とその後の勤務経験をベースに、著書で社会に問いかけます。本書は副題にもある通り、「能力主義」について問うています。いったい「能力」とは何なのでしょう? 国や企業は、コミュニケーション能力が高く、常に努力し続けられ、そして結果を出せる能力のある人を求む!という無茶ぶりをしてきますが、そんな人、本当にいるのでしょうか? 作者の勅使河原さんは、能力の高低を問うのではなく、社会は、いろいろな力を持った人たちが持ちつ持たれつ、協力しあってまわしているものである、という前提に立ちませんか、と提案します。能力の高低を問う社会では、小中学生の自殺は増加する一方ですし、幸せそうな人は少ない。新自由主義の果てに訪れた現在の日本社会って、みんなが幸福を感じられるような社会ではないですよね?という問いかけには大きくうなずかざるを得ません。ではどうしたらよいか。多少抽象的ではあっても「確かにそうだな」と思わせる著者の提案(特に終章は必読)はたくさんの方に読んでいただきたい内容です。
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